リボンに願い込めるValentine【ミリマス】
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10:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:02:42.32 ID:P2hx7BeN0
「そ、そうですね百瀬さんにも渡すつもりです」
「渡すのは女の子ばかりなのですね、それなら甘いチョコレートをオススメするのです。 女の子は誰だって甘いお菓子が大好きだから、とびきり甘い甘いチョコレートを渡せば喜んでもらえること間違いなし! なのです」
「そうですね〜 甘いお菓子が苦手な女の子が居たら見てみたいものですよねぇ、まつりさん?」
11:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:03:14.23 ID:P2hx7BeN0
「そう、プロデューサーさんはまつりや朋花ちゃん、みんなのことは好きですか?」
「……」
『好き』そうやってすぐに答えられない自分が嫌、私は未だにこの子たちのことを受け入れられてない。
12:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:03:43.26 ID:P2hx7BeN0
「あれ? 天空橋さんその分量は違うんじゃ」
「大丈夫ですよ、私の作るチョコレートは二人が作るものとは別ですから、私がチョコを渡したい相手は少し面倒な人ですからね〜」
「面倒……?」
13:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:04:12.15 ID:P2hx7BeN0
「ラッピングも終わり、これで完成なのです」
目の前に置かれいる、いくつもの綺麗に包まれたチョコレートたち。 お菓子作りなんて私に無縁のものと思っていたけれど、作ってみると案外これは私向きの地味で事務的なものだった。 これなら来年は私一人でもやれそうだ。
「それじゃ姫からプロデューサーさんにひとつ」
14:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:04:44.85 ID:P2hx7BeN0
「それなら私も、いつもお世話になっています」
「ううん…… その渡し方は30点というところでしょうか」
「えっ?」
15:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:05:12.94 ID:P2hx7BeN0
「バレンタインはこれからが本番です。 もしかしたらこの後貴女にとってとても苦しいことが起きるかもしれません」
「だけど逃げたりしないでね、彼女からも自分からも逃げずに向き合って、後悔だけは絶対にしちゃダメだよ?」
えっと……
16:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:06:54.37 ID:P2hx7BeN0
徳川さんと天空橋さんに手伝ってもらって、何とか手作りチョコレートを用意出来て、ついにバレンタイン当日。
まずは首尾よく社長さんや音無さん、青羽さんに渡すことは出来た。 ある意味予想通りだけど、誰からもチョコを手作りしたことを驚かれた。 少し前の私でも、私がチョコを手作りしたことを知ったら同じ反応すると思う。
伊吹さんと所さんにも渡そうと思っていたけど、二人とも他のアイドルの子たちと遊びに出掛けていったらしい。 まぁ無理に今日渡す必要も無いか……
17:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:07:23.31 ID:P2hx7BeN0
やはり私は事務仕事人間のようで、仕事を始めると時間もチョコも忘れ、黙々と作業に打ち込むことが出来た。
人と向き合わない仕事は楽、PCは人と違って自分が思った通りに動いてくれるし、気を使う必要だってない。
あぁ…… 結局こういう人なんだな私は、自分の心の中は誰にも見せたく無い、それなのに他人の思考が見えないのは許せなくて、そして怖い。
18:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:07:52.30 ID:P2hx7BeN0
一気に体温が下がる、血の気が引いていくのを感じる。 大きな取り返しのつかない失敗をしてしまった時のあの感覚。
しまった…… いい時間になったら百瀬さんに連絡してチョコを渡そうと思ってたのにもうこんな時間に……
急いで電話を取り出して彼女にメッセージを送ろうとして、自分を制止する。 こんな時間に彼女を呼び出しても迷惑に決まっている。
19:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:09:05.10 ID:P2hx7BeN0
本当に……?
本当に、私はただ百瀬さんへの連絡を『忘れた』のか? 私の脳が高速回転を始める。 私を悪役にするために、私を追い詰めるために。
つまりこう。 私は百瀬さんにチョコを渡すのが怖いから、逃げたいからわざと連絡せずに約束を破った。 そしてそれを自分自身に『忘れた』と思い込ませて。
20:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:10:32.65 ID:P2hx7BeN0
「あ、やっぱりここに居た」
ノックも無く開けられる扉。 たった少し聞いただけで、それまでのめちゃくちゃだった気持ちを更にめちゃくちゃにしてくれる声。
「も、百瀬さん……」
21:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:11:03.13 ID:P2hx7BeN0
なんて、余計なことを考えている内にも百瀬さんは私にどんどん近付いてくる…… どうしよう……
「ねっ、どうしたの?」
「何でも…… 何でもないです……」
22:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:11:29.48 ID:P2hx7BeN0
耳で百瀬さんの声を受けとりつつも、私の意識は私の足元、急いで隠した鞄の中のピンクの小箱に向けられていた。 いったいどうやって渡せばいいのか。
然り気無くなんて出来ない、まっすぐ見つめて想いの言葉を添えるなんてもっと出来ない。
そんな私が選ぶ方法は、結局……
23:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:12:03.07 ID:P2hx7BeN0
「そう。 それじゃあ家に帰っての楽しみにするわね。 それじゃあ私からも……」
「ハッピー、バレンタイン」
百瀬さんが手渡したのは、私も知っている有名店の紙袋で、私には手作りを要求したのにそっちは既製品なの? とか、徳川さんや天空橋さんと同じでしょ? なんて冷静な私は死んでしまって。
24:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:12:53.03 ID:P2hx7BeN0
「それじゃあ私はこのみ姉さん達の所へ戻らせてもらうけど…… キミは来ないわよね?」
「はい……」
百瀬さんの指す馬場さんや桜守さん、後豊川さんや北上さんらの飲み会、まだまだ私にはとても行けそうにはない。
25:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:13:22.88 ID:P2hx7BeN0
「わかったわ」
きゅう、ってしてくれた。
そうされること。 それを自然に受け入れられること。 どちらも今まで信じられないことだった。
26: ◆dwiL9FlWN.
2018/05/20(日) 16:15:00.52 ID:P2hx7BeN0
2/14に投稿したかったんですが、諸事情により遅れました。
読んでくれた人ありがとうございました。
27:名無しNIPPER[sage]
2018/05/20(日) 16:22:03.82 ID:7WvL/PvHO
女性Pモノなかなか見ないのもあって良かったです
28: ◆NdBxVzEDf6[sage]
2018/05/20(日) 17:49:48.14 ID:c00vH8p60
まつりと朋花のアドバイスがいい感じ、流石だ
乙です
>>3
百瀬莉緒(23) Da/Fa
29:名無しNIPPER[sage]
2018/05/21(月) 01:28:10.18 ID:kPvtFP430
たしかに謎多きキャラのまつりと聖母の人の起用で女Pから見る他人のについて、特に好きについての底知れなさが表現されてるね
女Pものってこれ女性の必要ある? って話もあるんだけどこれはおもしろかった
莉緒さんって男Pものだと小悪魔的だけどウブな
どちらかというとコミカルな一面がクローズアップされがちだけど
同性にすることで莉緒さんの圧倒的な美と大人の女性としてのふるまいと気遣いか強調されてたと思う
30:名無しNIPPER[sage]
2018/05/21(月) 04:32:40.97 ID:vG0igkXvO
桃子「この金の城いい踏み台だね!」
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