39: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:14:07.52 ID:oG3MxUaR0
「君は『彼女』を認識することができないからね。彼女の心の欠片を拾い上げたことで少しずつ認識することができるようになっているけれど、まだ現実の彼女と対面できる段階じゃないんだ」
「まだよくわからないが、あの光の玉を集めれば、全て理解できるようになるんだな」
「そう。君の記憶も蘇る」
40: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:14:53.75 ID:oG3MxUaR0
「君は、排除されないのか?」
「ふふ。僕はステルススキル持ちだから」
俺は素朴な木の窓に手をかけた。古い民家についていそうな窓だ。
41: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:16:01.77 ID:oG3MxUaR0
森。何処までも続く、森。霧が立ち込めていて、視界は少々不明瞭だ。
時々、ゴォォ、ゴォォと低い風の音がしている。
なんだか物悲しい雰囲気のする空間だ。寂しい。
42: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:16:35.76 ID:oG3MxUaR0
ゴォォォォォォ
ゴォォォォォォ
最深部へと進むと、一瞬視界が真っ白になり、灰色の町へと出た。
43: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:20:20.10 ID:oG3MxUaR0
悪夢なら早く覚めてくれとも思うが、俺は探さなければならないものがある。
走る。走る。走る。
泥濘に足を取られそうになっても、必死に走る。
44: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:22:30.69 ID:oG3MxUaR0
まだ上っている途中の男に椅子を投げ落とした。大したダメージを受けている様子はない。
ごついハンガーラックで殴ってみる。
男は階段の下に転がったものの、少し経ったらすぐに起き上がってきそうだ。
45: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:23:57.23 ID:oG3MxUaR0
懐かしい部屋。彼女のにおい。
しかし感慨に浸っている余裕はない。
彼女の勉強机の引き出しから光が漏れている。そうか、そこにあるのか。
46: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:24:55.45 ID:oG3MxUaR0
――あれ、痛くない?
おそるおそる目を開ける。
47: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:27:41.95 ID:oG3MxUaR0
手に握った光の玉の輝きが増し、景色を包み込んだ。
『ねえ、このキュロットスカート、前に布がついていて本当のスカートみたいに見えるの』
48: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:28:43.67 ID:oG3MxUaR0
翌日、彼女はスカートを穿いて登校した。
チラチラと俺の様子を窺っていた。
可愛い、似合ってると褒めてほしいんだろうなと察しはついたが、当時クソガキだった俺には素直に褒めることなんてできなくて、知らんぷりを決め込んだ。
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