476: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/10/23(月) 22:46:12.69 ID:rkcK97lyO
ゲン「SATのスナイパーが三箇所。北と南の屋上。あと水野ビル十一階」
ゲンは、高橋に撃ち込まれる銃弾が三箇所から放たれたことを見てとると、周囲のビルを見やり、銃火を確認し、狙撃手の居場所を特定した。
ゲンは狙撃手の位置を連絡し終わると、僅かに痛む鼻先を目を寄せて見ようとした。撃ち殺されている高橋と三十分からの銃声に、気にもとめていなかった。
北側の狙撃手が、ガラスの割れた音に反応して西側に建っているビルに目を向けると、自分たちがいる屋上から一階ほど高い窓ガラスに丸い傷ができているのが見えた。連射でもしているのか、弾痕のような傷が立て続けに窓ガラスを小さく割っていった。
狙撃手01「こちら01、狙撃されてる。別の狙撃手がいるよう……」
そこまで言って狙撃手は言葉を切った。
狙撃手01「いや……」
狙撃手は、一瞬、見間違いかと思った。弾痕らしき傷は、自分たちを狙って位置を修正することなく、だんだんと上方にずれていっていたが、窓に穴を開ける銃弾の軌道が黒い直線として眼に映ったからだった。
狙撃手01「あれは……」
見間違いかと思えたそれは、徐々に実体をあらわにし始めた。三本あるうちの真ん中の爪によって窓ガラスを突き刺し、ビルの外面を上っていく人間大のなにか。真っ黒なその全身をはっきりと視覚で捉えたとき、驚愕と恐怖の感情が狙撃手を襲った。
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