149:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 23:25:48.76 ID:A6rjc17z0
「なぁ、知ってます? 今日台風が来るんだってよ、台風。
ちょうどフェスが始まる頃に首都圏上陸ってな」
ハハハ、と無遠慮に笑い飛ばしながら、その場に立ち尽くす私の横をゆっくりと通り過ぎていきます。
彼は、派手派手しい黄土色のシャツの下、黒地に強めのラメが入ったズボンのポケットに手を突っ込んでいました。
「出演するアイドルの子達だけじゃなくって、観客も可愛そうだよなぁ。そう思わない?」
「そうですね、生憎のお天気になりそうで…」
「だーもう、おたくらは本っ当にオツムが足りねぇよなぁ」
ぐるりと彼は私に向き直り、乱暴に手を振りました。
「“死神”が出しゃばるから周りが割を食うんだってこと、いい加減自覚したらどう?
迷惑なんだよ、ハッキリ言って。346さんだって内心そう思ってるだろうぜ」
「今日のお天気が、私達のせいだと言いたいんですか?」
私が聞くと、彼は鼻を鳴らします。
「それ以外に何があんの」
はだけた胸元に、ゴテゴテのネックレスが光っているのが見えます。
「頼むからさ、俺達や346さんみたいに真摯に頑張っている人の足を引っ張らないでくれよ。
純粋にアイドルと向き合っている人達へのさぁ、冒涜じゃねーの。“死神”ちゃんの存在そのものがさ」
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