395:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:28:40.75 ID:htj7Q5Kz0
源氏に続いてその下で渦巻く黒煙もまた口を開く。
児子炉「あ、り゛……す! フゥゥミィ゛……!」
396:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:29:26.64 ID:htj7Q5Kz0
原氏「さて、誰からでもいいぜ? かかってきなァ……あ、でも紺之介は後の方がいいな。てめぇにさっさとくたばられちゃ折角の幼刀が全部ただの刀になっちまうし」
源氏、刀を担ぎ清々しい程の喧嘩腰。獰猛な獣が化けて出たかのような彼に紺之介も腰の柄に手をつけたがそれはあくまで反射的なものであった。
紺之介の顔にははや玉汗浮かび上がるも今はまだそのときじゃないとしてその姿勢を保ちつつも口を割る。
397:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:30:33.86 ID:htj7Q5Kz0
紺之介「幼刀 児子炉 -ごすろり-を渡せ」
源氏「ンァ?」
紺之介は児子炉からの強烈な睨みをその身に受けつつ若干首を傾げる源氏に続ける。
398:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:32:24.48 ID:htj7Q5Kz0
固唾を呑むと紺之介は柄から手を離し、その手のまま母に張り付く奴の腕を取りてもう片方で刃踏の背を押した。
紺之介「こいつだ」
源氏が彼女に目線を移したことによって紺之介の呑んだ固唾ごと刃踏にその場の指揮が託される。
399:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:32:56.19 ID:htj7Q5Kz0
源氏「ほ〜……」
源氏が峰で肩をならしながら児子炉の方を見るとそこには正に紺之介の言う狂犬が君臨していた。
児子炉「フ、フ、フゥゥミィ……!!!」
400:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:33:32.70 ID:htj7Q5Kz0
整った土俵に一歩ずつ前へ出る刃踏は一瞬だけ横顔を見せまた前へと歩き出した。
そのときの横目は紺之介らには後方の誰かを見ていたようにも全員を見ていたようにも見てとれた。
奴「おか……?」
401:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:34:31.73 ID:htj7Q5Kz0
前方から児子炉も草音を立てながら内へ歩み寄る。
児子炉「フゥミィ……」
刃踏「炉ちゃん……」
402:名無しNIPPER
2019/10/01(火) 17:35:11.73 ID:htj7Q5Kz0
児子炉「……」
刃踏「炉ちゃん……私、考えたんですけど……やっぱり将軍様に生かされた私たちが互いにその身を砕き合うなんて間違っていると思います」
刃踏「そこにいる紺之介さんから今までの話もうかがってきたのですが、炉ちゃんを止めるために愛栗子ちゃんを振るうなんて、いくら偉い人でも酷いと思いました! それでいて『将軍様の意思を守ろうとしている』だなんて……とても信じられません!」
403:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:35:59.70 ID:htj7Q5Kz0
刃踏は一息吸うと胸元で包んだ拳を開きながら前へ差し出した。
刃踏「私たちと生きてください! 将軍様の愛を、そして将軍様への愛を共に守りましょう。共に応えてくださるなら、この手を……」
紺之介「っ……」
404:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:36:46.26 ID:htj7Q5Kz0
児子炉「将、軍さまの、愛を……」
そして中央の緊張感は次第にほつれていく。
児子炉は右手を熊人形から離すとおもむろに前へと持って行き始めたのだ。
405:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:37:26.06 ID:htj7Q5Kz0
刃踏「私はあなたのことも、大好ぎ、でッ…………え?」
だが彼女が見た幸福は幻想だった。
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