18: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:45:22.08 ID:X17K8DuQ0
「だからちょっと休んで、」
元々はちょっと休憩させようと思っていたことを思い出して。
慌てて付け足した言葉の端を忍に盗られる。
「また頑張ればいいんだっ!」
こいつ、まだ頑張るつもりなのか。
慰めと諦めの境地の言葉は、なぜか逆に忍の心にやる気を灯した。
それだけのエネルギーはどこに埋まっているんだよ。
感心を通り越して呆れつつも、それでも忍が弱気になることもあるんだな。
上手いかどうかはさておき、努力に努力を重ねる、選ばれた強い人間だとずっと思ってきた。
人の弱みを見ると親近感が湧くと言うけれど、まさに今そんな気持ちになる。
忍の表情がすっと変わる。
それで、とりあえず頑張ってみるのをやめたのが僕にも分かった。
「ね、アタシのダンスを見てなにか気付いたこととかある?」
まぁ、ダンスなんか詳しいわけじゃないんだけど。
それでも思ったことが、気付いたことが、もしかしてヒントになるなら。
僕は君にできることをしてあげたい。今はただ、なんとなく。
「身体が硬すぎなんじゃない? ストレッチとかアップとかちゃんとした?」
「……やってない、です」
「やっぱり」
たかが素人のアドバイスは、忍にも思う所があった部分のようだった。
僕の何気ない言葉を素直に聞いてくれたことが、なぜかすごく嬉しい。
忍は慌てて、コンポを止めて、ストレッチを始める。
「痛い、痛いっ」
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