17: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:44:36.85 ID:X17K8DuQ0
ちょっと休憩しようと僕の声が喉から出る前に、忍の足が引っかかって姿勢を崩す。
忍がどさっと尻もちをついても、アイドルソングは無情に流れ続けた。
18: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:45:22.08 ID:X17K8DuQ0
「だからちょっと休んで、」
元々はちょっと休憩させようと思っていたことを思い出して。
19: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:46:34.55 ID:X17K8DuQ0
できないって認められるってきっと大切だ。
山の頂上からのキレイな景色を見るためなら、小さなプライドなんてどうってことないと。
自分の力不足に悲しくも、苛立たしくもなるけれど、それでも山の麓で一歩を踏み出してみる。
20: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:47:14.16 ID:X17K8DuQ0
――――――
―――
21: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:48:12.56 ID:X17K8DuQ0
こいつは本当にまったく。
そんな気持ちを表すように、長い、長い溜息をついた。
忍は勢いだけ先走っていくから、ちゃんと考えてるのか不安になる。
22: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:48:59.15 ID:X17K8DuQ0
椅子に腰をかけると、アコースティックギターを抱えて、カポタストを合わせて。
それから六弦の音を半音下げて調律していく。
23: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:50:03.40 ID:X17K8DuQ0
たどたどしいイントロのアルペジオに合わせて、忍の足が左右にステップを刻む。
うろ覚えの一発勝負だからリズムがいまいち掴めてない。
24: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:50:37.71 ID:X17K8DuQ0
天井をぴんと指す指先に、アコースティックギターの残響が重なって。
急ごしらえのセッションは静かに終わった。
25: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:51:41.59 ID:X17K8DuQ0
◇
26: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:52:30.25 ID:X17K8DuQ0
「それは……まぁ、その、うん……ごめんね」
自分の言葉のせいだと分かっているから、忍のしゅんとした顔は思った以上に良心に響いた。
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