240:名無しNIPPER[saga]
2018/08/09(木) 15:36:38.14 ID:ZdvxIxQI0
「ああ。……なんだ。俺も、ちょっとずつ頑張ってみようかなって」
単純なことだけど、と付け加えると、すぐに彼女は首を横に振る。
そんなことないよ、とでも言いたげに。それは一方では合っていて、もう一方では間違っているように思えた。
241:名無しNIPPER[saga]
2018/08/09(木) 15:37:31.55 ID:ZdvxIxQI0
「それってさ、あたしがおにいのライバルってことだよね?」
「……ああ。まあ、そうなるな」
242:名無しNIPPER[saga]
2018/08/09(木) 15:37:59.10 ID:ZdvxIxQI0
つーか、そもそもの話だけどライバルって俺程度でいいのか。
「ん? どうしたの?」
243:名無しNIPPER[saga]
2018/08/09(木) 15:38:25.57 ID:ZdvxIxQI0
そうしてしばらくお互い無言でいたが、
やがて、佑希はふいっと目を逸らしてソファの方に歩いて行き、読んでいたらしい文庫本とスマホを手に持ち、こちらへと戻ってくる。
「ごめん。ちょっと疲れたから部屋戻るね」
244:名無しNIPPER[saga]
2018/08/09(木) 15:39:13.53 ID:ZdvxIxQI0
【任せました】
時間より少し早く待ち合わせの場所に向かうと、すでに奈雨と零華がそこで待っていた。
零華は俺の姿を捉えるとすぐにいえいとピースサインを作って微笑み、近くまで駆け寄ってくる。
245:名無しNIPPER[saga]
2018/08/09(木) 15:40:06.07 ID:ZdvxIxQI0
「じゃあ、わたしあっちなんで」
と、駅に着くなりあっさり帰ってしまおうとするのを、
246:名無しNIPPER[saga]
2018/08/09(木) 15:40:47.37 ID:ZdvxIxQI0
「……まあ、先輩。奈雨ちゃんのことをよろしくお願いしますね」
と俺から間合いを取り、向けられていた視線の方へ歩いていく。
そこで二、三やり取りを交わした後、零華は「がんばれー」と俺に口パクで伝え、改札へとつま先の向きを変える。
247:名無しNIPPER[saga]
2018/08/09(木) 15:41:54.07 ID:ZdvxIxQI0
【シンプル】
駅を出て地上に上がると、しとしとと降り始めらしい雨が降っていた。
十五分とも経たぬ間に、外気はぐっと冷えてしまったらしい。やけに肌寒い。
248:名無しNIPPER[saga]
2018/08/09(木) 15:42:25.87 ID:ZdvxIxQI0
乗っているときは眠たそうにしていたけれど、今はそうでもないらしい。
何かを言いたげに俺を見ては、こうじゃない、とでもいうように俯く。
「どうかしたか?」と訊ねると、奈雨は少し間をとってから、覚悟を決めたように口を開いた。
249:名無しNIPPER[saga]
2018/08/09(木) 15:43:02.88 ID:ZdvxIxQI0
「お兄ちゃんにそう言ってもらえるの、他の誰に言われるよりも嬉しい」
「そっか」
341Res/257.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20