44:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 02:52:13.33 ID:XJms5aKo0
「きっと知らなくたって、……結局そうなってたんだと思う。
だって、おにいみたいな人、他にいるわけないから」
肩に置かれていた手が、ゆっくりと椅子の笠木へと移動する。
単純だと思うと奈雨は言っていた。だが、どう考えてもそうとは思えない。
「嫌って、ほしかったの。ありえないって、甘えるなって、突き放してほしかったの。
あたしのせいで、おにいがいつも退屈そうにしてるのも、全部わかってた。
……わかってて、知らないふりをしてた。どこかで、拒絶してくれるんじゃないかって、そんなばかみたいなことを期待して」
細部はまだ全然わからなくて、けれど輪郭のようなものはぼうっと頭の中に浮き上がってくる。
以前から想像していた佑希の行動原理とは違う、とそれだけははっきり言える。
そして、それを認めてしまうと、俺の予測が正しいであろうことも、恐らく言えてしまう。
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