追われてます!'
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40:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 02:47:51.58 ID:XJms5aKo0

「見てて嫌だからやめてほしいって思うなら、おまえが伝わらないと思う相手じゃなく、最初から俺に直接言えばいい」

 手を繋いだ状態でリビングに入ってきたことだけに腹を立てたとは考えられない。とすると、あれ以前から佑希は奈雨に苛立っていた。
 つまり奈雨に怒りをぶつけられれば、きっかけは何でもよかったに違いない。
以下略 AAS



41:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 02:48:54.56 ID:XJms5aKo0

「……嘘でしょ。どうせ、そうに決まってる」

 自分に言い聞かせるように、彼女は俺の返答を待たずに、

以下略 AAS



42:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 02:50:08.01 ID:XJms5aKo0

 でも、実際目の当たりにしてみると、身勝手に泣いているとは思えなかった。
 佑希はいつも誤魔化したり言い繕ったりはするけれど、表情は一度も嘘をつけていなかった。

 それに、俺が、俺を含めた他人が遠因となっているのは確かで、
以下略 AAS



43:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 02:51:06.70 ID:XJms5aKo0

 返す言葉に窮していると、彼女はすっと立ち上がる。
 向かう先はすぐ近く。俺の背後に回り、肩に軽く体重をかけられる。

「つらいことがあったら、慰めてくれる。今みたいに、頭を撫でてくれる。
以下略 AAS



44:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 02:52:13.33 ID:XJms5aKo0

「きっと知らなくたって、……結局そうなってたんだと思う。
 だって、おにいみたいな人、他にいるわけないから」

 肩に置かれていた手が、ゆっくりと椅子の笠木へと移動する。
以下略 AAS



45:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 02:52:51.41 ID:XJms5aKo0

「おにいが同じ高校を受けるって聞いたとき、すごく嬉しかったんだ。
 昔みたいに、なってくれるんじゃないかって。あたしが奪っちゃったものを、もう一度取り戻してくれるんじゃないかって」

 もしそうだったら、と彼女は消え入りそうな声で、続ける。
以下略 AAS



46:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 02:54:55.34 ID:XJms5aKo0

 もう訊かずともわかっていることだった。
 確認したかったことは、直に訊ねることなく確認できてしまっていた。

 でも、それでも彼女の口から俺が訊ねたことへの答えを聞きたかった。
以下略 AAS



47:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 02:56:09.75 ID:XJms5aKo0

 そして、その原因を作っていたのは俺に他ならない。

 佑希は、俺がほぼ全ての物事に対して手を抜き始めたのを自分のせいだと思っている。
 確かにそれは完全に否定することはできないけれど、母さんとのことや俺自身が疲れていたことの方が割合としては大きい。『おまえだけが悪い』なんて、とてもじゃないが言えない。
以下略 AAS



48:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 02:57:15.35 ID:XJms5aKo0

 変化が起きかけたのは佑希の言う通り俺の高校受験だろう。
 思い返してみれば、志望校を決めてからの期間、彼女とそれほど会話をしていなかった。

 きっと彼女の目には、"俺が自分の意思で頑張っている"と映ったのだろう。
以下略 AAS



49:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 02:58:26.40 ID:XJms5aKo0

 長い沈黙を破って、佑希は頷いた。
 そして、ごめんなさい、と微かな声を上げ、弱々しく俺の胸に身体を寄せた。

「……謝るなって」
以下略 AAS



50:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 02:58:57.00 ID:XJms5aKo0

「これから、どうするんだ?」

「……どうするって?」

以下略 AAS



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