工藤忍「おかしなうさぎは夢見て跳ねる」
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25: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:51:41.59 ID:X17K8DuQ0





 家路へと着く頃。
 季節が巡って、また橙が空を薄く染めるのを見ることできるようになった。
 白景色はあいかわらずだけど、空には少しずつ春が近づいている。

「はぁーっ。今日もお疲れ様でした!」

「……」

 今日も揃って靴を履いて、踏み固められた雪の上を歩いて、校門へと向かっていく。
 昨日も一昨日もそうだった。きっと明日も明後日もだろう。
 だからこそ、僕は言わねばならない。

「あれっ、不満そうっ。今日のステップはなかなかじゃない?」

「……お給料を要求します」

「? なんの?」

 きょとんとした瞳のまま忍が首を傾げる。
 その普段は見れない仕草に決心が少し揺らぐ。

 でも、こういう時にはっきり言っておかないといけない。
 忍とは友達なのか、なんなのかさえ分かっていないんだから、なおさら。

「なんで、毎回、伴奏することになってんの!!」

 忍がコンポを壊して、ふたりのセッションはあの日だけだと思っていた。
 でも、何か気に入るところがあったのか、次の日もなんだかんだやることになって。
 一時停止も巻き戻しも思いのままだなんて考えてないだろうか。


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