ある門番たちの日常のようです
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291: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/21(木) 20:02:43.42 ID:M1x5lU2S0
「…………うーん」

一度構えを解いて、青葉は足下に転がっていたイ級だかハ級だかの下顎を拾い上げてみる。これでもかと言うほど意味の無い行為なのだが、どうにも拍子抜けしてしまった彼女は次の行動への思考を取り戻すのに若干のタイムラグを要している。

「まさか、本当に一発の弾丸も使わずに済んでしまうとは思いませんでしたねぇ………」

下顎を手の中で玩びながら、誰にともなく呟く。彼女の口調は例えば期待外れな大作映画を見終わった後のような、緊張感が微塵も感じられない場違いなものだった。

改めて、青葉は周囲の屍体の山を眺めてみる。優に30を越えるそれらは全て非ヒト型で、艦種も死に様もバリエーション豊かだ。

ただ、ほぼ一撃から、多くても三撃以内に絶命しているという点は悉く共通している。

「手応えがなさ過ぎるなぁ、幾ら非ヒト型だからってさ」

本来喜ばしいことであるその感想を、青葉は心底不満げに口にする。それがタチの悪い冗談ではない証拠に、彼女の口元はへの字に曲がり眼の奥にはいっそ怒りに近い光が宿っていた。


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