96: ◆kiXe9QcYqE[saga]
2018/04/19(木) 17:39:05.17 ID:k+y3Cfxv0
シン「泳げもしないのにこんなところで…死ぬ気かっ!このバカ!」
怒鳴りつけられ、少女の身体が、縮み上がる。
ルナマリア「ちょっとシン!」
97: ◆kiXe9QcYqE[saga]
2018/04/19(木) 17:41:27.35 ID:k+y3Cfxv0
半狂乱になった少女の向かう先は、今さっき逃れたばかりの海だった。
シンは慌てて走り寄って少女の身体を抱きとめ、懸命に叫んだ。
シン「大丈夫だ!君は死なない!」
98: ◆kiXe9QcYqE[saga]
2018/04/19(木) 17:42:50.65 ID:k+y3Cfxv0
ルナマリア「もう大丈夫みたいね」
シン「ルナ、基地には連絡してくれたんだろ?」
ルナマリア「ええ。でも、救援が来るまでずっとこのままってわけにも…」
99: ◆kiXe9QcYqE[saga]
2018/04/19(木) 17:45:41.81 ID:k+y3Cfxv0
ステラは、シンの肩に頭をもたせかけ、揺らめく火をぼうっと眺めている。
洞窟の中に聞こえるのは、火がパチパチと弾ける音と、寄せて返す波の音だけ。
安心しきったステラを見て、シンとルナマリアも、心地よい静けさに身を任せた。
どれぐらいの時間そうしていただろうか。
100: ◆kiXe9QcYqE[saga]
2018/04/19(木) 17:47:16.72 ID:k+y3Cfxv0
スティングは焦っていた。ステラを一人にして、アウルと共に街で遊び惚けていたのは失敗だった。
ステラは朝、街の近くにある海岸で遊んでいた。だが、夕暮れになって迎えに来てみれば、彼女の姿はなかった。
艦にいるときも、甲板で一日中海を眺めているようなやつだから、海岸に置いておけば平気だろうと軽んじていた。
ネオには、ステラから目を離すなと言われていたのに。
101: ◆kiXe9QcYqE[saga]
2018/04/19(木) 17:49:15.24 ID:k+y3Cfxv0
それからしばらく探し続けて、いよいよ途方に暮れたとき、一台の軍用車両が、スティングたちの近くで停まった。
アウル「おい、あれ!」
スティングたちが驚いたのは、それがザフト軍の車両だったということよりも、その車上に、探していた少女の姿があったからだった。
102: ◆kiXe9QcYqE[saga]
2018/04/19(木) 17:51:06.66 ID:k+y3Cfxv0
やがて車が軽くクラクションを鳴らし、赤い髪の少女は車の助手席に乗り込む。
シン「それじゃあ、自分たちはこれで」
少年も後部座席の扉を開けるが、ステラに服の裾を掴まれ、こちらを振り向く。
103: ◆kiXe9QcYqE[saga]
2018/04/19(木) 17:53:14.00 ID:k+y3Cfxv0
シン「俺はシン。シン・アスカ」
ステラ「シン…?」
シン「うん。…また会えるよ、きっと」
104: ◆kiXe9QcYqE[saga]
2018/04/19(木) 17:55:15.16 ID:k+y3Cfxv0
やがて車両が動き出し、それを追ってステラは二、三歩走った。
少年の方も、車上から顔を出して、ステラに手を振り続けていた。
車両が角を曲がり、少年が見えなくなっても、ステラはしばらく立ち尽くしたままだった。
スティングは、少年とステラが二度と出会わないことを祈った。
105: ◆kiXe9QcYqE[saga]
2018/04/19(木) 17:57:35.86 ID:k+y3Cfxv0
シンたちを宿舎まで送り届けて車を返し、自分も部屋に戻ろうとしていたアスランは、
テラスに見覚えのある人影があるのに気づいて足を止める。
アスラン「ハイネ…?」
106: ◆kiXe9QcYqE[saga]
2018/04/19(木) 17:59:14.22 ID:k+y3Cfxv0
ハイネ「しかし休暇中に遭難とは、ミネルバのエースくんもやることが派手だねえ。戦闘中に無茶しなけりゃいいんだけどな…」
ハイネ「もう、仲間が死ぬのは御免だぜ」
拳を握りしめるハイネに、アスランはなんと声をかけたものか迷ったが、ひとつだけ確かな答えがあった。
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