15:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 19:42:02.31 ID:pXJ6Ifkk0
夕美さんは、都内のマンションに一人暮らしでした。
お部屋に入ると、夕美さんらしい可愛い小物ばかりです。それに、とても良い匂い。
いいえ、これは――どれも、お花?
16:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 19:48:05.98 ID:pXJ6Ifkk0
「というわけで、肇ちゃんにはこれから私のフラワーアレンジメントを手伝ってもらいます」
「フラワーアレンジメント?」
あまり聞き慣れない言葉に小首を傾げる私に、夕美さんは得意げに鼻を鳴らしました。
17:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 19:49:36.97 ID:pXJ6Ifkk0
「あっ……」
熱っぽく語った自分に気づき、夕美さんは紅潮させた顔を伏せ、手を振りました。
「続けてください」
18:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 19:51:23.55 ID:pXJ6Ifkk0
「ふむふむ。じゃあ改めて……始めましょっか」
「はい」
そう言ってみたものの――。
19:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 19:53:58.84 ID:pXJ6Ifkk0
名前も知らない、オレンジ色の花を手にします。
それを中央に。
次は――薄い青の、差が高くて細長い花。これは――横に。
20:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:00:25.73 ID:pXJ6Ifkk0
緑は草原、というのは安直です。
しかし、それゆえに誰にも伝わりやすいという強みがあります。
そうなると、空は青です。背の高い、先ほどの細長い花を生け直します。
21:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:03:34.08 ID:pXJ6Ifkk0
いつの間にか、夕美さんは私に紅茶を淹れてくれていました。
それと――。
「ぬふふふ」
22:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:05:05.28 ID:pXJ6Ifkk0
「というわけで、完成! 大作だね、肇ちゃん」
「は、はぁ……」
いざ、見直してみると、何だかごちゃごちゃと、よく分からないものになってしまいました。
23:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:09:35.91 ID:pXJ6Ifkk0
「……えっ!?」
「Pさんからこっそり聞いたんだ、肇ちゃんの誕生日」
夕美さんは、さっきまで自分で作っていた生け花を、そのまま私に差し出しました。
24:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:12:40.47 ID:pXJ6Ifkk0
ここまでされたからには、私も何かお返しをしなくては気がすみません。
「夕美さんの誕生日、教えてください。今度は、私が自慢の作品をプレゼントする番です」
「あー、んーとね。私の誕生日もう過ぎちゃった」
25:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:16:44.30 ID:pXJ6Ifkk0
実は、実家には月に一度、定期的に帰っていました。
アイドルになることを許したとはいえ、おじいちゃんはまだ、私に後を継がせたいのです。
私の技量が落ちることの無いように、工房に呼ばれては一緒に土をこねます。
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