43:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 02:51:06.70 ID:XJms5aKo0
返す言葉に窮していると、彼女はすっと立ち上がる。
向かう先はすぐ近く。俺の背後に回り、肩に軽く体重をかけられる。
「つらいことがあったら、慰めてくれる。今みたいに、頭を撫でてくれる。
……何かがあるたびに、あたしのことを考えてくれて、いつも優しくしてくれる」
「そんなこと」
「……あるよ。あたしはずっとおにいに守ってもらってた」
遮るようにして、彼女は呟く。
それでも否定したくて振り返ろうとしたところを、
「……見ないで、お願いだから」
と制されてしまう。
上ずった涙声に気がそがれ、仕方なく瞼を閉じると同時に、彼女は再び口を開いた。
「あたし、ばかだから、どっちかしか選べなかったんだ。
それで、でも、どうやったっておにいは大っ嫌いになってくれないって考えて、……困らせる方を選んだ。何をしても許してくれるおにいが悪いんだって、思い込むことにした。
そうでもしないと、あたしは、いつまで経っても折り合いをつけれないって思ったから」
訥々とした語りに、黙ったまま頷く。言われていることの意味は、微塵にもわかっていなかったけれど。
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