31:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:29:14.96 ID:eCrKDArS0
「でも、本当に良かった。こういうの、生で見るの初めてだったけど……卯月、すごく楽しそうだったし。わたしも楽しかった」
凛が励ますように笑いかけると、卯月はこくりと頷き、そして
「……うんっ。私、楽しかったです!」
32:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:29:48.72 ID:eCrKDArS0
○
翌朝、台風一過のすがすがしい青空であった。
いつものように友達とおしゃべりしながら登校していた卯月は、
33:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:30:26.81 ID:eCrKDArS0
「はあっ? い、いきなり何……べつに、そんなことないよ」
「えへへ……あと、照れ屋さん」
「からかわないでよ」
34:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:31:09.15 ID:eCrKDArS0
※
異色のコンビの噂が広がっても凛は相変わらずクラスで浮いた存在のままであった。
というより、これまで以上に周りから距離を置かれるようになった。
35:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:32:06.54 ID:eCrKDArS0
――さて、ここでひとつ断っておかなければならないのは、
このSSが複雑な人間関係を描くことを主題としているわけではない、ということである。
つまり、本来であればここで卯月が、凛と、凛のことを悪く言うクラスメイトの両方から板ばさみにあい、
それによって苦悩するというシーンがあるのが自然だろう。
36:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:32:51.11 ID:eCrKDArS0
――その日、凛は帰宅してからハナコの散歩に出かけ、そしていつもとは違う道を行った。
以前来た時と同じように、川面には夕日に伸びた自分とハナコのふたつの影が揺れて映っている。
そうして秋の夕暮れの景色に心を奪われながらゆっくり歩いていると、ふと、背後から声をかけられた。
37:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:33:18.97 ID:eCrKDArS0
「わあ、ほんとに綺麗な夕日……」
そうして二人は以前と同じように河原に腰を下ろし、並んで夕日を眺めた。
「……ねえ卯月。ひとつ聞いてもいい?」
38:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:34:01.50 ID:eCrKDArS0
「あ、そういえば思い出した」
卯月がポンと手を叩いて言った。
「お世話になったマネージャーさんに今度お礼をしようと思ってるんです。それで何か良いのないかなって探してるんですけど」
39:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:34:37.03 ID:eCrKDArS0
「あーっ!! あの時の!」
「う゛ぇぇーっ!? あの時の店員さん!?」
お互い指を指しながら驚きに口をパクパクさせた。
40:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:35:09.40 ID:eCrKDArS0
「べつに不良っぽく振る舞ってるつもり、ないんだけどな。周りが勝手にわたしのことそう思ってるだけで……」
(でもそのピアスはちょっと不良っぽいんじゃないかなあ)
と卯月は思ったが言わないことにした。
41:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:36:49.65 ID:eCrKDArS0
二人はそれから時間を忘れて話し込んだ。
学校のこと、友達のこと、家族のこと、そしてアイドルのこと……
年齢も趣味も、過ごしてきた環境も違う二人はそれぞれが相手の話す言葉に自然な関心を抱いた。
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