22:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:49:26.63 ID:YWfCY9A20
「だからそう言ったじゃない。そっちの裸足の貧乏エセニンジャがりみで、かすみんの背中に隠れてるコミュ障がおたえ」
「クラベン系女子が人を指してコミュ障などど言うとはコッケイであるな。ぷ、ぷ」
23:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:51:09.71 ID:YWfCY9A20
「どうしたベンケー殿。いつにも増して変な顔になっているぞ」
「どういう意味よそれ」
24:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:51:48.01 ID:YWfCY9A20
「ベンケー殿のツンデレニズムはさておき、要するに、獅子メタル殿は獅子メタル殿として獅子メタル殿の生活を送るということだな」
「えっと……ややこしいけど、そういうことなのかな?」
25:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:52:44.43 ID:YWfCY9A20
「……あんた、何の話してんのよ」
「む、すまぬ。つい」アリサに呆れ半分のツッコミを入れられ、リミは元の口調に戻る。「ヘアアクセ集めが趣味……ポニーテールにシュシュ……ではシュシュ殿だな」
26:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:53:39.72 ID:YWfCY9A20
「あ、あの……」
リミに対してそんな印象を抱いていると、まだカスミの背に隠れたままのタエがおずおずと沙綾に声をかけた。
27:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:54:29.83 ID:YWfCY9A20
「……うん、『トゥインクル・スターダスト』以外はポピパで叩いた曲だね」
「え……わたしの最初の歌……」とどこかショックを受けた風なカスミを横目に、タエが安心したようにホッと息を吐き出す。
28:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:56:03.10 ID:YWfCY9A20
「朝はパンの仕込み、それから三つ子の弟を幼稚園に送って、ウチの手伝い……」
この世界の山吹沙綾のことを教えてもらった夜。沙綾は自室でスマートフォンのToDoリストを眺めながら、自分ではない自分の一日の予定を確認していた。
29:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:56:31.46 ID:YWfCY9A20
「私なんかと比べ物になんないなぁ……」
沙綾もサアヤと似たような境遇を経て、香澄たちに出会って、そして夢を分け合った。だけどそれは似ているだけで、境遇の重さから言えばサアヤの足元にも及ばないだろう。
30:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:57:00.34 ID:YWfCY9A20
「私には無理かも……」
その決断に至るまでの詳しい経緯を沙綾は知らないけれど、もし自分がまったく同じ立場になったらバンド活動に精を出すことなんて出来そうにもない。この世界の山吹沙綾はきっとものすごく強い女の子なんだろう。
31:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:57:43.85 ID:YWfCY9A20
いくら願っていても明けない夜はない。見慣れない自室の奇妙な居心地の悪さに寝苦しい思いをしながらも、太陽は東の空から昇ってくる。
昨日と同じようにスマートフォンのアラームに起こされた沙綾は、部屋の中を見回して、やっぱり自分が違う世界にいるんだということを否応なく突き付けられた。
32:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:58:33.88 ID:YWfCY9A20
見慣れない店で慣れたことをやって、見慣れない弟たちを見慣れない道を通って幼稚園へ送迎して、少し父親と違った父親にやたらと気遣われているうちに学校へ向かう時間になった。
沙綾は慣れないブレザーに袖を通し、カスミたちに教えてもらった花咲川高校の自分の教室を目指して歩を進める。
189Res/213.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20