273:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:17:27.58 ID:UnTjGLwD0
「余計なお世話よ、ばーか」
水瀬さんの猛禽類のように鋭い眼光が、私を射抜く。
274:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:23:10.14 ID:UnTjGLwD0
「仕事なんて二番目なの、私達にとってはね」
「水瀬さんらしくない言葉ね。家族を見返してやるってあんなに言ってたのに」
275:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:31:38.57 ID:UnTjGLwD0
「別にアンタは答えなくていいわよ、わざわざ聞く気もないし」
こめかみに力が入り始めたところで、水瀬さんはあっけらかんと言い放った。
276:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:35:26.47 ID:UnTjGLwD0
「自分にとって大切なもののためだけに、アンタを心配する。ね? 私達、すっごい自己中でしょ」
「自分勝手な考えだし、良いわよ、私達の心配を面倒に、鬱陶しく思っても。そのせいで私達を嫌いになっても」
277:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:36:28.18 ID:UnTjGLwD0
「い、伊織ちゃん……ちょっと言い過ぎじゃないかしら……?」
「別にいいのよ、小鳥。ネジが何本か飛んじゃってるみたいだから、これくらいガツンと言ってやらないと」
278:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:42:18.99 ID:UnTjGLwD0
『もっと大切なもの』。
水瀬さんはそう言った。
279:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:43:13.05 ID:UnTjGLwD0
受付で忘れ物をしたことを話し、病室へ向かう。
角を曲がって春香の病室が見えた時、扉が開いていることに気付いた。
280:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:44:50.05 ID:UnTjGLwD0
「ハンカチ、取りに来たんだろう。しっかり者でも忘れ物をするんだな」
「はい、ありがとうございます」
281:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:47:36.15 ID:UnTjGLwD0
「毎日毎日、自分なりに試行錯誤してた。ボイトレしたり、振り付けを真似したり」
「でもこんな体質だからな。アイドルを目指すのは愚か、レッスンを受けることすら叶わなかった」
282:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:48:17.76 ID:UnTjGLwD0
いつも明るい春香。
私は彼女のことを、どれだけ知っているのだろう?
283:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:48:47.33 ID:UnTjGLwD0
私は彼女に何を与えた?
何も与えていない。
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