243:名無しNIPPER[saga]
2018/08/09(木) 15:38:25.57 ID:ZdvxIxQI0
そうしてしばらくお互い無言でいたが、
やがて、佑希はふいっと目を逸らしてソファの方に歩いて行き、読んでいたらしい文庫本とスマホを手に持ち、こちらへと戻ってくる。
「ごめん。ちょっと疲れたから部屋戻るね」
「あ、うん。大丈夫か?」
「へーきへーき。クラスで朝からめっちゃ動いたからだと思う。
それと、えっと、あたしあとで食べるからごはん冷蔵庫入れといて」
「ああ」
と俺が言うのも待たずして、佑希は上へ上へと階段を昇っていく。
姿が見えなくなるかというところでぴたりと立ち止まり、一瞬だけ俺を見て口早に告げた。
「あの子のこと、迎えに行ってあげなよ。暗いし、雨降るかもだし」
「大丈夫。約束してたから」と俺は返した。
「そっか……じゃあ、がんばれ」と小さくうわずったような声が耳に届いた。
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