36:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:32:51.11 ID:eCrKDArS0
――その日、凛は帰宅してからハナコの散歩に出かけ、そしていつもとは違う道を行った。
以前来た時と同じように、川面には夕日に伸びた自分とハナコのふたつの影が揺れて映っている。
そうして秋の夕暮れの景色に心を奪われながらゆっくり歩いていると、ふと、背後から声をかけられた。
「凛ちゃん! ハナコちゃんのお散歩ですか?」
ジャージではない、制服姿の卯月がそこにいた。
凛は嬉しそうに手を振って応える。
「あれ? でも普段は違う散歩コースだったんじゃ……」
「え、いや、これはその……なんだっていいでしょ」
ごまかそうとしてごまかしきれず照れる凛。
「卯月こそ、走るわけでもないのになんで……」
「えへへ……実は、ここに来れば凛ちゃんに会えるかな、なんて……」
(天使ッ……!?)
矢で射抜かれたような衝撃であった。
「ほら、学校だとなかなか会う機会ないじゃないですか。せっかく友達になろうって言ってくれたのに、それじゃ悪いかな、って……」
「…………」
「凛ちゃん?」
「……綺麗……」
「へ?」
「わーっ! えーっと、その、つまり……ほら、夕日! すごく綺麗だよ」
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