406:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:37:53.45 ID:htj7Q5Kz0
刃踏「ぁ゛……」
児子炉の肩越しに落ちた赤い血だまりを虚しく涙が追いかける。
彼女は思わず短いため息をもらした。
407:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:38:20.94 ID:htj7Q5Kz0
紺之介「なっ……」
源氏「ハハッ」
乱怒攻流「そんな……やだ……ウソでしょ……?」
408:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:39:32.82 ID:htj7Q5Kz0
やがて沈黙は幼子の劈く悲鳴で断ち切られる。
奴「お、か……おか……おかぁぁ……あ、ぁ、あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」
409:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:40:10.95 ID:htj7Q5Kz0
乱怒攻流「紺之介!! 納刀!!!」
機転を利かせた乱怒攻流の叫びに紺之介慌てて対応する。奴の鞘を握りてその声を山林にて響かせようとした。
紺之介「納と……
410:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:40:48.93 ID:htj7Q5Kz0
奴「おっ……かぁ……」
虚空に伸ばされた短い腕は何かに導かれるようにして光となり短刀の鍔柄だけがそこに残された。
411:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:41:22.40 ID:htj7Q5Kz0
源氏「アッハッハッ! アッハッ! ヒヒッ……!こりゃひでェ……! 」
腹を抱える仕草で笑い声を上げた源氏だったがすぐさま直るときまり悪そうに大きく舌打ちを鳴らす。
源氏「……あーつまんねェ。楽しみを一つ増やして貰えると聞いて乗ってやったのに、見せられたのはくだらねェ三文芝居……加えて幼刀を二本も折られちまった」
412:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:41:53.92 ID:htj7Q5Kz0
乱怒攻流「う、うるさいわねっ! だったら相手してあげるわよ! アンタなんてこのあたしが……!」
源氏「うるせェのはてめェだメスガキ!」
乱怒攻流「ひぅ……!」
413:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:42:22.14 ID:htj7Q5Kz0
駆け出した紺之介の一閃。
勢いは手前もろとも源氏を貫きそうな一撃である。
だが児子炉の前に滑り込むようにして源氏立ちはだかりてその一撃を余裕綽々と受け止める。
414:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:44:01.16 ID:htj7Q5Kz0
堪らず仰向けで地に伏した紺之介を見下ろす源氏。あいも変わらず肩に峰を当てるその仕草は何とも緊張感の感じられない退屈そうな様子であった。
源氏「護衛剣術とやらはどこへやったんだ? お前のさっきの一撃……俺には怒りに任せて突っ込んでるように見えたぜ」
415:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:45:25.54 ID:htj7Q5Kz0
紺之介「ま、待て!」
源氏「うるせーな……興が冷めちまったんだよ。頭冷やしたら葉助流武飛威剣術道場に来い……まだやってるかしらねーけど。オイ行くぞ児子炉」
416:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:47:21.29 ID:htj7Q5Kz0
源氏の後ろ姿が誰の目にも映らなくなったとき、まるで気が抜けたかのように山林の雲が大粒の雨を流し始めた。
身体を起こした紺之介は無念漂う柄二つを拾い上げ、空に遠吠えを上げた。
602Res/308.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20