45:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 02:52:51.41 ID:XJms5aKo0
「おにいが同じ高校を受けるって聞いたとき、すごく嬉しかったんだ。
昔みたいに、なってくれるんじゃないかって。あたしが奪っちゃったものを、もう一度取り戻してくれるんじゃないかって」
もしそうだったら、と彼女は消え入りそうな声で、続ける。
「今までのことを、ちゃんと謝れるかなって、思って……」
ふっと椅子にかかっていた力が抜け、きいとフローリングが音を立てた。
一連の言葉で、思い至る。
全てがばらばらだと思っていた数多の点が結びついて、一本の線が形作られていく。
やはり、俺はずっと間違い続けていた。
そしてその間違いを検証することなく──疑念を感じることすらなく──彼女に押し付けていた。
迷わず振り向いて、深く項垂れる彼女の隣に腰掛け、
「佑希」
と名前を呼ぶ。
涙を堪えるように両手で目元を覆って、佑希はこくりと頷いた。
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