新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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561: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/02/18(日) 21:43:46.73 ID:oL93h30zO

 永井はあきらめたようにうなだれた。永井の右手には五〇〇ミリリットルのコーラのペットボトルが一本あるだけだった。


中野「おれらの分は?」
以下略 AAS



562: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/02/18(日) 21:44:49.33 ID:oL93h30zO

中野「で、これからどうする? まずはアーニャちゃんを家に帰さなきゃなんないよな」


 出し抜けに中野の声が耳に届き、アナスタシアは顔をあげた。「えっ」という困惑の声が送りつけられた涼風に跳ね返される。風が鼻腔を通っていく。中野はうちわを左手に持ちかえていた。アナスタシアが考えに耽っているあいだも、うちわをあおぎつづけてくれたので、アナスタシアの額の汗はすっかり引っ込んでいた。
以下略 AAS



563: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/02/18(日) 21:46:08.58 ID:oL93h30zO

中野「いや、アーニャちゃんが亜人だってのはわかってるよ。でも、居酒屋で亜人の話になったときもそんな話は全然なかったぜ」

永井「ていうか、こいつの正体ばらしてないし」

以下略 AAS



564: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/02/18(日) 21:47:23.02 ID:oL93h30zO

アナスタシア「アーニャのおサイフ!」


 永井はとくに驚いた様子をみせなかったが、大声には顔をしかめた。財布がアナスタシアに投げ返される。中を確かめると、わずかに硬貨が残されているだけで紙幣が一枚もなかった。
以下略 AAS



565: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/02/18(日) 21:48:37.36 ID:oL93h30zO

 永井と中野はふたりして呆然としていた。アナスタシアが鼻と口を手でおおって上を向いたとき、永井は文句をぶつけようとアナスタシアに一歩詰め寄った。

 公園に盛大な腹の音がたっぷり五秒間響いた。

以下略 AAS



566: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/02/18(日) 21:50:07.93 ID:oL93h30zO

永井「中野、車まで連れてってやって……」


 永井はなにもかも諦めたかのように両手で顔をおおった。
以下略 AAS



567: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/02/18(日) 21:52:06.22 ID:oL93h30zO

永井「あー、もう!」


 さすがの永井もついに大声をあげた。いそいで車まで走っていく。助手席に乗り込むと、ドアを乱暴に閉める。
以下略 AAS



568: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/02/18(日) 21:55:45.71 ID:oL93h30zO

 アナスタシアがじっくり味わいながらカレーを食べていた。もう涙は流してなかったが、眼はまだ赤く、ときおり鼻をすすった。アナスタシアは食事に割り箸を使っていた。なぜカレーを箸で食べるのかと疑問に思ったが、すぐに解消した。アナスタシアのカレーにだけアジフライが入っていた。作られてからそんなに時間が経ってないのだろう。アナスタシアがアジフライを齧ると、サクッという衣を噛む音がした。

 口の中のものを嚥下したアナスタシアがコーラを飲んだ。そしてふたたび食事を再開しようとしたとき、ミラー越しに永井と視線がかち合った。

以下略 AAS



569: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/02/18(日) 21:58:28.21 ID:oL93h30zO

中野「永井、これ、おまえの姉ちゃんだろ」


 中野が見せてきたCDジャケットには水着姿の美波が印刷されていた。
以下略 AAS



570: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/02/18(日) 21:59:48.98 ID:oL93h30zO

 永井の純粋な疑問にふたりは眼を見開いたまま絶句した。


アナスタシア「ケイは……ミナミの弟、ですよね……?」
以下略 AAS



571: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/02/18(日) 22:00:27.84 ID:oL93h30zO

 曲を聴いているうちに、永井は歌詞の内容が夏の季節感とはまったく関係ないことに気づいた。それは中野も同様だったらしく、曲がおわると「夏っぽくないな」とこぼした。


中野「でも、かっこよかったよな」
以下略 AAS



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