49: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:29:10.68 ID:oG3MxUaR0
「はっ」
青い空、白い壁、白い床。勝手に動いている天井。
いつものスタート地点だ。
50: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:29:38.00 ID:oG3MxUaR0
「あいつも、彼女の心の結晶を集めようとしているのか?」
「いいや、違うようだね。彼の心は君への殺意で満たされていた。きっと、こちらの世界で彼に刺されると、君の心は現実でも死んでしまう」
フードで隠れていたから、あの男の顔は見えなかった。
51: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:30:14.05 ID:oG3MxUaR0
白い床の上に、彼女が立っていた。正確には、彼女の姿をした、何かが。
「やあ、まさか君だったとはね」
「気づいていた癖に。今はそんな姿をしているの? 前よりは趣味が良いわね」
52: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:30:55.43 ID:oG3MxUaR0
「おい、いい加減起きろ」
坂田が俺の頬をぺちぺちした。
そうだった、俺は病院で倒れたんだ。
53: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:31:29.45 ID:oG3MxUaR0
帰りの電車では、坂田に彼女のことを教えてもらった。
俺と彼女は中学の頃から付き合っていて、高校や大学も同じだったこと。
職場は別だが、就職とほぼ同時期に同棲を始めたこと。
54: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:32:02.18 ID:oG3MxUaR0
家に帰り、俺は「絵夢の冒険記」のアニメのDVDを再生した。
単に、何か音がないと寂しかったからだ。
55: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:34:19.86 ID:oG3MxUaR0
俺は絶句した。
『体の命を失いかけた君を救うため、彼女は僕と契約した。その結果があれなんだよ』
『え……じゃあ……』
56: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:34:54.90 ID:oG3MxUaR0
『彼女の心はバラバラに砕けて、彼女の心象世界に散らばっている。それを集めるゲームをするんだ』
『ゲーム……』
『僕は君にチャンスを与えるだけ。直接彼女を救うのはあくまで君だから、対価は軽くて済むんだよ』
57: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:35:37.66 ID:oG3MxUaR0
そして俺は悲哀の感情を悪魔に売り渡し、彼女に関する何もかもを忘れてゲームを始めた。
俺が死にかけた理由は――なんだったかな。
58: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:36:31.01 ID:oG3MxUaR0
「やあ、気分はどうだい」
ヴァルクとそっくりな顔が笑う。
見た目は25歳くらいだ。
59: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:37:43.02 ID:oG3MxUaR0
「……あの男を見つけたらワープする能力が欲しい」
「良いだろう。対価は……そうだね、君の過去の悲哀の感情を頂こうか」
「構わない」
「鮮度が落ちるし、君という人格が壊れない程度にしか吸えないから、無制限の能力にはできない。精々、1回の睡眠につき3回までだ」
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