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とあるバイセクシャルのチラ裏戦記5:30代の一歩
- 550 : ◆ijxboO81y6 [sage]:2017/06/19(月) 23:51:42.79 ID:fwDItbYuO
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小さなソファで、エプロンをシーツがわりに絡むように横たわりながら、ふと漏れる言葉。
「好き」
「うん……好きだよ」
『珍しく好きって言ったな』そう思いながら、またCの頭を撫でて滑らかな髪の流れを楽しんだ。
・・・
この頃、私は結構「好き、好き」言うようになっていたんだけど、Cから「好き」と帰ってきたのは1回か2回だったかな。レア。
Cに『好き』って言わせたいなーと思って「好き、好き」言ってた節もある。アホか私は。
この時も「好き」という言葉が帰ってきて嬉しかったのを覚えているけれど、その後たえてひさしく聞くことがなかったせいか「裸エプロンのトレードオフなんだろう」と斜め上の方向で納得していた、納得しようとしていたのか。
そういえば、Cの気持ちを確かめるのが野暮のような気がしていたのはなぜだろう。背伸びしようとしていたのかな。
そして、私の「好き」も相当あやしかった。
嘘をついているとかそういうわけではなくて「女の子ってみんなかわいい」みたいな好き。ルーに対する好意も、出会ったばっかりで縁薄かった当時のカノへの好意も、ちょっとちょっかい出して一晩すごした子への好意も、きっと「好き」で済ませてしまえる境界のないあやふやさ。
こうして男女だったら当たり前のようにラベリングされたかもしれない気持ちは、ふわふわとあやふやなままで、時間だけが過ぎていく。
少し早めの就職活動が始めていたこのころ、Cも含めた色々な大人に諭されながら人生の軌道修正に忙しなく励んでいると、淡いふわふわとした気持ちのことは忘れがちになった。
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