247:名無しNIPPER[saga]
2018/08/09(木) 15:41:54.07 ID:ZdvxIxQI0
【シンプル】
駅を出て地上に上がると、しとしとと降り始めらしい雨が降っていた。
十五分とも経たぬ間に、外気はぐっと冷えてしまったらしい。やけに肌寒い。
これ、と傘を開いて渡そうとすると、ぼうっと窺うような視線を向けられる。
……まあ、言いたいことはわかるけど。
ちゃんと傘を二本持っているのに、わざわざ狭い折りたたみ傘に二人で入るなんてのも変な話だ。
濡らさないようにしてもこの感じだと濡れるし、奈雨は制服だし。
などと思っていると、奈雨の方から、
「相合傘でいいでしょ」
と言ってきたものだから、傘を上向けて彼女を手招いた。
すぐに聞こえた「やった」という呟きは、きっと心の中でのものだったんだろう。
曖昧な相槌だけを返して、二人並んで雨の中を歩く。
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