76: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/03/11(日) 23:07:13.44 ID:h206M/Hho
否! 全ては現実に起きた出来事であり、海美も地上人として召喚されたりはしなかった。
どちらかと言えば彼女たちに起きたのはその逆だ。
77: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/03/11(日) 23:08:57.82 ID:h206M/Hho
「あ〜……こんばんわ、お邪魔してます」
奈緒が申し訳なさそうにそう言って、顔の前で謝るように手の平を立てる。
78: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/03/11(日) 23:10:14.68 ID:h206M/Hho
「……相変わらずなんて無茶苦茶する娘だ」
伊織から一通りの説明を受けたP氏が頭を抱えて唸り出す。
79: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/03/11(日) 23:11:33.62 ID:h206M/Hho
奈緒は合点がいったと手を打った。伊織は「呆れて物が言えないわ」と矛盾した台詞を口にした。
ただ一人、美奈子が海美の傍に寄り添うようにしゃがみ込むと。
「これ、私も一口貰っていい?」
80: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/03/11(日) 23:13:31.99 ID:h206M/Hho
その一言こそが決め手になった。伊織がパンと両手を打ち鳴らし、
「撤収、解散、お疲れ様。このバカにはもう少しだけ話があるけども、今日のところはこれで終了」
ぞろぞろと退出して行くガードマン。その様子を間抜けに眺めるままのP氏。
81: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/03/11(日) 23:14:57.36 ID:h206M/Hho
「ところでプロデューサー。ここの契約をする時に私は確かに言ったわよね?
絶対に家の中でアイドルと二人きりにはなるなって」
「……はい」
82: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/03/11(日) 23:16:22.65 ID:h206M/Hho
ご主人伊織の命令にP氏がサッと青ざめる。
週末の清掃作業とは彼が住んでいるマンション周りの掃除全般を言うのだが、
自身の記憶が正しければ実施されるのは明日の朝。
83: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/03/11(日) 23:18:05.58 ID:h206M/Hho
「別にこれがプロデューサーへの罰ってワケじゃないからよ。
あくまで私からのお願いであって、自分の罪悪感を誤魔化すための贖罪には使ってなんて欲しくない」
しかし、伊織の説明はかえって海美を混乱させた。……贖罪の意味が皆目分からなかったのだ。
84: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/03/11(日) 23:19:09.99 ID:h206M/Hho
そうして伊織を見つめる眼差しは、どこまでも真っ直ぐ前を向いている。
……先に根負けしたのは伊織だった。
85: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/03/11(日) 23:19:58.61 ID:h206M/Hho
「……いおりん! ねっ、聞いてくれる?」
考えていた伊織だったのだが、突然声をかけられた彼女は少々びっくりしながらも「な、何よ?」と海美に訊き返した。
86: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/03/11(日) 23:20:26.35 ID:h206M/Hho
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さて――P氏が腰を痛めたことにより始まった小さな騒動はこれで閉幕。
これを女難と見るか僥倖と見るかは受け取る者の心持ち次第。
それでは、最後までご覧いただき真にありがとうございました。
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