139:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 22:52:27.95 ID:A6rjc17z0
「あれ、そういやネーサンは? 実家どこだっけ?」
ふと、思い出したようにプロデューサーが聞きました。
「ご両親もイイ歳でしょ? ずーっと働きづめで、全然お休み取ってないじゃん、ネーサン」
140:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 22:57:26.12 ID:A6rjc17z0
「えっ……あ、そうなのぉ!?」
一際大きな声で、プロデューサーさんがキョロキョロと事務員さんの顔を覗き見ています。
どうやら、彼も知らなかった事のようです。当然、私とほたるちゃんも驚きました。
141:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 23:00:27.63 ID:A6rjc17z0
「話を戻そう」
ふぅ、とため息をついて、事務員さんは後ろの私達に向けて手を上げてみせました。
「温泉でもどうだろう。関東圏内なら、箱根や群馬の草津温泉など、日帰りでも行ける所はある」
「えーやだよ日帰り、忙しいじゃん。ゆっくり一泊してこうぜ」
142:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 23:04:53.12 ID:A6rjc17z0
「え、えぇぇっ?」
困惑した様子で、ほたるちゃんがプロデューサーさんの方を見ました。
「どこぞの若手芸人ばりに、食い気味に「また私の不幸が皆々様にご迷惑をぉ〜!!」とか言い出したら」
「そ、そんなキャラじゃないです、私っ!」
143:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 23:08:09.04 ID:A6rjc17z0
大きな国立公園の、関係者専用の駐車スペースに案内され、車を降ります。
「そうだ。オバちゃんから高ぇタフマン、皆の分も買っといたから、本番前に乾杯しようぜ」
そう言ってプロデューサーさんが、手に持った袋から皆にそれを手渡しました。
144:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 23:10:28.87 ID:A6rjc17z0
「主役……」
ふと、隣に立つほたるちゃんを見ました。
145:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 23:13:14.09 ID:A6rjc17z0
私の通っていた地元の高校は、田舎であった分、敷地も校庭もすごく広いものでした。
100m走のレーンを斜めではなく真横に引いて、なお十分な余裕があったほどです。
眼下に広がる一面の広場は、記憶にあるその校庭の、優に倍の広さはあるでしょうか。
146:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 23:17:04.54 ID:A6rjc17z0
「そこの、今ちょっとデブな人が降りてった、向かって右側の階段からかな?」
プロデューサーさんが、手元の資料を見ながら指を差しました。
「で、終わって捌ける方も同じ。待機場所の舞台袖もそこだから、迷う事は無いと思う」
147:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 23:19:51.30 ID:A6rjc17z0
事務員さんが指を差す先には、資料を片手にスタッフさん達と忙しそうに言葉を交わしている、帽子姿の男性がいました。
「はい」
「それと、例のモノは、いつ渡すんだい?」
148:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 23:22:31.29 ID:A6rjc17z0
責任者さんにご挨拶と、今日の進行を再度確認しました。
雨が降る予定だったので、急遽テントを増設して、待機場所を変更したのだそうです。
それから、音声のスタッフさんに今日の音源を渡して――。
えぇと、確かこの辺に――。
149:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 23:25:48.76 ID:A6rjc17z0
「なぁ、知ってます? 今日台風が来るんだってよ、台風。
ちょうどフェスが始まる頃に首都圏上陸ってな」
ハハハ、と無遠慮に笑い飛ばしながら、その場に立ち尽くす私の横をゆっくりと通り過ぎていきます。
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