466: ◆X5vKxFyzyo[sage]
2017/10/23(月) 22:24:45.48 ID:rkcK97lyO
墜落現場の空は煙と埃で暗く、陽光が地上に届かないままだったが、いまもなお続けられている消火活動のおかげで火の手はかなり鎮まってきていた。消火水は雨のように墜落現場に降り注いでいる。落下する水滴はその過程で粉塵を吸い込み、すこしずつ大気を清浄に戻していく。ドス黒かった煙も火の手とともに燻ってゆき、ピークを過ぎた煙は、白く、小さくなっていた。
進入が困難と思われていた地点に陽光が射し込みはじめ、それがまるで道標のようになっていた。墜落地点の中心部に最初にアプローチしたのは、回転翼が六つあるヘキサコプター型のドローンだった。ドローンは細長いガンケースを輸送していて、安定した飛行姿勢のまま、水滴を浴びながら空を見上げる佐藤の足元に着陸した。
467: ◆X5vKxFyzyo[sage]
2017/10/23(月) 22:26:56.98 ID:rkcK97lyO
佐藤「さて、敵も私を容易に逃がしてはくれないだろう」
中には予備の帽子と真新しいシャツとズボン、ナイロン製のタクティカルハーネス、ウェアラブルカメラ内蔵のインターカム、スピードローダー九本、ランヤードに繋がれた装填済みのウィンチェスター製ショットガンM1897が入ったいた。佐藤はまず帽子を除けて、パリッと糊のきいた半袖のシャツを手に取った。
468: ◆X5vKxFyzyo[sage]
2017/10/23(月) 22:28:21.17 ID:rkcK97lyO
佐藤は煙と埃の漂いに視線を注いだまま言った。風に運ばれていく漂いのなかから、足音が聞こえてくる。
佐藤「この国最強の軍隊とは?」
469: ◆X5vKxFyzyo[sage]
2017/10/23(月) 22:29:44.37 ID:rkcK97lyO
戸崎「刑事部だけでは対処できないテロや凶悪事件発生時、交渉より制圧を優先し展開する実戦経験のある精鋭たちだ」
佐藤「極論、かれらに勝てれば私達は最強の軍隊といえる」
470: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/10/23(月) 22:31:34.06 ID:rkcK97lyO
石丸「どう眠らせる? 研究所襲撃の二の舞になるんじゃないのか?」
戸崎「麻酔銃の使用は違法です。あのときのような作戦はこんな公の場では展開できません」
471: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/10/23(月) 22:33:10.06 ID:rkcK97lyO
復活した直後の佐藤の左のこめかみに銃弾がふたたび送られる。それを合図に、五方向から一斉に短機関銃が火を吹いた。
佐藤の頭部や背中に孔があき、修復され、また孔があく。
472: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/10/23(月) 22:34:51.56 ID:rkcK97lyO
「五班装填!」「一班と交代!」「撃て!」
伝達を耳にした隊長が佐藤を絶え間なく殺し続けるよう別班に指示をとばす。指示を受けた一班は前の担当班と入れ替わり、先頭の射手が担架の横に付き、陥没している両眼のまわりから黒い粒子わ沸き上げている佐藤の顔に銃口を向けた。
473: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/10/23(月) 22:40:02.09 ID:rkcK97lyO
佐藤「ゲン君、高橋君!」
復活した佐藤が高橋らに呼びかける。拘束帯によって担架にくくりつけられた手首が狙撃され、拘束が佐藤の手首ごと千切られる。一拍おいた二連射のあと、佐藤が身体を起こす。集団から飛び出してきた一人の隊員その眉間を撃ち抜き、佐藤はまた倒れた。
474: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/10/23(月) 22:41:42.52 ID:rkcK97lyO
狙撃手01「こちら狙撃01。標的を亜人と確認」
北側のビルの屋上にいるSATのスナイパーがスコープ越しに標的の復活を確認する。
475: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/10/23(月) 22:43:26.12 ID:rkcK97lyO
コウマ陸佐「無理だ。SATの運用は従来の警察法の範囲内。それに報道ヘリまで出ているんだぞ。撃てるわけがない」
石丸「どうせ亜人に決まってるだろ!」
476: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/10/23(月) 22:46:12.69 ID:rkcK97lyO
ゲン「SATのスナイパーが三箇所。北と南の屋上。あと水野ビル十一階」
ゲンは、高橋に撃ち込まれる銃弾が三箇所から放たれたことを見てとると、周囲のビルを見やり、銃火を確認し、狙撃手の居場所を特定した。
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