ある門番たちの日常のようです
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296: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/22(金) 00:06:31.69 ID:VgaczIdP0
「このっ!」

15.5cm単装砲が二度続けて火を噴いた。砲弾はしかし彼我の距離を考慮してもあまりに低く、案の定二発とも“敵艦”の遙か手前で地面に突き刺さる。

だが、命中はせずともその爆発は視界を、射線を奪うには十分な大きさだ。先程向こうがやってきた機銃掃射など比べものにならない量の土埃が火柱と共に舞い上がり、“人影”の周囲を覆う。

はずだった。

『────ッ!』

向こうはそれを読んでいたのだろう。砲撃が炸裂した瞬間にその身が凄い速さで横へ跳ぶ。地面を一回転して態勢を素早く立て直した“人影”は、そのまま両手の艤装を青葉に向けた。

「よーく、見えますねっと!!」

尤も、当の青葉はその時既に主砲を放っていたのだが。

『────ッ!!!?』

“彼女”は心底面食らった様子で眼を見開きながら、青葉に照準した艤装を咄嗟に足下に向ける。

「───なっ!?」

『…………ッ!!!』

迷わずの発砲。今度は青葉の眼が見開かれた。至近距離で炸裂させた自身の砲撃の爆発によって身体を後方に吹き飛ばし、直撃弾となるはずだった青葉の砲弾四発は“人影”が一瞬前まで立っていた位置に着弾し次々と巨大な火柱を上げる。

「まずったなぁ………!」

奇しくも自らの目眩ましを敵に提供してしまう形となり、舌打ちと共に艤装を構えながらバックステップでその場から下がった。

じっとしているという選択肢は案の定悪手だったようで、一秒と経たずに粉塵を切り裂いて飛来した砲弾がそこに突き刺さる。

「わわわ!?」

直撃したわけではないのでダメージはほぼなかったが、咄嗟の後退だったため姿勢は不安定。爆風に押されて青葉の身体は仰向けに地面に倒れる。

「…………ちぃっ!!」

更に、追撃の砲声が二つ三つとあたりに響く。咄嗟に地面を転がり再びホ級の屍の影に隠れた青葉の身体に、頭からぱらぱらと大量の砂粒が降り注いだ。

「うわぁっ!!?」

四発目の砲弾は、絶命したホ級の艤装部分にめり込む。

目の前を光が覆い、鼓膜を轟音が揺らす。

今度は自身の意志とは関係無しに、青葉の身体が熱を感じつつ宙に浮いた。


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