467: ◆X5vKxFyzyo[sage]
2017/10/23(月) 22:26:56.98 ID:rkcK97lyO
佐藤「さて、敵も私を容易に逃がしてはくれないだろう」
中には予備の帽子と真新しいシャツとズボン、ナイロン製のタクティカルハーネス、ウェアラブルカメラ内蔵のインターカム、スピードローダー九本、ランヤードに繋がれた装填済みのウィンチェスター製ショットガンM1897が入ったいた。佐藤はまず帽子を除けて、パリッと糊のきいた半袖のシャツを手に取った。
グラント製薬本社ビルをぐるっと隙間なく城壁のように取り囲み、ネズミ一匹通さないほどの警備を築き上げていた機動隊の隊列は、落下する瓦礫によって壊滅的な被害を受けていた。機動隊の隊長は止めどなく出血が続く部下の大腿に両手を押しあて、出血を止めようと必死だった。周囲では救助を求める声が飛び交い、どこかで悲痛な叫び声が響いたかと思うと、次の瞬間には止んでいた。
まだ微かに漂っている粉塵が落ち着きはじめ、周囲の様子が確認できるようになってきた。身を隠すにはほどよい大きさの瓦礫が散らばっている開けた空間が見渡せた。
機動隊隊長がいる場所から五〇メートルほど離れたところに人影が見えた。リラックスした様子で立っているその男の服装は清潔さを感じさせ、この場にはそぐわない。ハンチング帽をかぶり、左耳にインターカムをつけ、右手に持ったショットガンを地面に向けている。タクティカルハーネスも装備し、胸元に目立つ棒状のものは、ショットシェル用のスピードローダーだ。
佐藤は機動隊の隊長がいるあたり、埃が漂う向こう側を見据えながらインターカム越しに話しかけた。
佐藤「さあみんな、建物ひとつ壊しただけで勝ったなどと思ってないな」
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