289: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/21(木) 17:48:55.82 ID:M1x5lU2S0
《眼が覚めたようだね、製造No.83。
あぁ、安心してくれ。ご覧の通り我々は君に危害を加えるつもりはない。拘束も加えていなければ周りに武器を持った人影もないだろう?》
290: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/21(木) 19:38:22.71 ID:M1x5lU2S0
291: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/21(木) 20:02:43.42 ID:M1x5lU2S0
「…………うーん」
一度構えを解いて、青葉は足下に転がっていたイ級だかハ級だかの下顎を拾い上げてみる。これでもかと言うほど意味の無い行為なのだが、どうにも拍子抜けしてしまった彼女は次の行動への思考を取り戻すのに若干のタイムラグを要している。
「まさか、本当に一発の弾丸も使わずに済んでしまうとは思いませんでしたねぇ………」
292: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/21(木) 20:27:04.36 ID:M1x5lU2S0
しばしその表情のまま腰に手を当てて固まっていた青葉は、彼方で炸裂した爆発音でようやく我に返る。
『ウォオオアアアアアアアアアアアッ!!!!?』
視線を其方に向ければ、丁度flagshipと思われる大型のト級が吹き飛ばされた左頭から煙を上げながら斃れていくところだった。
293: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/21(木) 21:59:10.69 ID:M1x5lU2S0
「…………」
ふと、青葉は気づいた。ここまで考てようやく違和感にたどり着いた自分へ若干の苛立ちを感じつつ、彼女は周囲の様子に全神経を集中しながら再び構える。
「静かすぎる、よね」
294: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/21(木) 23:05:19.67 ID:M1x5lU2S0
艤装内の装置が起動し、周囲に船体殻が展開する。まともに命中すれば青葉の左半身ぐらいは吹き飛ばしていたであろう砲弾は、不可視の防壁の上を滑り逸れていく。
軌道が変わった砲弾は後ろでイ級の残骸に直撃し、弾薬に誘爆したのか巨大な火柱が上がった。
更に二発、三発、四発と砲弾が向かってくる。回避進路も同時に塞ぎながらの見事な射撃だが、青葉の飛び抜けた動体視力はこの内直撃コースにある砲弾が高角砲クラスの小口径弾であることを見抜く。
295: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/21(木) 23:31:35.72 ID:M1x5lU2S0
ともあれ、爆風を利用して一気に移動距離は稼げている。
青葉はホ級flagshipの影に隠れながら、この日初めて起動した20.3cm連装砲と15.5cm単装砲に弾薬を装填した。
「索敵も砲撃も雷撃も────青葉にお任せ!!!」
296: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/22(金) 00:06:31.69 ID:VgaczIdP0
「このっ!」
15.5cm単装砲が二度続けて火を噴いた。砲弾はしかし彼我の距離を考慮してもあまりに低く、案の定二発とも“敵艦”の遙か手前で地面に突き刺さる。
だが、命中はせずともその爆発は視界を、射線を奪うには十分な大きさだ。先程向こうがやってきた機銃掃射など比べものにならない量の土埃が火柱と共に舞い上がり、“人影”の周囲を覆う。
297:名無しNIPPER[sage]
2017/09/22(金) 02:15:46.71 ID:GmMW/RQA0
おつおつ
いよいよ真打ちかな?はたまた新勢力か
298: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/22(金) 22:33:48.95 ID:VgaczIdP0
艦娘の艤装は、現代科学の粋を集めて作られたスーパーテクノロジーの塊だ。
“海軍”印の艤装となれば(謎の大爆発を起こす可能性がある点を除けば)世界最高水準の装備であり、例えば高所からの落下時や大口径砲の使用時に受ける衝撃の吸収機能などは一般的な艤装のそれを大きく上回る。
とはいえ、それでも吸収できる衝撃には“限度”というものがある。
299: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/22(金) 23:00:17.50 ID:VgaczIdP0
バチ、バチ。
短く二回、自身を覆う船体殻が艤装が上げた火花に合わせて明滅する。
本来無色不可視の防壁が、僅かに黄色くなっているのを青葉は視認する。
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