【モバマス】水曜日の午後には、温かいお茶を淹れて
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38: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2018/12/13(木) 20:10:01.06 ID:xAj2PbQr0
「今日はありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
イベントが終わり、バックヤードの待機場所で、私とくるみちゃんはスタッフさんと司会のお姉さんに頭を下げた。
39: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2018/12/13(木) 20:11:02.00 ID:xAj2PbQr0
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週が明けた水曜日。私は事務室の前に置いたプランターに咲く秋のお花さんたちの様子を確認してから、鼻歌混じりに事務室の扉を開けた。くるみちゃんがとっても活躍したことを、みんなに伝えよう――
と、事務室の扉の中に入ると、中には先に来ていたはぁとさんが、私よりも上機嫌な様子でキーボードを叩いていた。
40: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2018/12/13(木) 20:12:33.72 ID:xAj2PbQr0
次回は12/16にシュガシュガスウィーティーに投稿予定です。
41:名無しNIPPER[sage]
2018/12/14(金) 00:15:43.01 ID:y1b69VCDO
乙
親御さんが何かあるのか……
そして特大の地雷を踏み抜く佐藤か……
42: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2018/12/16(日) 22:16:40.89 ID:/MDiOILR0
5.Gloriosa
プロデューサーさんを通さずに、はぁとさんはお仕事を見つけてきたと言った。
「来週打ち合わせでー、ネット配信ラジオ番組のコーナーのアシスタント☆ はぁと、ぜーったいここでディレクターにイイとこ見せて、先のお仕事に繋げっぞ!」
43: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2018/12/16(日) 22:18:43.84 ID:/MDiOILR0
「そういえば、はぁとさんも報告があるって言ってましたよね?」
美穂ちゃんがはぁとさんにそう言うのと同時に、プロデューサーさんがはぁとさんを見た。私は部屋の中に緊張が走ったような気がした。
「そう、実はー、はぁと、自分でお仕事ゲットしたんだぞ☆ 褒めて褒めて? ほらぁ、プロデューサー☆」
44: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2018/12/16(日) 22:22:38.07 ID:/MDiOILR0
結局それから私たちは、特別何をするでもなく、一時間近く落ち着かないままでプロデューサーさんを待って時間を過ごした。はぁとさんは不機嫌そうな顔で黙ってしまい、マキノちゃんはときどきスマートフォンを操作しながらなにやら考え事をしていた。私は美穂ちゃんとくるみちゃんとおしゃべりをしていたけれど、どこかぎこちない。
やがて扉が開き、プロデューサーさんが戻って来た。表情は険しいままで、額には汗がにじみ、後ろにはちひろさんを連れていた。
「戻りました。皆さん、お呼び立てしたのにお待たせして申しわけない」
45: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2018/12/16(日) 22:24:46.29 ID:/MDiOILR0
「それなら!」はぁとさんは机を手で叩く。「それこそ子供じゃないんだから、最初に言えよ!」
プロデューサーさんは首を横に振った。
「佐藤さんが実績を積むことに焦っているとわかっていました。その状態で体幹の崩れを伝え、私やトレーナーの前だけで良いように見せられてしまっては、意味がない」
46: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2018/12/16(日) 22:27:51.71 ID:/MDiOILR0
「美穂ちゃん、事務室の扉を開けて、固定して。マキノちゃんと一緒に、外に出て救急車をここまで誘導してください!」
「わかりました!」
美穂ちゃんは言われた通りにすると、マキノちゃんと一緒に外に飛び出していく。
47: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2018/12/16(日) 22:30:33.56 ID:/MDiOILR0
「冬のプロダクションのフェスで発表する予定で進められていました」
それは、私たちのユニットのために書かれた歌だった。
苦しい夏を越え、秋を経て冬を耐え、次の春に咲く、花たちの歌。
48: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2018/12/16(日) 22:33:22.79 ID:/MDiOILR0
小さな音が鳴った。
それは連続して、不規則に。音の出所を探す。
はぁとさんだった。はぁとさんの歯が、震えでかちかちと鳴っていた。
はぁとさんは自分の両肩を抱えて、凍えるみたいにぎゅっと身を小さくして震えていた。
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