82: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/03/11(日) 23:16:22.65 ID:h206M/Hho
ご主人伊織の命令にP氏がサッと青ざめる。
週末の清掃作業とは彼が住んでいるマンション周りの掃除全般を言うのだが、
自身の記憶が正しければ実施されるのは明日の朝。
当然、P氏は心の中で憤慨した。
腰を痛めている状態の人間になんてことを命令するのだと!
だが伊織は「そうそう」と芝居がかった調子で何かを思い出すように指を振り。
「だけどアンタ、腰を痛めたって言ってたっけ。……若い私には
全然関係無いから知らないけど、聞くところによると結構シンドイって言うじゃない」
「あ、ああ! そうだ。実はそうなんだ伊織! 今だってほら、この通り治療の為に横になって――」
「でも寝てばっかりって言うのもかえって治りが遅くなるそうよ。
今はね、動かして治すのが主流なの。新堂だって言ってたわ」
そうして「にひひ♪」と笑った少女の瞳は悪戯心に溢れていた。
これは逃れようのない決定事項。
また、P氏が無事に明日の昼を迎えられるかどうかは定かでなく――。
「あ……あの、いおりん!」
だからこそ海美は二人の間に割って入った。
「それ、私にも手伝わせて? ……っていうか手伝いたい!
だってプロデューサーが腰を痛めたのも、そうやって掃除することになるのも全部私のせいなんだし」
「……ダメよ。海美には悪いけど」
ところがだ。伊織はその申し出をいとも冷たくあしらった。
だがすぐさま「なんで!?」と返した海美には断られた理由が分からない。
……そう目で訴える彼女に伊織がやれやれと嘆息する。
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