84: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/26(土) 23:43:31.10 ID:k41t6Mgh0
「……まあ、自信ってな、そうやってつけるものかもね」
「あと加害恐怖の傾向があるね。強迫性障害の一種」
周子ちゃんが眉をひそめる。
85: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/26(土) 23:45:13.72 ID:k41t6Mgh0
「最初に会ったときさ、ほたるちゃん、私はアイドルなんかやっちゃいけないって言ってたんだ、みんなを不幸にするからって」
「うん」
「それでも、アイドルになりたいって言ったんだ」
86: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/26(土) 23:46:31.79 ID:k41t6Mgh0
「そいえば周子ちゃん、ごはんはどうしてる?」
「ん、寮の食堂で。あんまり大勢いるとこに行くのもなんだからね、特別に時間ずらしてもらってる」
「しっかり食べてる?」
87: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/26(土) 23:47:36.30 ID:k41t6Mgh0
――いい匂いがする。
「……んっ、じゃあたしはここらで失礼するから、それは飲まないようなら捨てちゃっていいよ。じゃーねー、鍵はかけないでいいからねー」
88: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/26(土) 23:48:35.72 ID:k41t6Mgh0
「あー、うん。少し」
「帰ったらゆっくり休みなね。志希ちゃんまで倒れたら困っちゃうよ」
「プロデューサーたち大あわてだろうね、おもしろそ〜」
89: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/26(土) 23:50:18.77 ID:k41t6Mgh0
建物の外へ。かすかに足元がふらつき、頭を振って眠気を払う。タクシーをつかまえ、帰宅。
玄関先で眠りそうになるのをこらえ、洗面所へ。手を洗い、うがいをする。
『私が、困っちゃうよ』
90: ◆ikbHUwR.fw[sage]
2018/05/26(土) 23:51:28.01 ID:k41t6Mgh0
(本日はここまでです)
91:名無しNIPPER[sage]
2018/05/27(日) 00:00:10.21 ID:xYuDFfGk0
乙です
いいね、匂わせるね、志希だけに
92: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/02(土) 10:32:17.97 ID:Y+SAhLWq0
08.
小学6年生の運動会のとき、私は女子長距離走のクラス代表に選ばれた。
特別運動に秀でていたわけでもない私が、なぜ代表に選ばれたのかはわからない。もしかしたら、みんながやりたがらない種目を押し付けられただけなのかもしれない。
93: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/02(土) 10:33:20.64 ID:Y+SAhLWq0
*
駅の階段を駆け昇り、地上に出る。空は灰色に曇っていて、季節のわりに少し気温が低かった。
携帯電話を取り出して時間を確認する。約束の時間を10分ほど過ぎていた。
きょろきょろと辺りを見回すと、少し離れたところで、女性が手を振っていた。
94: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/02(土) 10:34:25.10 ID:Y+SAhLWq0
夕美さんの傘は、透明だけど外側のほうにピンク色のラインが入って、その少し内側に色とりどりのお花の模様が踊るように散りばめられていた。丈夫さ以外の観点で傘を選んだことのない私には、こういうものがどこで売っているのかもわからなかった。
「かわいらしいですね」
「ほたるちゃんは、傘は?」
202Res/248.44 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20