83: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/03/11(日) 23:18:05.58 ID:h206M/Hho
「別にこれがプロデューサーへの罰ってワケじゃないからよ。
あくまで私からのお願いであって、自分の罪悪感を誤魔化すための贖罪には使ってなんて欲しくない」
しかし、伊織の説明はかえって海美を混乱させた。……贖罪の意味が皆目分からなかったのだ。
その事に伊織が気づけたのも、海美がチラチラと美奈子に視線をやったからである。
「……アンタねぇ」
まるで予想外の反応を前に伊織は脱力したように肩を落とすと。
「いいこと? つまり私が海美に言いたいのは」
「う、うん! いおりんが私に言いたいのは……?」
「そんな切羽詰まったような顔で自分を貶めることは無いってことよ。
このバカに怪我をさせただとかなんだとか、手伝いたいならそういうのは一切言わなくてもいいの」
言って、手間のかかる子供を見るように今度はやれやれと肩をすくめた。
「アンタ、今回怪我をさせた相手がプロデューサーだからそこまで意地になってるんでしょ?
これが見ず知らずの赤の他人だったらどうなのよ? ここまで熱を入れて謝ることができるワケ?」
「い、いおりん、それは……」
「できないでしょ? 即答。……だから軽々しく"自分のせいで"なんて口にしないでって言ってるの。
人にはそれぞれの身の丈ってものが……あるんだから」
伊織の陰を含んだ物言いによって僅かな沈黙が訪れる。
P氏たちも二人に口は出さず、しばらく自分でも考えた後で海美がおずおず口を開いた。
「なら、要するにただ手伝いたいってことだけを言えばいいの?」
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