77: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/03/11(日) 23:08:57.82 ID:h206M/Hho
「あ〜……こんばんわ、お邪魔してます」
奈緒が申し訳なさそうにそう言って、顔の前で謝るように手の平を立てる。
「ビックリさせたんじゃないですか? でもでも私らの方も余裕なくて……。
あのぅ――まさかとは思いますけどプロデューサーさん、海美と一線超えたりなんてことは」
「し、してませんよね? お二人の声、廊下にまで聞こえてましたけど」
そう言う彼女たちはどちらも不安に心配、
そして僅かばかりの好奇心を含んだ表情で伊織の隣に立っている。
さらには物々しい服装をした四、五人のガードマンが驚きの余り咄嗟に互いを庇い合った
――要するに、抱きしめ合っているのである――P氏と海美を囲んでいた。
これで二人が裸なら、間違いなく「イタしていた」と判断するべき状況だ。
室内をぐるりと見回して、伊織がうんざりするように口を開く。
「美奈子が相談してきたの。アンタたち二人が揃っていなくなってるって」
するとP氏は驚き顔のまま彼女を見上げ。
「そ、それでMSSを使ったのか? 民家に突入させたのか!?」
「悪い? ウチの警備会社なんだもの。私のマンションで何か事件が起きて無いか、
調べるのに使ったって誰にも文句は言わせないわ」
素朴な疑問をズバリ一蹴。
いつまで経っても海美と連絡がつかないことに焦り始めた美奈子たちは、
こういう事態が起きた時、一番頼りになる伊織に協力を要請したのだった。
連絡を受けてからの伊織の行動は実に素早い。すぐさまMSSを動員すると最寄りの温泉を全てチェック。
だがどこにもP氏の姿が無いことや、美奈子たちの話から二人と一緒にマンションへ。
部屋の前まで来たところでなにやら怪しげなやり取りを耳にすると、
躊躇なく扉を開けさせ"たまたま"持っていた護身用のフラッシュバンを室内に放り込んだというワケだ。
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