16:1[saga]
2018/03/20(火) 21:27:51.96 ID:NiGcwUvh0
14.
「私とお姉ちゃんはね、もともと小中高一貫の、有名な音楽大学の附属校に通ってたの。私もお姉ちゃんもピアノをやってたから。でも小学校を卒業するとき、お姉ちゃんのいじめが原因で転校することにしたんだ。私も一年遅れて、小学校卒業からお姉ちゃんが通ってるこの中学校に進学したの」
よく考えればあり得る話だ。その学校の中でも、唯先輩は飛び抜けていただろう。周囲からは疎まれるかは分からないが、少なくとも浮いていく。唯先輩は子どもっぽいから尚更、同級生は劣等感を感じたのだろう。
17:1[saga]
2018/03/20(火) 21:28:25.22 ID:NiGcwUvh0
15.
「お姉ちゃんは、とっても寂しい思いをしてると思うの。私はお姉ちゃんのことを1番近くで見てきたから、苦しんでる姿も1番見てきた。でもね、」
今までごちゃまぜな感情で強く拳を握っていた平沢さんが、優しく私の手を握った。
18:1[saga]
2018/03/20(火) 21:32:00.58 ID:NiGcwUvh0
16.
ーー私、唯先輩に、もう一度ピアノを弾いて欲しいんだ。
唯先輩もきっと、それを望んでいる。唯先輩はずっと音楽室に、ピアノのそばにいたのだ。
19:1[saga]
2018/03/20(火) 21:34:49.69 ID:NiGcwUvh0
17.憂side 放課後
校舎の中に自動販売機はなかったから、私は校舎のすぐそばのコンビニに寄ってから音楽室に向かった。手に持つのはお姉ちゃんが大好きないちご牛乳と、コーヒー牛乳。梓ちゃん、気に入ってくれるかな。
音楽室の窓からこっそりと中を覗く。2人は私が図書館でもらってきたコンクールの資料を床に座って眺めていた。
20:1[saga]
2018/03/20(火) 21:38:19.78 ID:NiGcwUvh0
「ここ、差し入れ置いとくね」
「あ、ありがとう。憂」
「できたよ、梓ちゃん!」
21:1[saga]
2018/03/20(火) 21:40:11.26 ID:NiGcwUvh0
18.唯side 練習中
ーー近寄んないでくれないかな、バカが移るから。
ーー天才はいいよね〜私たちのこと見下してるんでしょ。
22:1[saga]
2018/03/20(火) 21:42:34.71 ID:NiGcwUvh0
19.梓side
唯先輩を日当たりのいい窓際に寝かせて、私の上着をかけた。タオルで汗を拭いてあげる。
唯先輩は、演奏を始めて30秒ほど、何事もなく演奏をしていた。それから突然、意識が演奏から離れ出し、遂には手が止まり、意識も失ってしまった。
23:1[saga]
2018/03/20(火) 21:44:42.39 ID:NiGcwUvh0
20.次の日 昼休み
「市内の演奏会?」
私と唯先輩は、憂が持ってきた資料を覗き込んだ。
24:1[saga]
2018/03/20(火) 21:46:54.88 ID:NiGcwUvh0
21.
作戦はこうだ。
唯先輩の発作は必ず起こり、発作まではだいたい演奏開始から20秒以上の猶予があることが分かっている。
25:1[saga]
2018/03/20(火) 21:48:08.15 ID:NiGcwUvh0
22.憂side 当日
「純ちゃん、こっちこっち〜!」
「あ、憂〜。早いね」
26:1[saga]
2018/03/20(火) 21:49:48.94 ID:NiGcwUvh0
23.梓side 控え室
梓「ゆ、唯先輩、どうしたんですか?」
唯先輩は私の影に隠れるように座り込んだ。私はどうすればいいのか分からずじっとしていた。
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