「藤原肇がそれを割る日」
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20:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:00:25.73 ID:pXJ6Ifkk0
 緑は草原、というのは安直です。

 しかし、それゆえに誰にも伝わりやすいという強みがあります。

 そうなると、空は青です。背の高い、先ほどの細長い花を生け直します。

 オレンジは、草原の木になった果実。赤は太陽――しかし、あまりに大きいので、遠近感を意識してなるべく奥へ。

 その果実を採ろうと手を伸ばす主役は、この白くて綺麗な子。

 彼女が果実を採る理由は、飢えているからでも、仕事だからでもありません。

 きっと、そこに見出した非日常的な楽しみとの出会いが、彼女は嬉しくて仕方がないのです。

 だから、その踊るような喜びを表現しようと、わざと大袈裟に角度を付けてみます――よし。

 いやもうちょっと――よし。

 そこへ、草原を吹き抜ける一陣の風が――。



「…………あはは。おーい、はじめちゃーん」


「……えっ?」

「肇ちゃん、何度話しかけても全然気づかないんだもん。すっごい集中力」



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