135:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 02:08:59.01 ID:GJMDUn0X0
暗闇の中、意識がやってくると、私はすぐにベッドから飛び出しました。
窓からの日差しが部屋を明るく照らしていて、
それこそ始まりの一日のような気持ちで洗面台へと向かいました。
136:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 02:10:10.19 ID:GJMDUn0X0
外に出るとカラスの代わりにたくさんの蝉が鳴いていて、
今日が絶好のライブ日和であることを告げていました。
窓や街路樹から視線を感じましたが、そのたびに私は三人の笑顔を思い浮かべました。
137:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 02:11:12.30 ID:GJMDUn0X0
会場へと向かう車の中、プロデューサーさんは他愛のない話を繰り返しました。
やれ天気がどうなの、やれ輝子がどうだと。明らかにライブの話を避けていました。
138:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 02:12:09.28 ID:GJMDUn0X0
「プロデューサーさん……ライブ前だというのに、天気とかそういう話ばっかりして、
森久保を緊張させないようにさせようとしてくれているのはありがたいんですけど、その配慮がバレバレなんですけど」
と甘え、プロデューサーさんは顔を少し赤らめて、
139:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 02:12:55.46 ID:GJMDUn0X0
ライブ会場は以前より、華奢な、言ってしまえば小さなライブハウスでした。
(それでも私には大きすぎるような気がしましたが)
プロデューサーさんは私の前を歩いていき、関係者に挨拶をし、
140:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 02:14:58.70 ID:GJMDUn0X0
本番開始三十分を切り、いよいよ会場は騒がしくなってきました。
私は薄いメイクを施されながら、
鏡越しに映る裏方の人達の視線、聞こえてくるお客さんの声、それらと戦いました。
141:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 02:16:49.73 ID:GJMDUn0X0
抱えた頭の中で、森久保が小さく笑いながら、私の元へとやってきて、
やっぱり無理なんですけど。
やっぱり森久保にはアイドル向いていないんですけど、と呟きました。
142:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 02:17:57.23 ID:GJMDUn0X0
「大丈夫か?」
振り返るとプロデューサーさんが立っていました。
何も言えず、頭を小さく横に振ると、プロデューサーさんは私の頭を優しく撫でてくれました。
143:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 02:19:29.62 ID:GJMDUn0X0
「本当はぎりぎりまでサプライズにしたかったんだけどな。
俺と輝子とトレーナーさんからのプレゼントだ。
今日のライブで着てもらおうと思って。サイズは合っているはずだ」
144:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 02:20:17.82 ID:GJMDUn0X0
「ありがとうございます」
私はステージ端へと移動を開始しました。
ステージへと一歩近づくたびに大きくなる声、熱気、強くなる鼓動、重くなるピアス。
145:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 02:21:49.78 ID:GJMDUn0X0
私はプロデューサーさんに背中を押されて、ステージへと上がりました。
歓声が上がりました。「森久保―!」と叫ぶお客さんの声が聞こえてきました。
赤、青、黄色、たくさんのサイリウムが目の前で振られていて、みんなが私を見ています。
166Res/111.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20