136: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/24(水) 03:59:46.99 ID:H6iAFqcy0
愛車を駆り、青年はかつて暮らした街へと走っていた。
自らの運転では、やはり景色は違う。
過去の記憶をなぞるかのように車は国道を通り、彼の脳裏では、次々とその時々の記録が流れて行く。
137: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/24(水) 04:02:11.78 ID:H6iAFqcy0
その日の講習を終え、彼は一人、用意された宿でくつろいでいた。
安宿ではあるが、窓からは慣れ親しんだ海がよく見える。
月夜と海、さわさわとした潮騒の声。
写真を一枚撮り、彼はある少女の元へそれを送った。
138: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/24(水) 04:03:52.61 ID:H6iAFqcy0
翌日の昼には、講習は全て終わった。
参加者は各々の交通手段で帰る。
電車の者、飛行機の者。そして車で戻る者。
ここまでの道は、高速を使って3時間。
139: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/24(水) 04:06:17.76 ID:H6iAFqcy0
「知ってはいたが、目の当たりにするまで本当だと思わなかったよ。
…どうして艦娘になんてなった?」
「…憎たらしかったの…あなたを壊した、戦争そのものが。」
140: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/24(水) 04:08:14.75 ID:H6iAFqcy0
「……ああ、出来ない。
君の好きな『俺』はもう、あの時死んだんだ。
息を吹き返してたとしても、それは新しい『俺』さ。」
「……あの子、本当に良い子よ。幸せにしてあげて。」
141: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/24(水) 04:09:29.02 ID:H6iAFqcy0
この日が来るのを、待っていました。
今日は彼が帰って来る日です。
もう夜だけど、絶対出迎えてやるんだ!って今は待ち伏せしている所。
142: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/24(水) 04:10:44.50 ID:H6iAFqcy0
今回はここまで。
143: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/06/01(木) 05:55:03.91 ID:SzsIr5nJ0
こわい。こわい。こわい。
血の気が引いて、でも込み上げてくる感覚もあって。
頭がぐるぐる回って、汗が冷たい。
144: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/06/01(木) 05:56:22.82 ID:SzsIr5nJ0
あの浜に、青葉と司令官は立っていました。
彼は青葉の少し先にいて、いつもの微笑もありません。
ただ淡々と、曇り空の下を歩いていました。
145: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/06/01(木) 05:57:42.10 ID:SzsIr5nJ0
「あの、青葉は一体…。」
「急にうずくまって、意識も朦朧としてたんだよ。それで近くの俺の部屋に運んだんだ。
医務も呼んで診てもらったが…ストレスから来る急性のものだったようだね。」
146: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/06/01(木) 05:59:59.33 ID:SzsIr5nJ0
「……彼女は俺を振ったのを後悔していたが、それでもやり直す事は出来ない。
あまりにも、時間が経ち過ぎていたんだ…俺が俺を取り戻し出すには。」
「司令官…やっぱり、感情が欠けてしまっていたんですね。」
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