「藤原肇がそれを割る日」
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16:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 19:48:05.98 ID:pXJ6Ifkk0
「というわけで、肇ちゃんにはこれから私のフラワーアレンジメントを手伝ってもらいます」

「フラワーアレンジメント?」

 あまり聞き慣れない言葉に小首を傾げる私に、夕美さんは得意げに鼻を鳴らしました。

「まぁ、生け花みたいなもんかな。でも花瓶とかじゃなくてこういう……」

 台所から、白いお皿のようなものを二つ、夕美さんは持ってきました。

「……しょ、っと。こういうスポンジにお花を差していくの。やってみない?」


「夕美さんは、お花が好きなんですね」
「うん、大好き!」

 そう言って、夕美さんはテーブルの上に広げた新聞紙に、先ほどベランダで摘んできたものであろう花々をパァッと並べました。

「うまく言えないけど、生きてるって感じに、元気をもらえるっていうかさ。
 小さな種や苗木から辛抱強く育って、ついに綺麗な花を咲かせるって、すごいことだって思うの」


「そういうの、当たり前だって笑う人もいるんだけど、全然当たり前なんかじゃない。
 生きるって、実はとても大変なことで、この子達は文句も言わずに厳しい冬を乗り越えて頑張ってこんな綺麗な花を咲かせてるんだよ。
 私なんて、学校の勉強が難しいとか、事務所のレッスンやお仕事が大変だとか、文句言ってばかり。なのに…」



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