97: ◆kiXe9QcYqE[saga]
2018/04/19(木) 17:41:27.35 ID:k+y3Cfxv0
半狂乱になった少女の向かう先は、今さっき逃れたばかりの海だった。
シンは慌てて走り寄って少女の身体を抱きとめ、懸命に叫んだ。
シン「大丈夫だ!君は死なない!」
少女の細い身体を、かたく抱きしめる。
シン「俺がちゃんと…君を守るから!!」
少女の身体から、ゆっくりと力が抜けていく。
涙に濡れたつつじ色の瞳が、おずおずとシンの顔を見上げる。
「まも…る……?」
シン「…うん」
少女を安心させるために、咄嗟に出た言葉だった。
それでも、この無垢な瞳に見つめられれば、その言葉を嘘にはしたくないと思った。
シン「俺が、君を守るよ。約束だ」
少女はシンの手を取り、その温もりを確かめるように、自分の頬に当てた。
「守る……」
シンは空いた方の手で、少女の髪を優しく撫でてやった。
少女はうっとりと目を閉じ、シンに身を委ねた。
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