145: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/06/01(木) 05:57:42.10 ID:SzsIr5nJ0
「あの、青葉は一体…。」
「急にうずくまって、意識も朦朧としてたんだよ。それで近くの俺の部屋に運んだんだ。
医務も呼んで診てもらったが…ストレスから来る急性のものだったようだね。」
「………ストレスですか。」
原因は、思いっきり心当たりがあります。
扶桑さんの匂いがした瞬間、『あの時』の感覚が蘇りましたから。
ドン底に突き落とされる感覚…でも違うのは、司令官は青葉のものでも何でも無いってこと。
だからこんな感情も、こんな風にトラウマぶり返すのも、本当は筋が違うんですよ。
迷惑掛けちゃったな…彼女ヅラして、ばかみたい。
ほんと、ばかだよ……やり直す可能性だってあって、『私』にそれを止める権利なんて…。
「青葉…泣いているのか?」
「あ…いえいえ!だいじょーぶです!眩しいだけなので!」
そうだ、起きたんだし帰らなきゃ。
ここ、司令官の家だもん。これ以上はいられないし…。
「…ここなら誰も見てないよ、我慢しなくていい。」
ぎゅっと青葉を抱き締めて、彼はそんな言葉をくれました。
ダメですよ、そんな事言っちゃ…余計涙止まんなくなっちゃう。
言えないよ、こんな気持ち…でも…。
「……扶桑さんと、ヨリを戻したんですか?」
この時、心底自分を子供だって思いました。
そんな光景を想像すると、やっぱり怖くなって…今でも、少し手が震えてるのがわかる。
無意識に彼の裾を強く掴んでいて、それは青葉自身の執着を教えてくれていました。
そうだよ。これは執着で、ワガママなんだ…知りたいって思う事さえも。
「逆さ。彼女とは、ちゃんとケリを着けたんだ。
あの時の俺は、今より欠けていたからね。」
でも返ってきたのは、青葉の不安と真逆な言葉でした。
ケリって一体…。
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