リボンに願い込めるValentine【ミリマス】
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22:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:11:29.48 ID:P2hx7BeN0
耳で百瀬さんの声を受けとりつつも、私の意識は私の足元、急いで隠した鞄の中のピンクの小箱に向けられていた。 いったいどうやって渡せばいいのか。

然り気無くなんて出来ない、まっすぐ見つめて想いの言葉を添えるなんてもっと出来ない。

そんな私が選ぶ方法は、結局……

「そう、チョコレートよ。 持ってきてくれた?」

百瀬さんに察してもらって、要求してもらうこと。 他人任せの、格好悪い、臆病な、とても私らしい選択。

「はい……」

鞄を漁って、ピンク色の小箱を取り出す。 この日のために作られた、私らしくて私らしくないもの。

手にとって、突きだす。 たったそれだけでも手が震える。 もう見てられない。

そんな私の手の震えは、百瀬さんの手によって止められる。 重なる手、頂点を越えて更に熱くなる私の体温。

百瀬さんを見つめられずチョコレートに下ろされていた私の視線は、二人の手が重なる所をはっきり捉えてしまって、その衝撃に耐えられず明後日の方へ飛んでいく。

「ありがとう。 今開けてみてもいい?」

「だ、ダメです! 絶対…… 今はダメです!」

チョコレートを食べて『美味しい』って言われたら自分の感情がどうなるかわからないし、『美味しくない』なんて言われてもどうなるかわからない。


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