29:名無しNIPPER[saga]
2017/11/22(水) 22:19:19.58 ID:290cDT/E0
「ふざけてる場合じゃない。撃たれる! あの白い奴!」
ヨナが窓ガラス越しに指さしたのは、4機のM9の中で唯一散弾砲を装備している機体だった。
(いや、よく見ると細部に変更が見られるな。何らかの試験機か……?)
30:名無しNIPPER[saga]
2017/11/22(水) 22:22:30.97 ID:290cDT/E0
◇◇◇
――そこに、ココ・ヘクマティアルとその私兵たちが乗る雪上車は健在していた。
先ほどまでの地点から大分流されてはいるが、車両に目立った損傷はない。
31:名無しNIPPER[saga]
2017/11/22(水) 22:23:49.59 ID:290cDT/E0
『データリンクへの仕込み、野戦砲の持ち込み、雪崩を回避するための準備――ここまで周到に準備しておいて、それが逃げる為だと思う?』
『ウルズ7よりウルズ2へ。こちらも雪崩れの直前にシステムに介入された痕跡がある』
≪正確に言えば"痕跡"はありません。外部からクラックされた感触はなし。どう考えてもシステムエラーとしか判断できませんが――≫
32:名無しNIPPER[saga]
2017/11/22(水) 22:25:29.23 ID:290cDT/E0
◇◇◇
テレサ・テスタロッサは<デ・ダナン>の艦長席で、血が滲むほど強く唇を噛みしめていた。
この作戦の一番の肝は、極限環境の中で如何にASによる待ち伏せと奇襲を成功させるか、という点にあった。
33:名無しNIPPER[saga]
2017/11/22(水) 22:25:56.89 ID:290cDT/E0
「……カリーニンさん、貴方はソ連出身でしたね。
ヘクマティアルが、どうやって野戦砲を撃つことを村の人達に了承させたのか、分かりますか?」
「ふむ……おそらくですが、アバランチコントロールを買って出たのではないかと」
34:名無しNIPPER[saga]
2017/11/22(水) 22:26:27.04 ID:290cDT/E0
◇◇◇
『ってなわけで、お前らとはこれでお別れだ。精々、風邪をひかないようにな』
外部スピーカーの声と共に、眼前のASが頭部機関砲を発砲。火線上にあった雪上車が瞬時に穴だらけになる。
35:名無しNIPPER[saga]
2017/11/22(水) 22:41:59.84 ID:290cDT/E0
◇◇◇
爆砕ボルトに点火。コックピットハッチが吹き飛び――かけるが、ハッチ上に堆積していた雪の重みで途中停止する。
そこから2、3度蹴りを入れて、ようやくハッチが雪の層を貫通。操縦席が地上と接続され、薄い光と新鮮な酸素が降りてくる。
36:名無しNIPPER[saga]
2017/11/22(水) 22:43:04.44 ID:290cDT/E0
――寸前に、クルツ・ウェーバーは雪に潜り込むような心地でその場に身を伏せた。
その数センチ上を、確かな殺気と共に鋭い気配が通り過ぎていく。
連中の使っている自動小銃よりも口径の大きい、よく伸びる破裂音が耳に残る。間違いない、これは狙撃だ。
37:名無しNIPPER[saga]
2017/11/22(水) 22:43:32.44 ID:290cDT/E0
◇◇◇
「いまのを避けやがるか……」
苦々しいレームの呟きを耳にしながら、彼の傍らで同じように雪上に寝そべっているココ・ヘクマティアルは難しく眉間にしわを寄せていた。
38:名無しNIPPER[saga]
2017/11/22(水) 22:59:53.29 ID:290cDT/E0
◇◇◇
ベルファンガン・クルーゾーは、俊敏で強靭な野生動物のように木の影から木の影へ飛び回っていた。
カナディアンSAS出身の彼にとって、雪山はホームグラウンドだ。
106Res/207.53 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20