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真・恋姫無双【凡将伝Re】4

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608 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/01/19(火) 16:13:56.57 ID:Fbey6trg0
>>607
けだし、名作でありました
北方謙三テイストがすごかったですよね
折角恋姫なんだからもっと四方八方手を出したらよかったのになとか余計なこと思いましたがw


ぐぬぬ、頑張って書いて一日2千字とか衰えているのかもしれない
がんばっていこう
609 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/01/25(月) 21:21:26.47 ID:6PcX0C5h0
全行程ボツにしてこれからやるぞやるぞやるぞ
応募に間に合うかは分からない

あ、二月になったらこちらガンガン再開しますのでよろしくお願いします。
出力エンジン、古バースト!
610 :赤ペン [sage saga]:2021/01/26(火) 08:58:04.76 ID:yrzRs+8L0
錆ついてそう>>古バースト…もしくは全力稼働と同時に爆発?
611 :赤ペン [sage saga]:2021/01/27(水) 10:19:41.32 ID:RQ0GG/ug0
梨園の誓い 後漢末期の怨将軍紀霊と沮授、張紘が交わした義兄弟の契りの故事。当時袁家は善政を布いており、中央との結びつきも強くその隆盛は飛ぶ鳥落とす勢いであった。
けれどそれは袁家領内に限った事であり、袁家以外の領地では土地が荒れ、重税に喘ぎ、子が飢え死に、賊が暴れ、異民族からの略奪に怯えることが常であった。
そのため、世には終末論が広まり、天の御使い様が世の乱れを正し安寧に導く……といういわゆる救世主を求める一種の宗教が成り立っていた(一説には黄巾党の跳梁は長角がそれを自称したからというものもある)
それを認められなかった紀霊は「自分たちの行いは何の意味も無かったのか、天に助けを求めなければならないほどに我らは無力なのか」と嘆いたという。
その荒れていた紀霊を二人が誘って梨園にて開かれた酒宴の最中に行われたのがかの【梨園の誓い】である。
様々な演劇、講談などで人気の一幕であるが、実はその詳細は驚くほど不鮮明である。これは当事者たちの日記以外にそれに触れているものが殆ど無く、その日記も彼らが酔っていた成果支離滅裂な記述が多いためである。
故に梨園の誓いの演劇においては3人の義兄弟の誰が長男かは決めずに対等であることを除いて、一切の制約が無い。
その自由度の高さもまた、この演目が人気の高い理由だと思われる。

閑・地該監督作品【怨将軍流浪譚・諸国漫遊記】パンフレットより

う〜ん、久しぶりにかいたけどなんかノリが悪い…けどデリートも勿体ないからいっちゃおう
612 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/01/27(水) 20:11:21.99 ID:LU4I4hjq0
>>610
爆発しそうです。
中々エンジンがアレだなあと思いながら頑張るます。

>>611
そっすか?割と面白かったですけど。
自分には書けないやつですので大変ありがたいです。
実際梨園の誓いが後世に伝わってたらこんな感じかなって。。。

まさに世紀末!
613 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/01/27(水) 20:23:58.95 ID:LU4I4hjq0
うーん、流石に慢心したか
今回は無理かな(弱気)
614 :赤ペン [sage saga]:2021/01/28(木) 15:26:46.98 ID:n3jTHL1W0
間違えた…閑・地該監督作品じゃなくて原作閑・地該【怨将軍流浪譚・諸国漫遊記】だった(どうでもいい設定)
関係ないけど話を盛るために梨についてちょっと調べてみたのだけど
梨って同じ品種だと子供ができないとか風吹くだけで実らないとか結構大変なんだと知りました
きっと演劇の梨園の誓いの一幕ではそれと平和を掛けた説得がなされたはず…李・博愛さんがやってくれる
615 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/01(月) 22:24:29.74 ID:b7jfbZnN0
詠と月の処刑は淡々と施行された。
極刑、それはどうしようもない。そして美羽様入内の恩赦で配下についてはその罪を赦されることになっている。
張遼は華琳が引き取ることになっており、恋は、まあ普通に放逐だろう。いかに万夫不当と言えど、召し抱えるリスクを負う者はいないはずだ。
とは言え、皇甫嵩と劉協が揃って横死しているなどとは、流石に想定外である。想定していた人事案がおじゃんだ。いやマジで。

「全く、厄介な」

ぼやく俺を責める者とていない。端的に言ってやさぐれている俺に声をかけるなぞ、ごく一部のみで……。

「やあ、二郎。ああ、機嫌は悪そうだな」

悪いよー。めっちゃ悪いよー。

どこか気遣うような声色で声をかけてきたのは白蓮だ。

「邪魔するぞ、と」

どっこいしょとばかりに不貞腐れる俺の前にある卓に腰掛ける。うむ。太腿からふくらはぎにかけてのラインが絶妙である。
これ、狙ってないんだろうなあ。狙ってたらすごいんだけどなあ。眼福というやつである。

「なあ、ありがとうな」

「ん?」

「いや、な。本当は今じゃない方がいいんだろうな、と思うんだ。だけど、私が、だ。地方軍閥の長でしかなかったこの私が州牧にまでなるのは、二郎のおかげだ。
 だから、ありがとうな」

よいしょ、と俺の膝の上に身体を移してそ、と体重をかけてくる。

なにこのかわいいいきもの。

「ま、まあ、あれだ。大変とは思うけどな」

太守からとんとん拍子に州牧だ。どえらいことではある。
そうかな?とばかりに白蓮は俺にしなだれかかって言う。

「官僚自体はそのままだからな。実際の運用は問題ないだろう。それに、頼もしい人材もいるしな。いや、韓浩はありがたい」

その声に俺に直訴してきた韓浩の言葉を思い出す。

「公孫賛殿は、地位以上の能力を持っている。彼女を州牧の座に据えるのは妥当」

ただし、と韓浩はぴくりとも表情を動かさずに言った。

「ただ、彼女はその性、誠実にして善良。これは個人としては賞賛すべき資質。ただ、為政者としてはいかがなものかと思う。
 故に私が補佐に付く。本格的に。
 率直に言えば、彼女の部下になろうと思う」

む?とばかりに首を傾げる俺に韓浩は言い募る。

「先ほども言ったが公孫賛殿はその性、善にして良。だが、裏を返せば脇が甘い。放っておけばいくらでもつけこまれるだろう」

だから、と。確信したかのごとくに吠える。吠えた。あくまで静かに。

「袁家、いやさ紀家には世話になった。
だが、公孫賛殿に私が仕えることには袁家にも利があると判断する。
そして、なにより、私があの御仁を支えたいと思っている」

淡々とした韓浩の訴え。それに俺は頷くことしかできなかったのである。

そんなことを思い出して頷く俺に。

「それに、桃香たちも手伝ってくれるしな」

これである。
なん、だと……?
なん、だと……!

616 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/01(月) 22:24:56.86 ID:b7jfbZnN0
◆◆◆

「俺たちは、無力だ……」

これまでになく、真剣な口調で北郷一刀は言う。

「結局、月も、詠も助けられなかった……」

刑死するのを歯噛みしながらただ見守ることしかできなかった。
刑場に乱入して彼女らをかっさらうという案も出たが、軍師陣の激しい反対で諦めざるをえなかった。なんでも、どうやっても実現は不可能とのこと。関羽と張飛の武勇、諸葛亮と鳳統の神算鬼謀を加味しても、無理だ、と。
そう、悔しげに、涙ながらに諫言する軍師たちに返す言葉を持ち合わせてはいなかった。

「痛感したよ。甘かった。俺の甘さがあったから月と詠を救えなかった。
 きっとさ、高い理想があるからさ。それをみんな分かってくれると甘えていたんだ」

だけど、と。

「理想だけじゃ駄目なんだなって分かった。
力がないと、駄目なんだ。
 でも力だけでも、駄目だ。月や詠みたいに、無実の人を犠牲にするなんて間違ってる!」

うんうんと劉備は熱心に頷く。
そんな劉備に優しげに微笑み、北郷一刀は言葉を繋ぐ。

「権力者が理想なくして力だけ持ってしまったら、こんな悲劇が繰り返される。
 そんなのは、駄目だ。絶対に駄目だと思う」

北郷一刀は胸に誓う。こんな悲劇、或いは茶番劇をもう、許さない。ただ、それには力がいる。それも相当の、だ。

「朱里、雛理。どうしたら、届く?あの、魔王って言われる紀霊。彼に伍するだけの力をどうしたら得られる?」

救える命を救わない。そんなことはあってはならない。
だから、最善を望む。今、自分たちには力が足りないのだ。
そう、力が、欲しい――。

◆◆◆

617 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/01(月) 22:25:36.04 ID:b7jfbZnN0
「把握した。主君たる貴女が決断した。否やはない」

淡々と韓浩は応える。
劉備が、その陣営が舞い戻ってきた。
そこに対して韓浩は無感動である。いや、無関心と言ってもいい。
なぜならば、彼らが飛躍するためにはまだまだ何もかもが足りない。それらを補うためには公孫賛を頼るのは必定。いや、それでいいと思う。
なんとなれば、伏竜と鳳雛と異名される軍師二人は。あの紀霊をして最大限に警戒するほどの逸材なのだ。
なればその二人が所属する陣営が想定内の範囲の行動をとるのはなんとも望ましいことである。その対照である陣営としては悩ましいのではあるが。

だが。

韓浩は、淡々と思う所を述べる。

「劉備なる在野の士が旧友と言う一点で士官を求めてきた。そしてその配下ともどもその能力に対して評価しているのはいい。だが、彼女らは一度公孫を見限ったということを忘れないでほしい。
 匈奴と相対して血を流した古参兵、そして幹部将校たちのことも思いやるべき。
 無論、この私も新参。故に――」

言い募る韓浩を公孫賛は押しとどめる。

「分かった分かった。桃香たちにはきっちり主従のけじめをつけさせる。それでいいだろ?」

こくり、と頷く韓浩に畳み掛ける。

「それに、だ!韓浩!お前が新参とか、間違っても口に出すなよ!」

裂帛の気合いをもって公孫賛は断じる。その語気はむしろ激昂。

「お前は!既に公孫の一員だ!」

その一言には万感の思いがある。あった。

袁家の軍制改革の一環として、最前線たる公孫には袁家の幹部候補生や、見どころのある兵卒が人事交流という名目で派遣されてきた。
僅かな時間の交流であったのがほとんどだ。それでも、同じ釜の飯を食った仲間という認識は袁家と公孫家に共通していた。なんとなれば、この二家の連携は他家の追随を許さないほどに。

そして韓浩である。

彼女は軍官僚として、お目付け役として袁家から派遣されてきた身だ。それに彼女特有の皆無に等しい社交性もある。
有り体に言って、受け入れがスムーズとは言えなかった。
それを覆したのは一重にその仕事ぶりだ。淡々と、だが、誰よりも公孫の発展のために陰に陽に尽力する姿はまさに無言実行。
ひと月もすれば彼女の仕事ぶりを認めない者はいなくなった。
兵卒と共に泥水をすすり、馬と共に眠り、駆ける。
公孫賛が得た白馬である。

「情けないことを言わせるなよ」

そして、だ。袁家の、紀家の重鎮として復帰するであろうと思われていたのに、だ。
あろうことか公孫に留まるというのだ。それも、帰る場所を捨てて、だ。
これに意気に感じない者はいない。公孫賛を筆頭に、だ。

「だから、笑えよ」

公孫賛は、無表情な韓浩の頬をつねり、口角を持ち上げる。

「ほら、こうやって笑えばお前はとっても美人さんだぞ」

くつくつと笑う公孫賛に韓浩は抗議の声を上げる。

「ひょんなことをひってもよくわからひゃい」

「いいんだよ。なあ、私は、韓浩が公孫の、いやさ私のところに来てくれたことがとっても嬉しい。其れくらいは、伝わってるかな?」

頬を公孫賛に掴まれたままに韓浩は頷く。

「うん。うん。至らない身だが、よろしく、頼むよ。
 本当にありがとうな、韓浩。
 本当に、大事にするから」

どちらが主君か分からないほどに公孫賛は頭(こうべ)を垂れ、双眸から溢れる涙は止まらない。

これより以後、韓浩はそのけして長くはない人生。
それを公孫賛その人のために捧げるのである。
618 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/01(月) 22:26:22.20 ID:b7jfbZnN0
本日ここまですー感想とかくだしあー

はい
やるとも。色々と。
頑張ります。
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/02(火) 02:39:36.53 ID:HjflD4PEo
乙したー
ついに来ちまった
胃が痛いが見届けさせていただきます 

そして早速長くない人生ってなんだ、おい
620 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/02(火) 05:56:40.44 ID:onzE6x630
>>619
どもです!

>胃が痛いが見届けさせていただきます 
細部では割と変更点もあるのですよね。
一ノ瀬的には。細かすぎて伝わらないかもですが。

>そして早速長くない人生ってなんだ、おい
伏線ってやつですかね(露骨)

621 :青ペン [sage]:2021/02/02(火) 12:06:31.17 ID:koPr4eiso
>>618
乙ーい。
【地味様と鉄仮面〜少しの戯れを添えて〜】な感じで
622 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/02(火) 20:44:25.12 ID:onzE6x630
>>621
どもです!
うわめっちゃ題名考えるの忘れてた!
案感謝です!
やったぜ!
623 :赤ペン [sage saga]:2021/02/04(木) 16:48:15.31 ID:jQhPFzIv0
乙でしたー
>>615
>>む?とばかりに首を傾げる俺に韓浩は言い募る。        これは実際には【む?】とは言ってないのかな
○どうするつもりだ?とばかりに首を傾げる俺に韓浩は言い募る。 ちょっと言い方が強いな…他の言い回しでもどうしてもちょっと詰問調っぽくなるし
○む?と首を傾げる俺に韓浩は言い募る。            【ふむ?】とか【うん?】とかでもいいけど【ばかりに】は入れない方が良さそうかな?
>>617
>>その対照である陣営としては悩ましいのではあるが。 これは劉備陣営に目を付けられたのが自分たち公孫陣営なのが悩ましいってことよね
○その対象である陣営としては悩ましいのではあるが。 【対照】だと比べるとかそんな感じなので多分違うかな
>>これに意気に感じない者はいない。公孫賛を筆頭に、だ。 【意気に感じない】の言い方だと自分の中の【意気(意気込み、やる気)】でちょっと違和感が
○これに意気を感じない者はいない。公孫賛を筆頭に、だ。 【(韓浩の)意気を感じない者はいない】その思いが分からないやつはいない、ならこうで
○これを粋に感じない者はいない。公孫賛を筆頭に、だ。  ちょっと違う気もするけど《これで心が動かないやつはいない》みたいな意味ならこうかな?

ところで…某所が「今までの蓄えを根こそぎされて一般人は劉備に大半がついて行って丸裸なんですが彼らを推薦した袁家さん、どうにかして」と息も絶え絶えだと思うのですが、そこのところは
ぶっちゃけそれまではただの農民だった人たちも劉備に【お・ね・が・い♡(はぁと)】されたら一緒に屯田兵(笑)になって反董卓連合で徴収されたと思うのよね…まあ自分たちについてこない片田舎の一般人(袁家支配下)なんてむしろ袁家の重しになってくれればいいんだろうけど
というか無位無官だったころの劉備達なら義勇兵含めて公孫瓚が好きにしていいだろうけど今の彼女らを勝手に部下にしていいの?「故郷(くに)に帰るんだな、お前らにも家族がいるだろう」しないとあの地――ひいては袁家――に悪いだろうに
一所懸命じゃないけど仮にも一地方の県令を引っこ抜いて事後承諾は社会人としてどうなの?公孫さん…劉備?脳みそお花畑は評価できない存在なので端から×マークです
624 :赤ペン [sage saga]:2021/02/04(木) 16:51:35.03 ID:jQhPFzIv0
上の文書いてて思い出した
ぽこ(一ノ瀬さん)あなたの言う(今日か)明日(くらい)っていつの明日なの?(ねーちゃん感
625 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/05(金) 07:15:45.77 ID:FfyRzMpA0
>>623
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>ところで…某所が「今までの蓄えを根こそぎされて一般人は劉備に大半がついて行って丸裸ry
ほんとろくなことしねえな桃ちゃんはw
きっと沮授君以下袁家官僚団がフォローしているでしょう。地位を最低限にしててよかった案件ですね本当に。

>今の彼女らを勝手に部下にしていいの
配下の義勇兵はそりゃ解散でしょうね。国に帰るんだなが基本方針でしょうか。どうしてもついてきたいという人については・・・
きっと無事危険視されて適切に処理されることでしょう

>>624
ヒエッ
頑張ります。
626 :赤ペン [sage saga]:2021/02/05(金) 11:41:52.34 ID:EDX2/C4d0
まあ彼らがフォローするよね。任命責任的に
それはそれとして逃げ出した劉備一行には謝罪と賠償を要求しないと…今の上司は公孫瓚?じゃあその人に
ぶっちゃけその辺裏でなあなあにするのは良いけど表向きは劉備の求心力に傷をつけるためにもやって損はないからな

というかガチで劉備達が任されてた土地って劉備陣営メインが全員反董卓遠足してる間に問題起きなかったの?
627 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/05(金) 21:16:35.27 ID:FfyRzMpA0
>>626
一連について、沮授君が陳琳ちゃんにパワハラするエピソードが浮かびましたのでご報告申し上げますw
いや、パワハラするというか、頑張れというか?
後始末に東奔西走する陳琳ちゃんとか、素敵やん?

ダイジェストやってみますか
628 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/05(金) 21:55:31.23 ID:FfyRzMpA0
時系列は脳内補完オナシャス

沮授君「やれやれ、困ったものです。劉備とかいう怪しげな輩をどうしてそんなに二郎君は警戒するのか。
     まあいいでしょう。二郎君の勘は馬鹿にできないですからね。
     頼みましたよ、陳琳さん」
陳琳「どうして・・・」
※文家の軍官僚という花形ポストにて、お祈りされたからです
※普通に行政官の修行としてはまあ、軽めの追加ミッションです
※新規の県令のサポートというか、監査するだけですからね
※通常業務はあれこれとあります

義倉を解き放つ!

陳琳「は?」

領地の正丁に軍事訓練とかし出す

陳琳「はあ?」

反董卓連合に参加すべく旅立つ

陳琳「はああああああ?」
沮授「監督不行き届き、ですかねえ」
※そら沮授君にしたって、まさかまさかである

沮授「劉姓で、皇族に連なるとか大きく出ていたから、体制を重んじるのかと思っていました。
   大きく思い違いしていましたね。
   彼女らにとって、決まり事やらは、踏みにじることが権威の証という認識なんですね。
   なるほど。これは二郎君に謝らないといけませんね」
それはそれとして、陳琳ちゃんを詰める。そらもう詰める。詰め合わせ。

陳琳「ええと、ええと。義倉が空っぽになったのは軍事物資の流れをいじって補充して、
   それでも足りないのは黒山賊の被害ということにして・・・
   正丁がいなくなったのは流民や黄巾くずれの中で従順なのを配分して労働力を確保して・・・
   県令については権官として私が兼務する感じでふわっと体裁を整えて・・・
   これってどれか一つとっても汚職官僚案件だなあ・・・」
※結果にコミット!これには沮授君もニッコリ

戦後処理

陳琳「はあ?今更出奔した奴らが帰ってくる?
   それなりに流民も元黄巾も安定してきたってのに?
   困る。困るぞ彼奴らに居場所なぞあるものかよ」
※おめめぐるぐる

陳琳「ヨシ!慢性的な労働力不足なとこがあった!
   君らの故郷は黒山賊に焼かれたということで、鉱山送りだ!
   無駄に元気で思慮のない奴らにはお似合いだな!」
これには沮授君もニッコリ

ま、大体黒山賊が悪いよー
ということで一つ。

尚、あれこれのノウハウには知り合いの韓浩に頼った模様

陳琳「どうして・・・」
韓浩「乙」
陳琳「貴様なんぞに頼る日が来ようとは!!!」
韓浩「割とあれこれ言われていた気がするが」
陳琳「気のせいだ!」
韓浩「そう」
陳琳「そうだ!」
韓浩「ならよかった。流石は俊英、英才。私の教えることなど何もないだろう」
陳琳「ちょっと待て。いや、待て。待って下さいとでも言えというのか!」
韓浩「?必要か不要かということだけだろう」

こんな感じの二人ですとか、当初考えてたのと違いますがこの二人のイチャイチャは永遠に書いてられますね
ということで一つ。
629 :赤ペン [sage saga]:2021/02/06(土) 11:47:01.52 ID:egySo1BO0
乙でしたー
>>領地の正丁に軍事訓練とかし出す 一応本郷君が始めたのは屯田兵でついて来た義勇兵に開墾させてたことだから(劉備の魅力で元からいた農民に一緒に訓練しよっ(キラッ)とやってないとは言っていない)
>>反董卓連合に参加すべく旅立つ 別にそれ自体は良いのよ…問題は全軍出撃して防衛戦力が見当たらないことで(公孫瓚もそれを危惧して韓浩を残そうとしてたし)
劉備陣営に対する擁護に見せかけた泥掛け習慣ヨシッ…なおどうにも擁護のしようがない義倉開放――お前ら前任者が有能善良と認めておきながらそいつが【いざというときのために】って言って引き継いだだろう蓄えを何人気取りのための施しにしてんの?それだけの食糧があれば洛陽で苦しんでいるどれだけの庶民を救えたことか(初期ネコミミ感
630 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/09(火) 22:05:46.34 ID:zVfFJUPn0
劉備たちを召し抱えた流れを白蓮から聞いて俺は大いに項垂れる。がっくりだぜこんちくしょう。
そうかい、そうだよな。それこそが最善手だよな。やってくれるぜこんちくしょう。そりゃ伏竜鳳雛そろってりゃそれくらいは考えるか。
むしろ、韓浩が白蓮の腹心としているということが救いかな。

「まあ、そんなわけさ。あれで桃香たちは県令だったろう?それを私が引き抜く形になるからさ。そこの調整を頼みたくてな」

この通りだ、と白蓮に頭を下げられると、だ。

「白蓮に筋を通されると、な。
 その様子なら他も分かってるんだろ?」

白蓮は苦笑して。

「そうだな。桃香の地位は県令だった。そこに兵権なんてあってなきが如しだ。それでもあいつはやってきた。
 どっちにしても領地には戻れない。そうだろう?」

「そうだな。なに、暴虐たる董卓に対して兵を発したならばそれはまあ、なんとかなるさ。
 するとも」

実際、他の諸侯も手元の領地の統治を手放して出兵したんだ。
いや、その意味合いはかなり違うけどね。だからこそ、劉備ご一行を領地に戻すわけにはいかない。

「それは助かる。じゃあ、私が招請したってことでお願いしていいかな?」

苦笑。こんなに苦い苦笑もなかろうさ。それでも白蓮のお願いとあらば、だ。
白蓮の招請する奴らの経歴に傷はつけられないよな。
まあ、人材の質という意味では超一流だしね。よかろうもん。

「はいな。白蓮の配下。そこいらへんの経歴に瑕瑾すら残さんさ」

まあ、ありがとうと満面の笑みを見れただけでよしとしよう。
後は韓浩に任せよう。
あいつなら、万事うまくやるさ。きっとね。

……俺のその読みは半分当たり、半分外れることとなる。

◆◆◆

631 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/09(火) 22:06:13.19 ID:zVfFJUPn0
郭嘉はその報告を目にして僅かに顔を顰(しか)める。定期的に集める市中の噂、をだ。

「魔王、ですか」

禁裏を血に染め、政敵の悉くを葬り去ったが故にそう呼称されているとのことだ。あくまで一部ではあるようだが。

郭嘉はため息を漏らす。そんなものかと。
そしてどうしたものかと頭を巡らす。けして好ましい風評ではないのは確かなのだが。
そう思いながらその風評の対象である青年にちらりと視線を。

「――困ったものですね」

その呟きは果たして彼の耳に入ったであろうか。
常ならばお気楽な表情である彼は、いつになく憔悴しているように見える。これは好ましいことではない。
執務室には彼と彼女のみ。これが彼女の親友たちならば軽口をたたくなり、すっとぼけた発言で場を潤すのだろう。だが、生憎郭嘉にそのような話術はない。センスもない。
それは彼女が一番自覚していることである。つまり。

――人としての魅力に乏しい。

これに尽きるであろう。口を開けば仕事のこと、或いは小言。分かっている、分かってはいるのだ。
あれこれと話題だって準備はしている。話題の飯屋だったり、流行りの服だったり。
まあ、その大半は阿蘇阿蘇から得た知識ではあるのだが。それでも彼が責任編集しているそれは格好の話題となるはずである。
それでも、彼を前にするとそんな事前準備は全て吹き飛んでしまうのだ。
だから、今も気の利いたこと一つ言えない。彼の親友――言わずと知れた張紘――からあれこれと助言すら貰っているというのに。
結局、こうなる。

「如何(いか)に未明に髑髏の兵を率いて洛陽を駆けて禁裏を血に染めたとはいえ、好ましくはない噂です。
ええ、実際もって好ましくはない」

分かっている。分かってはいるのだ。他に遣り様はなかったと。だが、それでも、他に遣り用はなかったのかと郭嘉は思うのだ。
だって貴方はこんなにも憔悴しているではないか。
だから、言い募る。

「二郎殿、もとよりです。貴方はその虚名を活かすためにあれやこれやされていたのでしょう。
それを、一夜にして台無しにするとはいかがなものでしょうか」

違う、そうじゃない。そういうことを言いたいのではないのだ。
そんな、そんな風に彼を糾弾したいのじゃない。そうじゃないのだ。

「大丈夫だ、問題ない。英雄たる怨将軍の役割たる英雄の座。
それは既に星が引き継いでいる。引き継いでくれる。
あの恋と伍したんだ。
だから、さ。怨将軍は廃業ってことさ」

632 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/09(火) 22:06:39.78 ID:zVfFJUPn0
もともと、でっちあげたもんだからな。
そう笑う彼の笑みはどこか透きとおっていて。郭嘉は胸が締め付けられるのを自覚する。
でも。だって、それでは。魔王なんて言われては貴方は。

「いいのさ。俺のことは、ね。いいんだよ。何と言われても、さ。所詮風評なんてそんなもんだしな。知らん奴らに何を言われても構わんさ。
 俺というものを知ってくれている人がいるから、さ」

その笑みは傍目にも痛々しくて、見ていられない。
そして、思う。
立場があるからだろう。そう、一度も彼は董卓や賈駆の処遇――死刑――に言及していない。

きっと。

悼(いた)んで、いるのだろう。彼女らを。そして。
傷(いた)んで、いるのだろう。彼の、心は。

なんとなれば、身内には甘い彼だ。彼女らを逆賊として処罰することに対してどれだけ慙愧(ざんき)の念があることか。

「だから、俺のことはどうでもいんだよ、ほんと。
 風評なんて、もっとどうでもいいさ」

その言葉と表情に郭嘉は、激昂する。そして溢れる言の葉。

「どうして、ですか」

「え?」

「そんなに、そんな貴方がどうしてそこまで傷つかなければならないのですか」

貴方は、こんなにも頑張っていて、そんなにも傷ついて。そんなのはあんまりだと郭嘉は理不尽に憤る。

「二郎殿はもっと、もっと……」

お気楽に笑っているべきなのだ。適当な戯言を口にして窘(なだ)められていればいいのだ。
そう、だから、こんなのはおかしい。こんなのは認めない。
欠けたものは、補えばいい。

「私では、不足ですか?」

いや、不足だろう。愛想なんぞないこの身だ。でも、それでも。見ていられない。こんな彼は見ていられないのだ。だから。

「え?」

口付けした。
戸惑う彼の表情が、何故だか嬉しい。

「貴方の空隙を、埋めたい。そう、思いました」

きっと、これは恋なんてものではない。
きっと、それは愛なんてものでもない。

同情とか、打算とか。きっとそんなありふれたものだ。

「私では、不足ですか?」

上手く、笑えているであろうか。郭嘉はそんなことを思う。
でも、だからこそ、精一杯にほほ笑む。

だから、怒号とも、嗚咽とも言い難い音響と共に押し倒された時には、安堵を覚えたのだ。
とうに諦めていた、女としての悦(よろこ)び。

――郭嘉という人物が史書に記述が増えるのは、反董卓連合以後である。

「進むも郭嘉、退くも郭嘉」

変幻自在の用兵。
戦争芸術を仕立て上げる彼女は、後世において戦争の天才として語られることになる。
そのことを知る者は、未だいない。
633 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/09(火) 22:07:55.31 ID:zVfFJUPn0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は、なんだろ
戦争の予感

とか

郭嘉

とか

常勝の天才

とか?
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/09(火) 23:38:35.08 ID:onAAB091o
乙したー
どんどんフラグが積まれるよ、やったね浩ちゃん!(白目)

題名案は「魔王と呼ばれた男の真実」で
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/10(水) 04:27:38.58 ID:jw5g4/YkO
乙ですー
禀ちゃん可愛いよ禀ちゃん
こういう自分の恋心とかそういうものを打算とか言っちゃう不器用な子は堪らんのですよ


題案は
『凡人の心器、金継ぐを禀けしは』

せっかく結ばれたので真名を忍ばせたいと思ってこんな感じに
ひび割れ欠けた器なら金継ぎでより美しくすればいいのですよ、と
禀ける(うける)という言葉は命令を受ける、という意味らしいので、二郎ちやんの心を修復する天命を受けるのは、今は禀ちゃんなんですよー、という意味を込めまして
636 :青ペン [sage]:2021/02/10(水) 20:26:07.28 ID:6r8qH1Ajo
>>633
乙ーい。
そうね、既に出てるスタイルではあるけれども
『凜として慟哭〜その心中慮るにあまりにも傷多くして』かな。
637 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/10(水) 20:38:05.69 ID:xJx1lJTL0
>>634
どもです!

>どんどんフラグが積まれるよ、やったね浩ちゃん!(白目)
そうだよ(便乗)
盛り上げていきたいですねえ(適当)

>題名案は「魔王と呼ばれた男の真実」で
かっこいい
海賊と呼ばれた男
みたいな!!!

>>635
どもです!

>禀ちゃん可愛いよ禀ちゃん
ようやっとここまできたか感もあり、感慨深いですよ

>こういう自分の恋心とかそういうものを打算とか言っちゃう不器用な子は堪らんのですよ
わかる!!!!!

>『凡人の心器、金継ぐを禀けしは』
これはよい
なんか、すごいいい

>禀ける(うける)という言葉は命令を受ける、という意味らしいので、二郎ちやんの心を修復する天命を受けるのは、今は禀ちゃんなんですよー、という意味を込めまして
なるほど、いけるな
ちょっと加工するかもしれませんが

>>636
どもです!

>『凜として慟哭〜その心中慮るにあまりにも傷多くして』かな。
慟哭はいいな。すごくいい。


いろいろありがとうございますー!
久しぶりなのに即レス感謝!!!!!!!
頑張るぞいっと。


638 :赤ペン [sage saga]:2021/02/11(木) 15:45:56.82 ID:Sn1CqxcM0
乙でしたー
>>631
>>郭嘉はその報告を目にして僅かに顔を顰(しか)める。定期的に集める市中の噂、をだ。 【、】の位置に違和感が
○郭嘉はその報告を目にして僅かに顔を顰(しか)める。定期的に集める市中の噂を、だ。 もしくは【……定期的に集める市中の噂、それは――】とかどうでしょう
>>だが、生憎郭嘉にそのような話術はない。センスもない。 感覚…かあ
○だが、生憎郭嘉にそのような話術はない。面白味もない。 私、つまらない女なので。とか思ってそうよね
>>それでも、彼を前にするとそんな事前準備は  前の文で【それでも】は既に使ってるのでちょっと変えて
○それなのに、彼を前にするとそんな事前準備は もしくは【だというのに】とかどうでしょう
>>632
>>同情とか、打算とか。きっとそんなありふれたものだ。 これで全然良いのですがちょっと私の好みを
○同情とか、打算とか……きっとそんな薄汚れたものだ。 まあこんな世界だと打算で抱かれることととかありふれてそうではあるけどあえて彼女には卑下してもらいたい(にっこり)…そのあと丸ごと包まれて許されてほしい
>>だから、怒号とも、嗚咽とも言い難い音響と共に押し倒された時には、  執務室で日の高いうちからとか爛れてるっすね…ぜひこれからの執務中に思い出して見悶えてほしい
○だから、怒号とも、嗚咽とも言い難い雄叫びと共に押し倒された時には、 【音響】だと声っていうより物音な感じがするしこっちの方が良いと思います

公孫瓚は二郎があいつら嫌ってる事とかあいつらが袁家嫌ってることとか気づいてないんだろうか…劉備>>公孫瓚>>袁家な感じで寄りかかってるというか、公孫瓚ってなまじ一人である程度何でもできるから人によりかかるのが苦手な印象があったけど大分二郎に甘えてるな(良くも悪くも
先に相談せずに引き抜きして事後承諾で更にその尻拭いまで頼むとかなかなかできることじゃな…これ二郎の影響だ―!?フラッと人材拾って来たり張魯さんを太守に推薦したりしてたからなあ
ところで髑髏の集団とか誰が見たんだろうか?禁裏は皆殺しだしそこいらの民草の目に留まるような隠形レベルの低いやつはそんなにいないと思うのだけど
郭嘉はこの何事にも理屈をつけたがる感じがとってもグッド、打算云々言っといて女の悦びで本気出すようになったり…良き
人間的な魅力は、うん、そうねえ…空気とか読まずに思ったこと口にしたりっていうと韓浩と馬が合いそう?まあ上司が自分に(能力的な意味で)自信がないくせに責任感はあるタイプとはすごい相性良いんだな、と
639 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/11(木) 19:51:46.32 ID:aefmmWR50
>>638
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
今回もありがたやー

>あいつら嫌ってる事とかあいつらが袁家嫌ってることとか気づいてないんだろうか…
二郎「個人の好悪を押しつけることはない(キリッ」
なお、愚痴る模様

>先に相談せずに引き抜きして事後承諾で更にその尻拭いまで頼むとかなかなかできることじゃな…これ二郎の影響だ―!?フラッと人材拾って来たり張魯さんを太守に推薦したりしてたからなあ
この視点はなかったですけどそうかもしれないwっっw

>ところで髑髏の集団とか誰が見たんだろうか?禁裏は皆殺しだしそこいらの民草の目に留まるような隠形レベルの低いやつはそんなにいないと思うのだけど
み、皆殺しではないです。宦官だけのはずです多分。

>郭嘉はこの何事にも理屈をつけたがる感じがとってもグッド、打算云々言っといて女の悦びで本気出すようになったり…良き
作中最大級にめんどくさ…攻略難度高いヒロインだなあと思います。実際どうしたもんかと思ってますが流れに身を任せたらこういうことになりました

>人間的な魅力は、うん、そうねえ…空気とか読まずに思ったこと口にしたりっていうと韓浩と馬が合いそう?まあ上司が自分に(能力的な意味で)自信がないくせに責任感はあるタイプとはすごい相性良いんだな、と
韓浩と組ませたら、めっちゃ言葉で殴り合いそうですね。そして周囲のどん引きをよそに本人達は別になんも感じてないやつ
絶対うまくいくけど、偉くなると周囲が忖度して破局しそう
対面して言葉で殴り合ってる限りは大丈夫と思います

640 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/11(木) 20:39:16.78 ID:aefmmWR50
難航していた人事は、決まった。いや、決めた。
まずは州牧からである。

ここは大きな動きはあまりない。ただ、動いた内容については各方面に相当に衝撃を与えたそうだ。

でも動いたのは幽州、荊州、益州だけなんだけどな。
まあ、その内容がびっくりどっきりだったのかもしれんね。

袁家は幽州の支配を手放し、公孫賛がその地位に。そして荊州は孫権。益州は劉表に。

益州を治めていた劉焉については隠居を命じた。だってかなり不穏だったからね、あの人。まあ、皇族たる劉焉を隠居させるとか俺の評判はますます魔王的な悪名一直線である。

そして漢朝の中枢の人事についてである。

まず、だ。麗羽様は大将軍として漢朝そのものを後見なさる。
三公に超越する大将軍の地位。実際麗羽様にふさわしい。

そして、司法を司る司空は先日交わした密約通り、華琳だ。
そしてあれこれ悩んでたけど太尉は白蓮に勤めてもらう。あれから韓浩とも話したけど、劉備とは離した方がいいってことになった。
いや、太尉についてはあれこれ悩んでたんだが、それで一気に片付いた。軍事に明るく、その心根についても疑う所はない。事務処理だってばっちりな白蓮は、思えば適材だよ。
内々に打診した時に白蓮はぽかんとしていたけどな!目が点とか呆然自失とかいうのはああいうことだろう。いや、可愛かったけど。可愛かったけど!
本当は斗詩か猪々子がよかったんだろうけどさ。
斗詩の、バランス的にありえないほどの高スペックを考えれば匈奴防衛で南皮に配置せんといかん。恋に手傷を負わせたことも含めて、北方の護り。これは斗詩に任せないといかん。師匠やねーちゃんがひっこむことも鑑みるとな。
そして猪々子は、禁軍の実戦部隊の掌握がその任。いざ変事ある時に宮中において戦力を確保するということ。つか、太尉という地位はほら、書類仕事も多いから……。

そして司徒は聞いて驚け、俺だ。
人事権を持つ司徒というのは三公の中でも特別な存在。実は司空や太尉に優越しているのだ。実際、俺の一言で華琳を罷免することも可能なほどの地位なのだ。
人事権というのはそれほどまでに、重い。まあ、これまでは骨抜きにされて追認のみの地位だったんだがな。
正直そんなめんどくさい地位はいらないんだけど致し方なし、である。

「はいはいー、どうにも表情が冴えないですねー」

けらけら、と七乃が揶揄してくる。
だってしょうがないじゃない。色々あんだもん。

「で、随分楽しそうだがそっちはどうなんだよ」

ぎろ、と見据える俺の目線なんぞどこ吹く風とばかりに七乃は微笑む。

「ふふ。荒(すさ)んでる二郎さんに朗報ですよ?お気にされてた魔王という風評。風説の流布。その中心を掴みましたー」

おお、流石は七乃。諜報戦では無敵だな!

「まあ、有り体に言えば亡霊のようなものですね。つまりは、皇甫嵩という中心を喪った清流派。その残党がしきりに蠢動してますね。
 まあ、流言としては極めて稚拙ですがねー」

断末魔と言ってもいいかもしれませんね。

くすくすと七乃は笑う。その透明な笑みが却って彼女の凄味を強調しているのを気づいているのだろうか。いや、分かってるんだろうなあ。

「まあ、いいや。その、なんだ。口幅ったいが、俺を魔王呼ばわりしてる奴ら。まとめてしょっぴけ」

俺の言葉に七乃は小首をかしげる。いちいち可愛いなこんちくしょう。

「えー?二郎さんはそういうの、気にしないと思ってたんですけど?」

いやまあ、知らん奴に何言われてもどうということはないぜ?
……知ってる奴に言われたらへこむけどな!

「俺がどうこう思う話じゃあないのさ」

そう、これは危機。或いは好機。

「王というものは、その呼称は劉姓にのみ許される称号。それを口にするものども。
 平地に乱を起こす不埒者。故に除かねばならん」

かつて隆盛を誇った呂氏。彼奴らは王を僭称し、滅びていった。
それほど王という称号は重いのだ。重いのである。
それを放置できんさね。

「王などという呼称を口にする者は放っておけんさ。
 その軽さが、危うい」

むしろ、清流派の残党を捉えるいい口実になるというものだ。

641 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/11(木) 20:39:43.25 ID:aefmmWR50
「はいはいー。了解しましたー。
 でも、いいんですね?」

ふと、真顔で七乃が問いかけてくる。

「大義名分は二郎さんにあります。
 それでも、これより二郎さんは怨嗟の的となるでしょう。
 誹謗中傷の恰好の」

は。

「それでいいのさ。悪評というものには使い様がある。
 それが袁家、いやさ麗羽様や美羽様に向かわないならば」

いくらでも魔王となろう。

「庶人の噂はどうでもいい。だが、士大夫のそれは許さん。そのように」

「あーもー。分かりましたけどねー」

何かものっそい不満そうな七乃であるが。なんでなのん?

「あのですねえ。
二郎さんがそのような悪名を背負うことに、あのお優しい美羽様がどれだけ!
お心をお痛めになるか!」

えー。

「でも七乃ってそんな美羽様見るのも好きじゃないの?」

ため息、一つ。
深く、響く。

「勘違いしてほしくないですね。
 そりゃ、私は美羽様の泣き顔も大好きですよ?」

ですが、と。

「本気で美羽様が傷つくことを愉しんでいると思うならばその認識は本気で不愉快ですね」

ばか。


正直、こたえた。

◆◆◆

642 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/11(木) 20:40:09.43 ID:aefmmWR50
「魔王、か……」

かしゃん、と音を立てて皿を重ねる。
だがそれでも、その音も彼女の想いを解き放ちはしない。

果たして、あの青年は。あんなにも泣きそうな顔をしていた彼は、その呼称に相応しいのだろうか。
むしろ――。

無意識のままに更に追加の皿を頼むのは、関羽その人である。
いや、あの場で。主たる北郷一刀の宣言。劉備の檄の前に異を挟むほど空気が読めないわけではないのだが。

かしゃん。

また、音が響き皿が重ねられる。

随分と重なるその音。
ここは洛陽の中にある酒家。公孫賛に教えてもらった、安くて旨い人気店である。

ふと、思う。幽州に張り付いている彼女がどうしてこのような店を知っていたのであろうかと。

「ご相席、願いまーす」

店員のその言葉に思わず是、と応じ、どっこらせとばかりに腰をおろす男と目が合う。

「げえ、関羽!」

関羽は言葉を失う。
なんとも気まずいことに、その男とは、紀霊であった。
つい先ほどまでの思索の対象たる青年。それが目の前に現れ、さしもの関羽も冷静ではいられない。

「あー、失礼するぜ」

ぼりぼり、と気まずそうに頭を掻いて紀霊がへにゃり、と笑う。

なんとも情けないその笑みに関羽は口ごもる。反応に困る。そして、かあ、と頬に血が昇るのを感じる。
だって。うず高く重ねられた皿は紛れもなく関羽一人の戦果。

「こ、これは……」

だがそれは乙女としてはなんとも恥ずかしく。いや、そのようなことを思うのもおかしなことではあるのだが、そこまで関羽に思考能力は残されてはいない。

「ふむ。
健啖家、と言う奴だな」

しみじみと、なにか感慨深げに頷く紀霊の言に関羽は言葉を失う。
というか、全身ゆでだこのように真っ赤に、羞恥に染まっていて。

「って紅いよ?赤いよ?朱いよ?変に暴走とかせんよな?まずは時に落ち着いてくれ」

なぜか目に見えて狼狽える紀霊を見ているとなぜか笑みがこみ上げてくる。

643 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/11(木) 20:40:35.43 ID:aefmmWR50
「あら可愛い」

くすり、と笑った関羽の表情を見て発したのは率直な思い。もしくは賛美の言葉。

「な、なにを言うのですか!」

「ん?いや、笑顔、さ。
いつもこう、眉間に皺を寄せた、こわーい顔ばっかりだったからさ。
 笑った顔がこう、ね。可愛いなと思ったのさ」

かあ、と更に上気する頬の熱さを自覚してしまう。

「まあ、いいや。とりあえず飯だ飯。ここ、旨いんだよなー」

美味さ、安さ、早さのバランスが高いレベルで結実していると力説されて関羽は戸惑う。

「んー。旨い!」

汁物と付け合せをいかにも美味しそうに食べる姿に関羽は違和感を覚える。

「貴方のような立場ならばもっと美味しいものをいくらでも食べられるでしょうに」

ずず、と汁をすする紀霊が、ん?とばかりに応える。

「まあ、あれだよ。市中視察ってやつだな。洛陽はまだまだ治安に不安があるからな。こういったとこで実際の空気を感じとかんとな。
いざというときに判断を誤るからな」

勿論報告書はあるけどやはり自分の目で見ないとな、と笑う紀霊に関羽はなんだか後ろめたさを感じる。

「それにまあ、宮廷料理みたいのは確かに美味いけどさ。こういうのが性に合ってるのさ」

貧乏性なんだよ多分。と笑うその顔。
そこには劉備のようなカリスマも、北郷一刀のような魅力もない。だのになぜ胸に響くのか。

「まあ、あれだ。不思議に思うかもしれんけどさ。
こういう庶民の食事は富裕層にとっては好奇の対象だからな。別に俺だけが嬉々として食ってるわけじゃないと思うぞ。
いや、心底楽しく食ってるのは俺くらいか。むむむ……」

あれこれと能天気に話す紀霊。
ふと気づくとその話に引き込まれている。

「ですから、星があそこまでメンマに拘るのは解せないと思うのです」

「然り。メンマがいかんとは言わん。だが、そこに拘泥するのは星の可能性を狭めているのではないかと俺も危惧していた」

方向性は、ともかく、だが。

「そういや、なんで関羽は劉備に従ってるのん?」

「それは無論、桃香様の尊い理想に感動したからです」

不意に問われても関羽は戸惑うことも狼狽えることもない。
それは、関羽にとって。とっても大事な。神聖なものである。

「ふうん……?」

だから、その神聖なモノに胡乱な視線を向ける紀霊に苛立ちを覚える。

644 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/11(木) 20:41:13.73 ID:aefmmWR50
「言いたいことがあれば言えばよろしかろう。回りくどいのは、貴殿に似合わん」

吐き捨てるその言葉になぜか紀霊は嬉しそうに笑う。

「そだよな。腹芸なんて俺には似合わんよなあ。
いあ、ほんと華琳が欲しがるのもなんとなく分かるわー」

ククク、と笑う紀霊になんと言ってやろうかと関羽は思いを馳せる。その関羽に紀霊は問う。

「劉備の、どこに惹かれた?」

単刀直入なその問い。関羽は苦笑する。言わずもがな、と。

「皆が笑って暮らせる世を創る。その理想です」

胸を張り、言う。

「この乱世、民を導くのは桃香様をおいて他にない。そう思いました」

ふうん。と紀霊はどこか濁った笑みを浮かべる。

「世は、乱れているのかい?」

「黄巾の乱。反董卓連合。乱れているでしょう」

そうかい、と紀霊は口を歪める。

「じゃあその二つが治まったらば、これ以降、どう乱れるって思う?」

その問いに関羽は考え込む。

「分かりません。ですが、きっと乱れる、のかと……?」

乱れるという前提。その根拠を関羽は知らないし思いつかない。
そのようないい加減なことを言っては主の見識まで疑われてしまう。

「いえ、失礼。
確かに現在乱れる要因は見当たりませんね」

尚も言い募ろうとする関羽に紀霊は言う。

「なあ、俺は思うんだ。人は、幸せだから笑うんじゃあない。
笑うから幸せなんだって」

唐突に放たれたその言葉。謎かけのようなその言葉。

「人はさ。飯だけで生きるわけじゃない。でもさ。為政者たるものはまず飯の確保をせんといかん。
言ってみれば為政者の役割は胃袋を満たすことだと思うのさ」

だから、さと苦笑する。

「脳髄まで満たすというのはさ、とっても傲慢だと思うんだよな」

「なんと!」

主を侮辱されたかと激昂する関羽。その激情は鎮火する。だって。
言葉の主はとても辛そうで。

「まあ、それは俺が凡人だからかもしれんね。胃袋と脳髄。ともに満たす。
俺にゃ無理だわ」

気弱に笑って席を立つ。その彼に関羽は問うた。

「なぜ、そのようなことを私に?」

「なんでだろうな。俺にも分かんねえさ。
きっと関羽が美人さんだから口が滑ったのだろうさ」

そう言って紀霊は立ち去る。ひらひら、と後ろ姿で手を振るその背中はどこか哀愁すら背負っていて。

それを無言で見送る。
そして、関羽の食事についても彼により清算されているのを知った時、なんともいえない表情を浮かべるのであった。
645 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/11(木) 20:41:51.18 ID:aefmmWR50
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名は

「揺らぎ」

いや、マジで関羽ワンチャンあるなというきっかけです
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/02/12(金) 17:52:51.13 ID:f9IH2Ici0
乙でした
何かいいことでもあったのかい?僕が救うわけじゃないよ、君が勝手に救われるだけさ・・・あれ、勝手に立ち上がるだけだっけ
救う?掬う?巣食う?私が皆をスクッテミセル
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/12(金) 19:53:48.33 ID:9W0P7lA/o
乙です

改めて考えると、恋姫の関羽ってやっぱり蜀勢の中でも難しい立ち位置なんですよねぇ
惇姉みたいに愚直な武人として野生の勘を働かせて、自覚のないまま本質を見抜くには頭が働きすぎるし、
かと言って頭脳働きするにはメイン軍師二人が有能すぎ、
知勇兼ね備えた武将となるには、いささか行き過ぎた忠義が目を曇らせる、と
いやまあ人としてある意味当然の苦悩といえばそんな気もしますけどね、自分の立つべき場所、やるべきこと、なんてものは

さて題案ですが
『美髪公は盲たる忠を超え蒙を啓けるか』
とか
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/13(土) 01:10:17.61 ID:o1KaqT1Co
乙したー
愛紗がゆらゆらしとる、もっとばるんばr

・・・高すぎる理想は時として大切なはずの現実を蝕んでしまうのよね

題名案は「美髪公の戸惑い」で
649 :646 [sage]:2021/02/13(土) 19:53:24.51 ID:TiaDMXuM0
スクッテミセルというか彼女の場合は「私が救ってあげなきゃ民たちがかわいそう」「私しか救える人はいない」みたいな感じかな
二郎が言ったようにこれから先大きな戦がないなら
650 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/14(日) 08:07:11.10 ID:EDY1PK720
>>646
どもです!

>何かいいことでもあったのかい?僕が救うわけじゃないよ
うさんくさい拝屋!うさんくさい拝み屋じゃないか!
足の速い詐欺師がすきです

>>647
どもです!

>改めて考えると、恋姫の関羽ってやっぱり蜀勢の中でも難しい立ち位置なんですよねぇ
真になって、桃ちゃんが出てきてぐっとヒロイン力が低下した感はありますよね

>惇姉みたいに愚直な武人として野生の勘を働かせて、自覚のないまま本質を見抜くには頭が働きすぎるし、
>かと言って頭脳働きするにはメイン軍師二人が有能すぎ、
>知勇兼ね備えた武将となるには、いささか行き過ぎた忠義が目を曇らせる、と
スペックは高いのにそれを活かせてない感・・・

>『美髪公は盲たる忠を超え蒙を啓けるか』
啓蒙はいいですね。ちょっとキープ

>>648
ばるんばるん!

>・・・高すぎる理想は時として大切なはずの現実を蝕んでしまうのよね
現実に対応する方便なんですよ、理想って

>>649
>二郎が言ったようにこれから先大きな戦がないなら
ありまぁす!(先行入力)
ダイス判定はほぼ終了しました
後は筆の滑りだけやなあ

651 :青ペン [sage]:2021/02/16(火) 08:32:17.68 ID:FrzscDFZo
>>645
更新乙ーい。
んー。
対比的な表現で重ねてみたくなったのよね。
とゆーわけで
『武神と凡人〜理想と現実』
な感じでどないや!?
652 :赤ペン [sage saga]:2021/02/16(火) 15:18:23.30 ID:9mHsezzZ0
乙でしたー
>>640
>>斗詩の、バランス的にありえないほどの高スペックを考えれば匈奴防衛で南皮に配置せんといかん。  【バランス的にあり得ないほどの高スペック】って何ぞ?ゲームバランス?
○斗詩の、バランス型且つありえないほどの高スペックを考えれば匈奴防衛で南皮に配置せんといかん。 もしくは【まさに万能型の見本のような高スペック】とかどうでしょう
>>642
>>そして、かあ、と頬に血が昇るのを感じる。 慣用句で【血が上る】のは頭が基本かな…ただその場合怒りっぽいけど
○そして、かあ、と頬が紅潮するのを感じる。 むしろ【頬が熱くなるのを】、【頬が赤くなるのを】の方が良いかな?
>>643
>>汁物と付け合せをいかにも美味しそうに食べる  間違いと言うほどではないですが
○汁物と付け合わせをいかにも美味しそうに食べる こちらの方が一般的なようです
>>ずず、と汁をすする紀霊が、ん?とばかりに応える。 【とばかりに】は《言ってないけど言っているように》みたいな意味なので
○ずず、と汁をすする紀霊が、ん?と目を向け応える。 もしくは【心外だとばかりに】とか?《殺してやると言わんばかりに睨みつける》(殺してやるとは実際には言っていない)のように使いましょう
>>そこには劉備のようなカリスマも、      本来カリスマって何かを成し遂げた人が出すもので何も成し遂げてない場合どっちかっていうと詐欺師のそれに近いような
○そこには劉備のような人を惹き付ける魅力も、 一応魅力92あるから魅力が無いわけじゃないし≪二級フラグ建築士≫も持ってる…けど問答無用で人を魅了する程じゃないんだよなあ(劉備のように傾世元禳も持ってないし)はメタにもほどがあるか
>>644
>>いあ、ほんと華琳が欲しがるのもなんとなく分かるわー」 いあ!いあ!クトゥグア!ふんぐるい!
○いや、ほんと華琳が欲しがるのもなんとなく分かるわー」 話し言葉だから気にするほどでもないですが、もしくは【いやぁ、】とか?
>>笑う紀霊になんと言ってやろうかと関羽は思いを馳せる。 【思いを馳せる】は遠くにいる人のことを考えるときに使う慣用句ですね(精神的に距離がある?まあ否定はしませんが
○笑う紀霊になんと言ってやろうかと関羽は思案する。   【思索に耽る】だと没頭しすぎな感じもするし【思考を巡らせる】だと結論が決まってる場面だと違う気がするしこれでどうでしょう
>>だから、さと苦笑する。   この【、】には重みがあるなあ【だからさ、と】だと軽い
○だから、さ……と苦笑する。 むしろ【だから……さ、と】の方が良いかしら?

>>ばか。 この言葉に込められた、秘められた想いは妄想するだけで尊いご飯三杯はいける
>>美味さ、安さ、早さのバランスが高いレベルで結実している この言葉の違和感に気付けば関羽が一刀に報告して和解()ルートが?
弱者救済はいいんだけどね、問題は【私と一緒にいれば皆を幸せにしてあげる】が周りに伝播して【劉備しかこの乱世を収められる人はいない=他の人が治めてる民は不幸だ】みたいになることで
でもよく考えてみたら劉備の弱者救済って優秀な前任者が貯めてた備蓄を振舞って税金下げて。っていう典型的な【魚をあげる】方式だったか、多少は農徳新書も使って……前任者が使ってないわけないから劉備(一刀)の施策した【魚の取り方を教えた】方式って何かあったかな?
653 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/16(火) 21:33:36.52 ID:fZdflJYR0
>>651
どもです!
どもです!
いつも感想ありがとうございます。

>『武神と凡人〜理想と現実』
素敵!
ただ、この時期の関羽はまだ武神ではないのでどうしようかなってところでほんとうに勿体ないので珍しく(多分初)リテイクオナシャス
これいけそうなのよ、惜しいのよ
でも関羽はまだ武神じゃないし、武神になったらダイスロールやり直さないといけないのよ

>>652
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>ばか。 この言葉に込められた、秘められた想いは妄想するだけで尊いご飯三杯はいける
これはね。これだけはね。どうしてもやりたかった案件でございました。
七乃さんの思いというのは中々ね、出せないので。かつ作中最強キャラの一角なので。

>弱者救済はいいんだけどね、問題は【私と一緒にいれば皆を幸せにしてあげる】が周りに伝播して【劉備しかこの乱世を収められる人はいない=他の人が治めてる民は不幸だ】みたいになることで
うむ(満足そうな顔)

>でもよく考えてみたら劉備の弱者救済って優秀な前任者が貯めてた備蓄を振舞って税金下げて。っていう典型的な【魚をあげる】方式だったか
人は成功体験を無視できないのです、とだけ

654 :青ペン [sage]:2021/02/17(水) 22:16:31.22 ID:eLdpmlfqo
>>653
しかたにゃいにゃあ
『武人と凡人〜理想と現実』でどないや!?
655 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/18(木) 20:26:19.69 ID:i0brLQaa0
>>654
やったぜ!

前半と後半がどっちも秀逸!
どっちか使いたい!そんときの気分!
前半かなあ。。。

頑張るぞいっと。
656 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/18(木) 21:28:20.71 ID:i0brLQaa0
さて、反董卓連合。その一連の軍事行動を経て袁家内で最も声望が高まったのは郭嘉である。当主たる袁紹を補佐し、最上の戦果を挙げたのだからして。
本来……と言うかその役割には沮授が充てられるというのが大方の予想であった。
袁家を牛耳る立場にある紀霊の義兄弟。そして「あの」不敗の田豊の秘蔵っ子なのだ。当然参軍するのは沮授であろうと思われていたのだ。
だが参軍したのは郭嘉。
いや、北方、匈奴への備えを考えれば沮授が南皮にあって備えるというのは実に妥当ではあったのだが、それは後知恵というものである。

「まあ、ねーちゃんと師匠の相手を稟ちゃんさんにさせるのも酷だろうよ」

どこかの自称凡人の言である。

そんな事情もあったのかもしれない。
ともかく、郭嘉は見事にやり遂げて見せたのだ。もっとも、彼女は諸侯軍の誅滅が果たせなかったことが若干心残りだったようであるが。
そして、その郭嘉は現在。
親友たちと歓談していた。

「しかし、まさか稟がなあ。よくぞまあ、鼻血を吹かなかったものだ」

趙雲は感慨深げに頷く。いや、実際心配していたのだ。いざ、ことに及ぶ段において、だ。

「そですねー。少なくとも二郎さんは血の海の中で欲情するような性癖はないようですし〜」

程立もうんうん、とばかりに頷く。

「ふ、二人とも!私をなんだと思っているのですか!」

さしもの郭嘉も声を荒げる。が。

「などと説得力に欠けることを言っており」
「稟ちゃんは可愛いですね〜」

その無垢なる怒りはどこにも届かず、いいようにからかわれていた。
ひとしきりそのようなやりとりを終えた後。

「……で、実際、よくもまあ乗り切ったものだと思うのだが」

興味津々といった風に趙雲が尋ねる。
む、と口ごもる郭嘉。そして、ぽつり、と。

「その、二郎殿が、ですね。
あまりに痛々しくて。その、なんとかお慰めしたいと。その一心でしたので……」

見ていられなかった、と漏らす郭嘉を流石に茶化すことは出来ない。
なんとなれば、彼の傷心については彼女らにしても、心を揺らしていたのだからして。

「ですから、その。
あまり、常のようにその行為を……あ、あの。あのような行為。
はしたなくも甘美でそれでいて苦痛すら悦びに変換されるそのような行為。荒々しくも優しい二郎殿。そして……!」

657 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/18(木) 21:28:47.43 ID:i0brLQaa0
ぷぴ。
破裂音、一つ。

「はいはいー。稟ちゃん、とんとんしましょうねー。とんとーん」

吹き出す鮮血に驚くこともなく対応する二人。

「うう、すみません……」

「それは言わない約束でしょう〜」

その様子にけらけらと趙雲は笑う。
いや、いつもどおりだな、と。そして三人揃って袁家に仕えることができてよかったと心底思う。
知り合い同士で殺しあうというのはまあ、端的に言って好みではないからして。
ありえた未来ではあったのだ。幸運にもそうはならなかったが。

「しかしなんだな。これから先はどうするのだ。主を好きすぎて思考が焼きつく状況なぞ中々なかろう」

む、と郭嘉は唸る。確かにそうだ。勢い――と断じるのは甚だ不本意ではあるが――で身体を重ねたことはいい。望んでいたことだから。だが、そのような突発的な場合なぞこれから幾度あるのだろうか。
まったくもって厄介な体質である。

「そこはですね。風に腹案があるのですよ〜」

くふ、と含み笑いをする程立。

「ほほう。長年の懸案事項であった稟の特殊体質が解決されるというのか」

感嘆する趙雲。その声に邪気がないから郭嘉は文句も言えない。

「……星の言い様はあまりといえばあまりですが、風。どういうことでしょうか」

くふふ、と笑みを漏らし。びし、と指を郭嘉に突き付ける。

「謎は大体解けたのですよ。結局稟ちゃんはあれこれ考えすぎなのですね〜。
 稟ちゃんはとってもお利口さんだからこその不思議体質と申しましょうか〜」

「つまり、どういうことなのだ?」

問う趙雲の言葉ににまり、と程立は笑う。

「あれやこれやを考えることのできる状態になければいいのですよ〜」

「そうは言いますが、具体的には?」

郭嘉の問いに、くふ、と笑う。

「思考能力を奪う魔法の薬があります〜」

程立がじゃじゃーんとばかりに取り出したのは……。

「酒瓶を取り出して、何を言うのですか!」

「おお、見事な突っ込みなのですよ」

程立が取り出したのは酒瓶。それも火酒、だ。袁家内で幾度も試作を重ね、そのまま飲むと、喉を焼くようなそれはまさに火酒。つまり蒸留酒、という奴である。
それを見て趙雲がなるほど、と頷く。

「ああ、なるほどな。酔っぱらってしまえばあれこれ妄想する余裕もなくなるということか」

「流石は星ちゃん。その通りなのですよ〜」

「ちょっと待ってください色々おかしいしひどくはありませんか?」

とは言うものの、他に妙案なぞなく。

「……釈然としません」

だが、普段クールで鉄壁でセクハラの欠片も許してくれそうにない郭嘉が前後不覚になり、それをお持ち帰りしつつ美味しくいただいてしまうという極めて限定されたシチュエーション。
――大好評であったようである。
658 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/18(木) 21:30:01.75 ID:i0brLQaa0
本日ここまですー感想とかくだしあー

タイトル案はいつも大変。
今回はなんだろうなあ

火酒

かな

火酒を活用してくれたら嬉しいですのでオナシャス
659 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/18(木) 22:17:02.07 ID:i0brLQaa0
あと、色っぽい案件については基本的にカットということです。
必要なことは見せた。これ以上は弥山。

そういうことでひとつよろしくお願いします。
お察しください。
あっちにもアップはしないのでご安心ください。
660 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/19(金) 17:42:07.73 ID:DQ/uuxT70
むしろあっちにアップするべきか。
661 :赤ペン [sage saga]:2021/02/20(土) 16:23:26.48 ID:Kz9nW6UD0
乙でしたー
>>656
>>いや、北方、匈奴への備えを考えれば沮授が南皮にあって備えるというのは    北方と匈奴ってほぼ=で繋げていいよね?もしくは北方の匈奴みたいな
○いや、北方――匈奴への備えを考えれば沮授が南皮にて睨みを利かせるというのは 【、】を使うと北方(民族)と匈奴の2種類への備えに読めるので
>>どこかの自称凡人の言である。 間違いではないです
○どこぞの自称凡人の言である。 分かっててぼやかす場合はこっちの方が自然かな?
>>郭嘉は見事にやり遂げて見せたのだ。 【〜して見せた】は実際に見せる場合なら使うのかな?
○郭嘉は見事にやり遂げてみせたのだ。 鮮やかな手並みを強調するなら【やり遂げて魅せたのだ。】とかもいいかもですね
>>程立もうんうん、とばかりに頷く。 頷く時点で【ばかりに】じゃなくてそのものずばりよね
○程立もその通り、とばかりに頷く。 もしくは【うんうん、と同意するように頷く。】とかどうでしょう
>>657
>>主を好きすぎて思考が焼きつく状況なぞ中々なかろう」 【焼き付く】って言うと壊れる方向なのにこの子の場合逆にその方が良い状態があるって言うのがw
○主を好きすぎて思考が”飛ぶ”状況なぞ中々なかろう」 いわゆるヒューズが飛んだおかげで逆に鼻血吹き出しスイッチが動かない。的な?
>>だが、普段クールで鉄壁でセクハラの欠片も許してくれそうにない郭嘉が前後不覚になり、それをお持ち帰りしつつ美味しくいただいてしまうという極めて限定されたシチュエーション。 ええっ!普段は上司を馬鹿にしてるエリート部下をお酒で前後不覚にしてお持ち帰り、快楽堕ちさせて「これをばらされたくなければ次呼ばれたらすぐ来いよ」プレイをするだって?
○だが、普段は冷静沈着の鉄壁で殊色事なぞ話題すら許してくれそうにない郭嘉が前後不覚になり、それをお持ち帰りしつつ美味しくいただいてしまうという極めて限定された睦言の合図。 【シチュエーション】は場面とか状況とか言い換えられるけどここはあえてお互いに分かったうえで行う…つまりお酒の飲める場所に誘うだけでゴールが決まった寸劇なのだろうさ(実際本当にお酒でべろべろになったとしたら二郎が弱みに付け込むとは思えないし

>>望んでいたことだから。 聞きましたw?望んでやったこと、じゃなくて望んでいた、って恋でも愛でもなく同情と打算で云々言っといてこれですよ
火酒で(顔周りの)熱冷ましと(二郎との逢瀬の)火付けを同時に行う…なんという無駄のない完璧な理論そしてお酒によって記憶が飛ぶ(と言うことになってる)から思いっきり甘えたりわがまま言ったりしてそう…あと噛み跡とか付けてそう
ノクターンに悪い上司にお持ち帰りされてたっぷりと鳴かされた翌日勝手に有給申請が通っていて数日かけてじっくりと開発されるクールむっつりエリートの話が投下されるだって?
662 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/20(土) 20:49:35.52 ID:Xc2D2rVJ0
>>661
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
そしてご指摘で気付いたけど稟ちゃんさん、これべた惚れですね。
もちっとクールということだと思ってたのですが。
これはいけません。
※いけなくはない

>火酒で(顔周りの)熱冷ましと(二郎との逢瀬の)火付けを同時に行う…なんという無駄のない完璧な理論そしてお酒によって記憶が飛ぶ(と言うことになってる)から思いっきり甘えたりわがまま言ったりしてそう…あと噛み跡とか付けてそう
ヨシ!ちょっと久々書こうかなと創作意欲に火酒です

>ノクターンに悪い上司にお持ち帰りされてたっぷりと鳴かされた翌日勝手に有給申請が通っていて数日かけてじっくりと開発されるクールむっつりエリートの話が投下されるだって?
悪じゃのう・・・w
ちょっとむっくりと来ました
きてますきてます。やりたいなあ。ちょっくら考えます。

663 :青ペン [sage]:2021/02/21(日) 02:42:26.50 ID:fpDxiudNo
>>658
ほむ?
思考を止めるは炎の酒
でいってみるぅ?
664 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/21(日) 05:59:40.52 ID:QHd3saAi0
>>663
ありがとうございますー!
ちょっといじるかもですがこれは有り難く頂きます!
665 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/21(日) 23:20:10.33 ID:QHd3saAi0
「まずは一献、どぞ〜」

湯につかりながら程立が酒器に酒を注ぐ。
ふむ、とばかりに杯を干した郭嘉は思わずむせる。

「これは、風!これはなんですか!」

「おやおや〜稟ちゃんは飲んだことがなかったですっけ?
 火酒、というやつですよ。
 二郎さんが現代に再現した神話の御神酒。
 酒精に火の気を与えて燃える酒となす。
 実際に火が付くのですし〜。
 当然、神ならぬ人もその火に侵されます〜」

くすくす、と笑う程立の言に納得する郭嘉である。
確かに喉を通ったのは炎。か、と燃え上がるがごとく血流は沸き立つ。

「まあ、ゆっくりと呑むがいいと思うぞ」

ニヤリ、と笑うのは趙雲。
これ見よがしにごくり、と火酒を飲み干して大きく息を吐く。
その吐息は酒精の主張が大きく、常の郭嘉ならば眉をひそめただろう。

だがしかし、頬を上気させた郭嘉は再び火酒に挑む。
ごくり、と飲み干すとそこから炎。滴る液体は熱をもたらす。内臓を焼き尽くしそうな熱量に目を白黒させる。
ほ、と漏らした息から火が付きそうだ。
ぬるめの湯がそれを助長する。かぁ、と血流に火が入ったようだ。
鼓動ひとつ。またひとつ。
どくり、と動く血流ごとに身体が火照っていく。熱くなっていく。

「湯とは火と水の相克。そして火酒も同様。水でありながら火を内包する大地の営み。
 理性を溶かす炎の液体。
つまり稟ちゃんの理性はこれより以降仕事をしないということですね〜」

「うむ、予想以上に酔いが回ったようで何よりだな。
 …これでどうなるか、分からないのだがね」

「ま、なんとかなるでしょ〜。
 本番はこれからなのですし〜」

◆◆◆
666 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/21(日) 23:20:40.10 ID:QHd3saAi0
どさり、衝撃一つ。
そして揺れる世界は彩りに薄い。
いささかばかりに酒精を取り過ぎたか。

「水を、お願いできますか」

真横にある人影。声をかけたが。

「いいぜ。任せろ」

くい、と水差しから液体を含み、注ぎ込む。
常ならばそんなこと許しはしない。
だが、ここに例外が存在する。

「二郎殿。いけません。いけません。
 駄目、駄目なのです」

注ぎ込まれたのは火酒。
世界は揺れ、今自分がどこにいるかも定かではない。
確かなのは唇を合わせた男の身体のみ。
ぎゅ、と抱きしめ、熱い炎を飲み干す。

喉を焼き、五臓六腑に火を付ける。目から炎、口からは煉獄。
そして至る思考は支離滅裂。

だから、嬉しい。
ここまでしてくれたのか、と思う。
ここまでさせてしまったのか、と思う。

合わせた唇からは悦楽の波が伝わり、自分の身体が女なのだと痛感する。
それが、嬉しい。好いた男が寄せる情欲が、嬉しい。

「ください」

溢れた思い。
前戯や口説きはもういらない。
今はただひたすらに蹂躙してほしい。

だから、達した。
一突きごとに達した。
尖りを突き込まれて、達した。
絶叫した。してない。わからない。
既にそれは夢うつつ。

愛しい男の身体を抱きしめたようでもあり、ただなすすべもなくされるがままだったようでもあり。

ただ、達していたのは確かなこと。

口を開ければ注ぎ込まれる炎。
その痛みに叫んだ、ような気がした。

現かまことか。
それすら混迷。いや。

確かなのは、男がいること。
惚れた男がいること。
愛しい男がいること。
男と肌を合わせているということ。

こちらの体温が高い。なのに熱さが押し寄せてくる。

絶頂ひとつ。

肺腑からの叫びを漏らした。叫んだ。
我を喪う。
それは、とてもとても気持ちがいいこと。

だから、日が昇り、覚醒したとき。
床にはひとり。

そして、郭嘉は初めて喪失と寂寥を知って、その涙で渇きを潤すのであった。
667 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/21(日) 23:21:08.71 ID:QHd3saAi0
本日ここまですー感想とかくだしあー

あまりエロくなかったね
ただまあ、稟ちゃんさん、可愛いなって
668 :赤ペン [sage saga]:2021/02/24(水) 15:16:59.20 ID:C0LIDdq+0
乙でしたー
>>666
>>目から炎、口からは煉獄。  前にも書きましたが【煉獄】ってキリスト教圏の言葉(意味としては天国へ至る途中の浄化の場所)なんですよね
○目から火花、口からは灼熱。 【目から炎】って言うとなんか眼光(レーザー)っぽいのでチカチカと火花が散る感じで

受け入れたのか、貪られたのか、結ばれたのか、繋がれたのか、確かなことは自分が選んだことと自分が選ばれたってことかな?
でも最後に惰眠貪らずに早起きして女残してどっか行ったジゴロちゃんはちょっと違和感…お前情を交わした女に「昨日は可愛かったよ」っていう以上に大切な仕事あるの?
669 :青ペン [sage]:2021/02/24(水) 20:10:38.08 ID:/1vzV1S1o
>>667
乙ーい。
冷静沈着な子が乱れるのっていいよね…。
というわけで
冷凜なる心を火酒で焚いて

とでもしとこかー。
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/25(木) 22:55:36.99 ID:ck6kKx4Z0
火酒で蕩かして とかもいいかもね(乗っかり感
671 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/27(土) 11:02:42.78 ID:TPEHQPiC0
>>668
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

さて

>受け入れたのか、貪られたのか、結ばれたのか、繋がれたのか、確かなことは自分が選んだことと自分が選ばれたってことかな?
>でも最後に惰眠貪らずに早起きして女残してどっか行ったジゴロちゃんはちょっと違和感…お前情を交わした女に「昨日は可愛かったよ」っていう以上に大切な仕事あるの?
AルートとBルートありまして。
今回のはBルートでした。
Aだと朝を一緒に迎えますが、当然感想戦となって鼻血エンドというコメディなんですよね。
んで、そうなるだろうからということで去ったBですが、ちょっとおセンチなのであっちに出す際はAルートでやります

>>669
どもです!

>冷静沈着な子が乱れるのっていいよね…。
控えめにいって大好物です!!!
俺しか知らないあの子の痴態とか最高やん

>冷凜なる心を火酒で焚いて
よきです
火酒で焚くっていいですね。大炎上不可避

>>670
どもです!
仮採用でオナシャス

4月からは忙しくなりそうなのでちょいちょいペースを上げて本年中に完結としたいなあという願望
672 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/08(月) 22:28:07.07 ID:SYKaUEsN0
「断空!光牙拳!」

発した叫び、そして轟音。

「ふむ、凄いものだな……」

趙雲は感嘆の声を漏らしながら、見事にへし折れた丸太を確認する。
楽進の一撃。それは一撃で、一抱えもあるような太さの丸太をへし折ったのである。金色の光輝を背負うかのごとく吹き上がる気迫。いや。気の高まり。

「剛柔いずれも無手では、勝てんな」

負けないまでも、と言わないのは彼女なりの矜持というものであろう。

「まったく、相対すれば厄介この上ないな。
無論、槍の一振りさえあれば負ける気はないが――。
 槍の間合いの外から打ちこむ気弾。そしてその乾坤圏だったか。おまけに間合いにもぐりこまれると打撃(シュート)に関節技(サブミッション)ときたものだ。
 全く初見殺しも甚だしい。」

肩をすくめて苦笑する。論評を受ける楽進は恐縮しきりである。

「い、いえ。まだまだ未熟な技ゆえ、そこまで評価されると心苦しいのですが……」

「なに、謙遜することはない。事実さ。
なればこそ主の身を預けられるというものだ」

典韋が孫尚香と共に、袁術の護衛という名目で後宮に張り付いている現状がある。
紀霊の護衛の要は自然と楽進になる。無論趙雲とて紀霊の身を守るという名目で近くにいたいのではあるが。

「あ!
遅れましたが、執金吾へのご就任、おめでとうございます」

そう、すったもんだの末に趙雲は洛陽の治安の要たる地位に。
かの呂布を単騎で退けた武勇を恐れてか、洛陽の治安は一気に回復されたという。
それもあり、高まる声望は留まることを知らない。無論、阿蘇阿蘇(アソアソ)など、情報発信にも余念がないからでもあるのだが。それを知っているからこそ趙雲は苦笑する。

実際は母流龍九商会が裏の社会をも掌握したからというのが大きいのだろうが。
673 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/08(月) 22:28:32.64 ID:SYKaUEsN0
「なに、実務にはほとんど絡んでおらんよ。名誉職もいいところさ」

これは謙遜、或いは韜晦(とうかい)である。どこぞの凡人と違って彼女は生真面目な面があり、任された職責に全力で当たっていた。
無論、慣れぬ業務で不備などはあったにしても許容範囲。名ばかり司徒としてまともに席を温めない彼とは勤務態度に大きな違いがある。
そして楽進はそれを正しく認識しており、だからこそ一騎当千たる彼女の貴重な時間を無駄にすまいと知る限りを答え、出来る限りを示す。
なんとなれば、彼女たちは共通している。求めているのだ。最強を、至強を。

「と、すまんな。愚痴っぽい。
 ――そう言えば、関節技にしても、投げ技にしても見事に洗練されているのだが、それはやはり?」

いささかあからさまで強引な話題転換ではあるが、楽進はそれに喜んで便乗する。
彼女には政治めいた話題はよくわからないことであるし、自らが極めようとしている技については一刻ならず、一晩語っても語りきれないのだからして。

「はい。いずれも二郎様からご伝授頂きました!」

きらきらと輝く笑顔。その純粋さに趙雲はなんとも言えない表情を浮かべる。

「あの珍妙な技それぞれ全てを、か……?」

「はい。いずれも使いどころは難しいですが非常に理にかなっております」

「四十八手、だったか。裏も同数あると言うが」

趙雲は未だその全てを目にしたことはない。目前の楽進も同様だろう。
技とは秘すべきものだからして。

「はい。ですが、ある日ふと漏らしてらっしゃいました。
俺の殺人技は百八まであるぞ、と。
 恐らく、真に危険な技については封印されているのではないでしょうか」

むむ、と趙雲は唸る。やはり全貌を知る者は彼のみであるか。
その表情を見たのか楽進は慌てて取り繕う。

「その、二郎様は、仰ってました。俺は人は殺さない。その怨念を殺す。それこそが活人拳である、と。
 だからこそ、だと思うのです」

なんとも甘いことだ、と趙雲は笑うことはできない。
のほほんとして、ぼんやりとして。だらしなくにやけて。それが彼の本当の姿、なのだろう。
思えば自分も、だ。憧れの英雄たる姿を、その虚像を望み。或いは押しつけてはいなかったか?
ふと浮かぶその思いを振り払う。いや、自分の胸で泣き崩れる彼を見た、知った。そして、愛し合った。その絆は本当のものだ。だから、自分は強くならねばならない。彼の前に立ちはだかる困難全てをうち滅ぼすくらいには。
軽く首を振り、決意を新たに。
674 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/08(月) 22:29:08.23 ID:SYKaUEsN0
「なんとも主らしいと言えばらしいな。しかし、だ。あの技の数々は主が編み出したものか?」

「いえ、私が聞いたところによると」

――五輪の書。かの黄帝が記したという武術の真髄を記したと言う書。始皇帝の焚書を奇跡的に逃れた稀書。

「ただ、残念なことに書庫の不審火で喪われてしまったとのことです。ですから二郎様も、あやふやなところがあるとおっしゃってました」

「ふむ。神農の書といい、紀家の書庫が焼けてしまったのは惜しいことだな。健在ならば気の扱いについても、なにか指南書があったやもしれんのにな」

嘆息する趙雲に楽進は問う。

「そう言えば華佗殿に師事なさっているのでしたか」

是、と趙雲は頷く。

「まあ、今のところは瞑想して気の巡りを強めること以上はできんが。
 硬気功だったか?全身に気を巡らせればそれができるということだが」

今は虫刺されを気にせずにて済む程度だな、と苦笑する。
楽進からしたらそれでも驚くべき成果なのだが。

「そう言えば貴殿も華佗殿に師事していたろう?
治癒、だったな」

「はい。生憎と相性がよくないようで、どうにも習得に手間取ってはいますが……」

心底無念そうに楽進は呟く。

「だが、まるっきり効果がないということはないのだろう?」

はい、と言って楽進は静かに気を練り上げる。先ほどとは真逆の、静かな気。溢れんばかりであったそれを内包し、整える。
無言で趙雲に手をかざし、無言で眉間に皺を寄せる。

「ふむ。温かいな」

趙雲の正直な感想である。

「今の私ではこれが精いっぱいです」

額に汗を浮かべ、息を弾ませながら楽進が応える。

「ふむ。ちなみに効果としてはどれほどのものなのだ?」

これは純粋な好奇心。いや、相性が最悪という彼女がどの程度の成果を上げているか。それは趙雲にとっても指針となるのだからして。

「はい。肩こりには効くそうです」

「は?」

「肩こりにはよく効くと、真桜が」

ああ、と趙雲は納得してしまう。
李典。彼女の体躯はそれほど立派なものではない。だが、その胸部装甲は圧倒的である。趙雲とて自らのそれに自信を持っているのではあるが、李典のそれは次元が違う。

「まあ、その、なんだ。道は遠そうだな」

「ええ」

笑い合う二人。

そして彼女らは地道を厭わない。そしてその目線は高く上げたままに。
きっと人は自分のためだけではこんなにも頑張れない。そして、共犯者の笑みを交わす。

千里の道、なにするものぞとばかりに。
675 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/08(月) 22:30:33.29 ID:SYKaUEsN0
本日ここまですー感想とかくだしあー

タイトル案は「千里の道も一歩から」
うむ、ふつうだ。
タイトル案募集しまくりんぐですよ本当に!
ぼすけてー

こっからどんどこいきたいとこですね

しかし神農書に五輪の書
紀家の書庫は宝箱やー!
676 :赤ペン [sage saga]:2021/03/10(水) 15:08:03.84 ID:Rn98zfGD0
乙でしたー
>>672
>>負けないまでも、と言わないのは彼女なりの矜持というものであろう。 これは実際は無手でやりあえば負けると思ってるけど、そうは言わないのがってことかな?(勝てんな、だけなら素直に負けを認めた感じだけどそこに負けないまでも、と言えば引き分けにはできる。という負け犬の遠吠えみたいなことは思ってるけど言わない?)
○負ける、と言わないのは彼女なりの矜持というものであろう。     武人として、というかまあ単純に負けず嫌いもあるかもだけど端から負けを認めるのは矜持に反する(本気でやれば十中八九負けるかもだけどいざその時は何が何でも万が一でも拾ってやると思ってる?)
○負けないまでも、と言う呟きは彼女なりの矜持というものであろう。  絶対に勝てないような相手(例えば呂布とか)と戦うことになってもお互いに勝つ気で戦うぞ、と(ただし気恥ずかしいので大声はちょっと…)みたいな?
>>674
>>今は虫刺されを気にせずにて済む程度だな、と苦笑する。 これは刺された跡が痒くならないということ?それとも虫に刺されない程度には硬くできるようになったってこと?
○今は虫刺されを気にせずに済む程度だな、と苦笑する。  刺されないことなら【今は虫刺されに煩わされずに済む】とかどうでしょう

>>典韋が孫尚香と共に、袁術の護衛という名目で後宮に張り付いている現状がある。 さらっと孫家が朝廷での立ち位置得ててw実益はともかく権威としては悪くない(なお実益は袁家からもらえる)とか強かだわ
>>俺の殺人技は百八まであるぞ、と。 波動球かよ!?王子オリジナルと王家の三大とツープラトンを足せばそのぐらいになりそう
某努力家「武術の伝承とはすなわち、模倣から始めるのだ」暗闇の中を只進むのは無理でもか細い光でも光明があれば進める。(なお陽炎の可能性)
武人たちは学びあうことでより高みへ行くようで…その横で凡人はルート検索とか必要な物資調達してそう
紀家の書庫…人間の骨格とか内蔵の図が掛かれた解体親書とか地球は丸いと書かれた世界地図とかありそう(こなみかん
677 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/10(水) 21:10:06.10 ID:ABnJikA30
>>676
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>これは実際は無手でやりあえば負けると思ってるけど、そうは言わないのがってことかな?(勝てんな、だけなら素直に負けを認めた感じだけどそこに負けないまでも、と言えば引き分けにはできる。という負け犬の遠吠えみたいなことは思ってるけど言わない?)
負けないまでも、勝ち目が見えない(精一杯の強がり)
くらいのニュアンスなので、ご検討くださいませ。

>これは刺された跡が痒くならないということ?それとも虫に刺されない程度には硬くできるようになったってこと?
後者の方ですね。
それでもすごいです感じ。

>さらっと孫家が朝廷での立ち位置得ててw実益はともかく権威としては悪くない(なお実益は袁家からもらえる)とか強かだわ
ここらへんを読み取っていただけるとすごく嬉しいやつなのです。

>波動球かよ!?
今となっては昔のネタではありますがw

>紀家の書庫…人間の骨格とか内蔵の図が掛かれた解体親書とか地球は丸いと書かれた世界地図とかありそう(こなみかん
オーパーツ的な知識を出すなら紀家の書庫が起源となるのですよねw
まあ、古代で中華と印度と羅馬はおかしいくらいに文明だったので、そういうことなんでしょう(適当)
678 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/10(水) 21:51:10.18 ID:ABnJikA30
「おや珍しい。これは明日からの天は、慈雨間違いなしですね〜」

三公の筆頭たる司徒。その執務室は俺の戦場。そこに踏み入った俺にかけられたのは、腹心たるメイン軍師の無慈悲な言葉だった。やったぜ。

「ああ、最近埃っぽいし、そろそろ一雨ほしいとこだかんな」

軽口で答えて、どしりと司徒の席に座る。むむむ、しっくりこない。
何とも言えない、すわりの悪さを置いておいて報告書に目を通したりしなかったり。
生暖かい風の視線なんてまるで気にならない。暫しの沈黙。多分これ以上どちらも黙ってたら、どちらかが口を開くのであろうなあという微妙な間。その時。

「あー、疲れた。まったくやってらんないわね。って二郎じゃない珍しい」

やれやれ、といった風に登場したのは劉璋ちゃんである。

時は暫し遡る。

――劉璋ちゃんが俺に面会を求めてきたときには柄にもなく緊張したものだ。なんとなれば彼女のご母堂を――皇族にもかかわらず――強制的に隠居させたからして。
てっきりそれに対する文句というか弾劾の言葉を頂くのだろうと思っていたのだが。
もたらされたのは意外な言葉であった。

「へ?仕事がしたい?」

「そう。だから適当な役職を見繕ってほしいの」

「そりゃ構わんが……」

丁度人事案をあれこれ考えてたところだからタイミングもジャストではあったのだけんども。

「まあね。お母様の処遇については思う所がないわけでもないわよ。
でもまあ、仕方ないわ。
私だって馬鹿じゃないのよ?お母様がどんな動きをしていたかくらいは理解しているわ」

もにょもにょと言葉を濁して、その沙汰については納得してくれていたみたいだった。
いや、実際あれで韓遂まで呼応されてたら、結構面倒くさいことになってた。
涼州はともかく益州まで出兵とかやってられんしなー。
まあ、それはともかく、だ。

「皇族でございとふんぞり返っとくのは?」

実際、宮中に健在な皇族って今上陛下を除けば劉璋ちゃんくらいなのだ。
いくらでもちやほやされる夢の生活も可能なのだからして。
お気楽な俺の言葉に軽く苦笑。
679 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/10(水) 21:51:36.57 ID:ABnJikA30
「流石にそれは、ね。そこまで図々しくないわよ。
弁君……今上陛下に半ば弓引いたような立場だもの。
だったらきっちりと汚名は返上しないとね」

なんとも真面目なことである。劉璋ちゃん自身は軟禁されとっただけというのに……。

「まあ、それはいいとして何で俺のとこに?」

「そ。それは!」

口ごもる劉璋ちゃん。どことなく頬が赤らんでいるようにも見える。
ああ、なるほどな。今上陛下への直訴は立場上いかにもまずい。だからと言って事実上の最高権力者たる麗羽様ともコネがないし……。
三公で言えば白蓮は地方の軍閥出身だし華琳はまあ、宦官の系譜さ。なるほど選択の余地はなかったりする。まあ、きな臭い動きも七乃からは聞いているんだがね。

「清流派を率いるみたいな話も聞いたんだけど」

旗印を喪った清流派。その首魁に据えようという動きは割と活発で。立場としてはありえるなーと。それらをぶっちゃけトークで聞いてみたんだが。

「あのね。訳も分からずに派閥の領袖になって、よ?私は一体何ができると言うのよ。
結局お神輿になって利用されて、それだけでしょう?
 だからね。私はね。実務に携わりたいの。
皇族でございとふんぞりかえりたくないのよ。
 私がちやほやされるというのはつまり、漢朝が健在だからでしょう?その根幹を駄目にしたくない。いいえ、別に清流派にそれほど含むところがあるわけじゃないのよ。
 でもね。きっと私は何も知らない。だから派閥の領袖に相応しい判断なんてできはしない。ただの傀儡になるしかないの。
私は、皇族よ。皇族なの。でも、董卓や宦官の暴走を止めることはできなかった。
 皇族というのが尊重されるのは、それだけ重い責を担っているからでしょう?」

そう言ってくしゃり、と顔を歪めた。

「私はね。嫌なの。
もう、自分が足手まといだなんて、嫌なの。
だから、二郎にお願いするの。二郎なら、その、ね。信じられる、から――」

なんとも嬉しい評価である。
とはいえ、だ。劉璋ちゃんというのは実に劇物。扱いには苦慮するというか、だな。

「ん――。俺の部下的な地位でも文句は言わない?
 正直、劉璋ちゃんが自覚しているよりも君の血筋、立場というのは厄介でね」

俺ごときの下風に立てるかと断られるとかもしれないと思っていたのだ。

「ええ、構わないわよ」

即答である。
苦渋の決断どころか、どこか嬉しそうな表情。解せぬ。
そんなこんなで劉璋ちゃんは中書令として、司徒府の内に入ったのである。ちなみに中書令は地位としては三公に次ぐくらい。
んでもって立場はまあ、政調会長?色々と、どこにでも首をつっこめるという汎用性の高い役職である。

んでもって現在に至るわけなんだが。
ぶっちゃけ司徒府において一番働いているのが劉璋ちゃんという嬉しい誤算。
その権限と血筋と俺のバックボーンを活かして、ずんずんとなんにでも首を突っ込み、納得いかんことには、無垢なる怒りをぶつける。
んで、官僚とかのその場しのぎの言い訳は過去の記録を確認したり、蔡邑さん――現在は太師として今上陛下と美羽様、あとたまにシャオと流琉を教育している――に裏を取ったり、八面六臂の大活躍である。
蔡邑さんも、あれで何進の下で実務をこなしていたからなあ。古典とか前例への理解では他の追随を許さないし。

ちなみに、思い立ったが吉日とばかりにとっこーする劉璋ちゃん。宮中において他に劉姓がいないということで破格の扱いを受けている。
非公式な場では、今上帝からは「叔母上」と呼ばれ、「弁君」と返すくらいである。多分、劉姓であるという以上に、だ。簡にして単な気性も今上陛下からしたら気安く、心強いからこその扱いなのだろう。
そして、それが故に宮中でも特異な立場を築きつつあるのだ劉璋ちゃんは。具体的に言うと、「劉皇叔」という尊称が定着しつつある。
うん、なんだそれ。マジかよと思ったものだが。いやまあ、今上帝に叔母上扱いされてたらむべなるかな。
ともあれ、それにより宮中のパワーバランスがよくわからんことになってたりするんだよね。俺→劉璋ちゃん→陛下→俺以下ループみたいな。
だがこれは俺にとっても好都合である。権力のよくわからんスパイラル。それはいい。そこに麗羽様や美羽様が巻き込まれないのだからして。
まあ、実際漢朝に巣食う守旧派が標的にするのは俺しかいなくなる。いや、よかったよー。いくら七乃が頑張っているとはいえ、だ。陰謀の直接的な標的から麗羽様と美羽様は除外したかったからなー。

とかなんとか過去に思いを馳せてメイン軍師たる風と劉璋ちゃんの冷たい視線をやり過ごそうとする俺である。うん、おしごとしてないのは自覚しているのだよ。
ちら、と視線をやると劉璋ちゃんが苦笑している。あ、目が合った。

「やあねえ。今更二郎があちこちふらついてることを、どうこう言わないわよ」

「へ?」

なんとも意外なお言葉である。
680 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/10(水) 21:52:33.56 ID:ABnJikA30
「だって、そうやって二郎がふらふらしてるからこそ、私はここにいられるんだから、ね?」

「お、おう……」

そういや、そうだっけか。

「それを言われると風も弱いですね〜。まさに二郎さんに拾われた身ですからね〜」

まあ、劉璋ちゃんほどに極限状態――まさかの皇族行き倒れ疑惑――よりはマシだったけどな。

「え、そうなの?」

そこに食いつくのですか劉皇叔さま。

「はい〜。賊に襲われてあわや!という時に颯爽と登場したのが二郎さんなのですよ〜。風の心はその時に奪われてしまったと言っても過言ではありませんね〜」

おい。おい。

「そうなの?そうよね。二郎って、そういうとこ、あるわよね。
ほんと、いつもはこんなに平然としてるのに、いざっていう時は頼もしいっていうか……」

なんか、とっても居づらいので、とっととこの場からはおさらばだぜ!

世はすべてこともなし。
そんなこんなで年も暮れていったのである。
681 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/10(水) 21:53:10.94 ID:ABnJikA30
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名はもっと欲しいんやで

どんどこいくぜ
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/14(日) 12:16:46.52 ID:sWcaUaZw0
乙でしたー
>>負けないまでも、勝ち目が見えない(精一杯の強がり) それなら【負ける、とは言わないのは】で勝てない(負けるとは言っていない)みたいな強がり感が出るかな?
>>678
>>強制的に隠居させたからして。    ちょっと違和感が
〇強制的に隠居させたのだからして。 の方が良いと思います
>>679
>>「あのね。訳も分からずに派閥の領袖になって、よ?私は一体何ができると言うのよ。    喋り言葉だからこれでも良いのかもしれませんが
〇「あのね。訳も分からずに派閥の領袖になったとして、よ?私は一体何ができると言うのよ。 もしくは【なっても、ね?】とかどうでしょう
>>俺ごときの下風に立てるかと断られるとかもしれないと思っていたのだ。 劉璋ちゃんが下で侍ってくっころプレイするだって?
〇俺ごときの下風に立てるかと断られるかもしれないと思っていたのだ。  もしくは【断られるとも思っていたのだ。】かな?
>>んでもって現在に至るわけなんだが。   上の文でも【んでもって】を使ってるのでちょっと言い替えて
〇そんなこんなで現在に至るわけなんだが。 とかどうでしょう
>>680
>>いつもはこんなに平然としてるのに、いざっていう時は頼もしいっていうか……」   【平然としてる】は悪い印象がないので
〇いつもはこんなにのんびりとしてるのに、いざっていう時は頼もしいっていうか……」 もしくは【ぼんやりと】とかどうでしょう

>>俺→劉璋ちゃん→陛下→俺以下ループみたいな。 でもそれ陛下が基本「よきにはからえ」だから実質のトップ(命令者)は…これは魔O(この文章は不適切と判断されました
女の子二人による出会い(なれそめ)トークとかかなり居心地悪そうww
血筋その他で考えればやんごとなきとすら言える劉璋ちゃんが成金の地方からの成り上がりにお仕事的には逆らえない立場…か出会いのあれと合わせてはかどってそう
683 :青ペン [sage]:2021/03/17(水) 23:48:30.93 ID:JkW6pKjAo
>>681
んむー。
殿中無双〜劉の血を継ぐ者〜
でいかがっしょい。
684 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/22(月) 22:27:28.26 ID:hWhhQ3/u0
色々あってどんどこいけませんでした
敗北宣言はやるとして、どんどこいきたい

>>682
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>女の子二人による出会い(なれそめ)トークとかかなり居心地悪そうw
羞恥心!羞恥心!
とりま、逃げますよねw

>血筋その他で考えればやんごとなきとすら言える劉璋ちゃんが成金の地方からの成り上がりにお仕事的には逆らえない立場…か出会いのあれと合わせてはかどってそう
この視点。大事にしないとですね。
※認識外でした
685 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/23(火) 21:16:42.16 ID:bzWH2Hg30
「へえ、じゃあ翠は無事涼州の州牧様になれるのか」

「ああ、おかげさまでな。ようやく父上の跡を継げる。そう、ようやく、だ」

よかったなと北郷一刀は馬超を祝福する。いや、実に妥当な人事ではある。だが、なにせ涼州には韓遂という梟雄が居座っており、安定とは程遠い。

「大変そうだなあ」

北郷一刀としてはそう言わざるを得ない。
そしてその声にその場の全員が苦い笑いを漏らす。

「一刀だって大変だろう?幽州は涼州と同じく漢の北壁。
匈奴の相手は大変だぞ?」

しみじみと語る馬超。言動が危うくても、歴戦の猛将である。その武威、武勲はこの場の誰よりも大きい。

「ああ、そう言えば公孫賛殿の配下となるのだったわね。重責、大変ね。
でも義勇軍からしたら大出世じゃない。ここはおめでとうと言わせてもらうわね」

にこり、とほほ笑むのは黄忠。皇族筋の劉表に仕え、今回の反董卓連合においては兵数よりも兵站で貢献をしている。
彼女の主たる劉表は僻地とも言える益州――劉焉が聞けば柳眉を逆立てるであろうが――に赴任することになっている。

「紫苑も大変だなあ。娘さんもまだ幼いのに益州とは」

益州は半ば未開の地。匈奴とは異なるが南蛮勢力が跋扈し治安も落ち着かず、未だ知られない疫病も数多くあるというのが、この時代の認識である。

「そうなのよねえ。正直迷っているわ。ごめんなさいね、桔梗の前で」

「なに、子を思う親の心。気にすることはなかろうて。実際、過ごしやすいとは言い難いからな」

肩をすくめる厳顔である。
実際、過ごしやすいかと言われれば、だ。それに成都へ向かう道ですら未整備だ。
それはまあ、天然の要害たる益州の地の利を劉焉が十全に活かすために街道整備に慎重だからだったという面もある。だが、実際道を切り開くのも容易にはいかないくらいの地理条件なのではある。

「だったら、さ。うちにこないか?
いや、翠は流石に駄目だろうけどさ。紫苑と桔梗が来てくれたら、俺も心強いし」

実際、黄忠と厳顔という人材は得難い。軍務、政務に通じており、未だ若い自分たちにとって有益この上ない。
未熟ゆえの先達との軋轢を防いでくれるだろう。そんな諸葛亮の言葉を思い出しながら。
いつになく真剣な彼の目線に、柄にもなく頬が上気するのを自覚しながら黄忠は考える。悪くはない、と。

「そうねえ……。考えてもいいかしら、ね」

「本当か!紫苑が来てくれるなら千人力だ。桔梗はどうだ?」

「そうさのう……。実に魅力的な誘いではあるが、乗る訳にもいかん」

「なんでさ!」

その勢いに厳顔は苦笑する。全く、可愛いではないか。心が揺れるではないか……。

「わしは劉焉様の臣よ。じゃから行けんよ、行くわけにはいかん。
劉焉様を隠居に追いやった袁家のそのまた配下には行けん。それではあまりにも劉焉様がみじめというものじゃろう……」

だから自分も隠居する、と厳顔は笑う。

「親はなくとも子は育つ、とまでは言わんがな。
劉璋殿が益州の牧となる日を待つとするさ。いや、待つだけじゃがの」

呵呵大笑して厳顔は北郷一刀に向き合う。

「なに、そのような顔をするでない。お主の誘いは嬉しかったぞ?
じゃがまあ、通すべき筋があるというだけじゃ。お主の言っておったこと、忘れているわけではない。
 皆が笑って過ごせる世を。実に素晴らしいとは思うぞ?」

「だったら、さ」

「まあ、一刀もそこまでにしようよ。
私だって一刀の、桃香の築く世は見てみたいさ。でも、それなりにしがらみってのもあるのさ」

苦笑がちに馬超が割って入る。半ば自分が加われぬ詫びをこそ滲ませて。

「まあ、気が向いてほしいもんだ。
いつだって歓迎するよ」

その言葉に三者三様の表情を浮かべる。
くすり、と艶然たる黄忠。
むむむ、と苦悩する厳顔。
たはは、と苦笑する馬超。

――後日、黄忠は劉備一行に加わることとなる。

◆◆◆
686 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/23(火) 21:17:08.43 ID:bzWH2Hg30


呆然。茫然。その表情を浮かべる呂布に北郷一刀はかける言葉を見出すことは出来ない。
できるのはただ寄り添うことだけ。

「みんな……」

平坦な口調。それでもそこに込められた悲哀。それに気づかぬほど鈍感ではない。

「恋……」

ここはかつて呂布が屋敷としていた敷地。そこには古今東西の百獣が肩を寄せ合っていたのだが。

「みんな、どこ……」

辛うじて残っていたのは、ぴすぴすと鼻を鳴らしてぺろぺろと呂布の手を舐めるセキトのみであったのだ。
もとより、どこかしこから拾ってきた禽獣猛獣鳥獣家禽を養ってきたのは一重に呂布ただ一人の愛情であり、それが途絶えたからには。

「どこ……、みんな……」

呂布の悲嘆はどこにも届かない。嘆き、悲哀。それらの慟哭はただ虚空に吸い込まれていく。

「恋、ごめんな」

だが、傍らにある北郷一刀は詫びる。心から、詫びる。

「恋の家族、助けられなかった」

ふるふる、と呂布は首を横に振る。

「ご主人様のせいじゃ、ない……」

「それでも、救えなかった。救えたかもしれなかったのに、なにもできなかった!」

激昂する北郷一刀。その思いは呂布の心にしっかりと届いていた。

「ありがとう。あの子たちがどうなったかは恋には分からない。でも、ありがとう。
 きっとあの子たちのことなんて、誰も気にしなかったんだと思う。だから、ありがとう」

そして、その激情を呂布は好ましく思う。

「恋!そんな顔をするなよ。俺のとこに来いよ、セキトと一緒にさ!」

自分が、大好きな人に必要とされるということは、こんなにも嬉しいことなのかと呂布は思う。
いや、きっとそれは感傷。自分はあんなにも大好きな人たちと一緒に歩んでいたのではないか。

「だめ。ご主人様とは一緒にいけない……」

呂布は悲しげに、それでもきっぱりと。

「なんでだよ!」

「二郎に、言われた……。恋が誰かに頼ったら、それが迷惑になるって……。
 二郎は詠と一緒で、いつも正しい……。だから、ご主人様に迷惑がかかる」

北郷一刀の怒り、それを嬉しく思うこと。それとは別に、呂布は悟るのだ。自分が彼の配下になれば、とても困ったことになるだろう、と。

「だから、行けない。恋はちんきゅーと、セキトと。それで、いい」

呂布に残された家族はそれだけ、なのだと北郷一刀も悟る。

「でも、それでもさ。恋は大事な人だもの。困ったら、いつでも頼ってくれ」

「うん……」

そうして、その約束が大きな影響を持つことを、この時点では誰も知らない。

◆◆◆
687 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/23(火) 21:19:17.89 ID:bzWH2Hg30


さて、無事に年が明けた。
年越しには麺類だろうと凪にリクエスト出したり(あっさり希望が通った)、鐘を108回鳴らすとかいう意味不明なイベントにも皆快く付き合ってくれました。煩悩退散!
んで、年始の挨拶を今上陛下と美羽様にしたんだけどね。流石に三公の挨拶の時はしゃっきりされてたんだけど、さ。陛下。いい感じに舟をこいでらっしゃったなあ……。
うむ、その図太さたるや。……まあいいや。
俺が向かったのは新年会的などんちゃん騒ぎだからして。
いやあ、呑んだ呑んだ。お仕事もしたぜ?
一応三公の身で、こんな宴席に出てるのは俺だけだからして。表敬訪問というか、ご挨拶とかは何人相手したかとかはまるで覚えていない。多分横にいた風が把握してるだろう。それはともかく。

「あー、美味しい……」

凪の作ってくれた粥が実に美味しいのである。白粥なんだが、塩加減とかが絶妙なのです。
ずび、とその粥をすする。うーむ、この幸せ。とか思っていたら。

「何だ、二郎よ。随分疲れてるみたいじゃないか」

そう言って笑うのは華佗である。

「うっせえ。これでも気疲れとかすることもあるんだよ。この一杯のために生きてるって感じでこう、な」

頭脳とかまるで働いていない俺の台詞だから、説得力とか仕事していないというのは認識している。その場のノリで適当な言であるのだよ。まあ、そんなこと先刻ご承知だろうけどね。

「まあ、それについては何も言わんさ。実際世話になってるしな。ただまあ、これを飲んでみてくれ」

華佗が俺の盃に酒を注ぐ。

「そりゃ華佗の酒は飲まんわけにはいかんけどさあ、って苦っ!」

苦いだけではない。香りもなんかこう、漢方というか、不可思議な感じで。

「悪鬼を屠り、魂を蘇生させる。そういう酒なのだが……」

「不味い!もう一杯!」

屠蘇散というやつだな。新年だからって阿呆みたいに呑むのを防ぐにはいいだろうな。

「量を飲むものではないとしても、これは強烈だな」

正直口の中がこう、苦味とかでうにゃー、となる。

「へー、二郎がそんな顔するんだ。シャオも試してみようかなー」

うずくまる俺の背に抱きついて、そんなことを言う。というか、いたんかい。
いいぜ、これが美味しいと思うのならば、まずはそのふざけた幻想がぶち壊されるぞ。多分。
そして予想通りの反応である。

「なにこれ信じらんない。これって人が飲むものじゃないよー」

「えー?そうですか?私は結構いけると思うんですけれども」

ってマジかよ流琉。

「流琉ってこういうのもいけるんだ。でもこれが美味しいとか思わないでね。こんな味付けの料理とかシャオは食べたくないし」

「いえ、流石にこれが一般受けしないというのは分かりますけど、そこまでかなあ」

どうやら本当に人によるらしい。本業料理人の流琉であるから、聞き入るしかないんだよね。

「ま、二郎が口移ししてくれるなら甘露になると思うんだけどなー」

ちらり、とこちらに寄越す視線には年不相応な艶が含まれており。
688 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/23(火) 21:19:46.70 ID:bzWH2Hg30
「そういうの、人前で言うなって」

「ごめーん。最近ご無沙汰だったからね。うん。二人っきりの閨でお願いするねー」

ぽかり、と拳がシャオの脳天に振るわれる。

「そこまでです。美羽様との話題にするのはよくっても、二郎様がお困りです」

「やだー、流琉ってばひどーい」

きゃいのきゃいのと、なんだかんだ言って仲がよさそうでなによりである。
689 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/23(火) 21:20:12.89 ID:bzWH2Hg30
◆◆◆

「百薬の長。それでも飲み過ぎれば百害あって一利なし。そういうことだろ?」

ここまで香りがきつければ、新たに飲もうとは思えないからして。

「ふむ。実際、な。煎じた生薬は実際疲れた身体にはいいものではあるのだぞ」

「それは分かる。五斗米道の秘中の秘。それが惜しげもなく注がれてる。それくらいは分かるさ」

しらんけど。

「なに、そこまでたいしたことじゃない。一度漢中に戻らねばならんしな。
ここまで世話になった礼と思ってくれ」

「まあ、凪や星にも気ってやつの指導もしてくれてたみたいだしな。
ほんとに、ありがとな」

「いや、拙いながらも伝えることは伝えた。後は彼女らの意思だろうさ」

「それなら安心できるな。俺と違って才能と向上心に溢れてるからな」

実際、努力し続けることも才能のうちだとおもうのだよなー、とか思うのである。

「おや、主よ。才能の一言で片づけてほしくないのだがな」

おっとここで星のエントリーだ!ここまで大人しくしていたのに。
いや別に星の努力を見てないわけではないけどね。

どこか拗ねたような星が可愛くて尻を一揉みしてやる。うむ。
こら、と睨まれてもなあ。可愛いだけだぞ。

「いちゃつくのもそれくらいにしてくれよな。それ以上やるならおいらは帰るぞ」

「やだなあ、張紘。そりゃもう、ごめんなさいだよ。なあ、星?」

「無論だとも。
最近構ってくれなかった主にじゃれついていただけで、他意はない。うむ」

「それはともかく。趙雲さんよ、あんたの叙事詩(サーガ)。どうしたいかって希望はあるのかい?」
690 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/23(火) 21:20:38.80 ID:bzWH2Hg30
張紘の問いかけにニヤリ、と星は極上の笑みを漏らす。うむ。安心できん。
意外と星ってば、はっちゃけるからなあ。

「ふむ。腹案はある」

すちゃり、と懐から取り出したのは、蝶の仮面?

「これこのように、だ。仮面を纏ったならば。
 法で裁けぬ巨悪。それを糾すは正体不明の華蝶仮面。
 華麗、その一言がその存在を象徴するのだ――」

「却下」

びしり、とポーズを決めた星に無慈悲な俺の声が響くのだよ。

「なんと――!」

なんと?!じゃないっつの。

「あのなあ、法で裁けぬとか言うなよ、お前さん、執金吾だろうが。自分の職責を貶めてどうするんだってばよ」

「むむむ」

「なにがむむむだ。
却下だ却下。法で裁けぬ悪とかはもちっと治安が上向いてからだな。今はまだ漢朝の法治を讃えねばならんさ」

それでも、星は不満げである。
理屈は分かってるはずなのに、と。

「こんなに、恰好いいのに……」

「怒るぞ!」

何か知らんけど蝶々的なマスクは没収である。はい、没収!
涙目で星はあれこれと訴えかけてきたけど知らん。

「無体な……」

はいはい、きっちり仕事してからそういうことは言いましょうねと。
しかし思うんだけどさ、この、蝶をかたどった仮面を装備してその素性が誤魔化せるとか本気で思ってたのかねえ。いや、まさかな。まさかに。

俺は手元でその、蝶をかたどった仮面を弄びながら大きくため息を吐いた。

あれ、俺って結構真面目にお仕事しているんだろうか。
くそ!なんて時代だ!

のんびりスローライフが最終目的だと心に誓う俺なのであった。
691 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/23(火) 21:21:04.90 ID:bzWH2Hg30
本日ここまですー感想とかくだしあー
いや、ちょっと最近忙しいし転勤ですよ
頑張るぞいっと。
692 :赤ペン [sage saga]:2021/03/29(月) 17:42:39.05 ID:ZgG4PTTr0
乙でしたー
>>686
>>呂布に残された家族はそれだけ、なのだと北郷一刀も悟る。         【、】の位置に違和感が
○呂布に残された家族はそれだけ、たったのそれだけなのだと北郷一刀も悟る。 さりげなく一刀君SAGEを含ませてみる。というか今回の反董卓連合の発端はお前が何進さん暗殺したからだからな?それさえなければどうにか軟着陸できたのに…悔い改めて
>>689
>>「ふむ。実際、な。煎じた生薬は実際疲れた身体にはいいものではあるのだぞ」   【実際】を2回入れるのを回避して…
○「ふむ。実際、な。煎じた生薬というのは疲れた身体にはいいものではあるのだぞ」 生のままが良かったり炒るのが良かったり、煎じ方を知ってないとだけどね
>>690
>>それでも、星は不満げである。
理屈は分かってるはずなのに、と。 これだと星が思ってる感じですが…理屈は二郎の方が通ってるよね
○それでも、星は不満げである。
理屈は分かってるはずなのだ、が。 (二郎の言う)理屈は分かってる【が(でもロマンを優先したい)】からこの後の文「こんなに格好いいのに」に繋がる感じかな?

>>自分が、大好きな人に必要とされるということは、こんなにも嬉しいことなのかと呂布は思う。 この言い方だと今までそうなったことは無い、という風に読み取れるんですが…董卓たちは【大好きな人】じゃなかったのか【必要とされたことがない】のか…刹那で忘れたのか
>>「そこまでです。美羽様との話題にするのはよくっても、二郎様がお困りです」 待って?閨で誘うあれこれっぽいことを美羽様との話題にしてるの?いやまあ彼女も今や立派な人妻だから問題ない…のか?
それにしても劉表さんに辞表叩きつけるのは構わんが誰がそのことを説明しに未開の地益州まで行くんだ?まさか手紙一枚で済ませるような不義理かますんだろうか…上司(劉備)の上司(公孫瓚)の上司(袁紹)に丸投げすればいいか一つ借りだぜ(後々徳政令発布の予定を立てつつ)
693 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/02(金) 22:12:58.05 ID:J5b+k8cP0
正直ウマ娘にはまってて、バクシンss書きたい欲
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/02(金) 22:15:57.65 ID:WsbxWQJyo
乙したー
ウマ娘ええよなぁ

安寧の日々を求めているのに、なぁ?
695 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/02(金) 22:25:22.09 ID:J5b+k8cP0
お世話になっているバクシンバクシン雨バクシンやりたいですね
実際、FGOメインだったですがウマ娘8でFGO2ですわw

バクシンバクシンやりたい
696 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/02(金) 22:26:25.99 ID:J5b+k8cP0
まあ、まずは本作やってからの話ですけどね!!!
やります
697 :赤ペン [sage saga]:2021/04/03(土) 09:17:06.57 ID:RaO/+HuR0
3年かけて迷走せずにしっかりとブラッシュアップしたサイゲのすさまじさよ
698 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/13(火) 16:30:06.25 ID:c70hgjM00
てす
699 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/13(火) 16:41:24.92 ID:c70hgjM00
「忙しそうだねー」

ぎろり。むしろ殺意すら込められた視線が返答だった。
おお、こわやこわや……。

「なんだー、華琳はいないのかー。先触れは出してたのに、困ったものだなー」

仮にも俺は三公の筆頭だぞー。ぷんぷん。もっとあがめろー、うやまえー。
だが接待は勘弁な。華琳になにされるか分かったもんじゃない。
華琳がなにしてくるか分かったもんじゃない。
つまりここは逆境、華琳のとこですよ。体当たりレポが今始まるところですよ。

まあね、間違っても女子は派遣できんしね。
男子も魅了されて抱き込まれる未来が見えますのでね、俺が特攻するしかないってことですね。なお、攻防ともに効きそうなスキルは持ってない模様。仕方ないね。
なーに、書類仕事は風ちゃんにお願いしてきたしね、何もこわくないね。
などと思っていた俺にネコミミの言がやってくる!
相変わらずとげとげしい!
でも、ギザギザ心根(ハート)よりは、うっせーうっせー、と言われた方が実際安心ではないだろうか。
名馬を盗まれた訳でもないしね。校舎には硝子なんてないしね。

閑話休題。

「あんたね……。
あんたのせいでしょうが!」

えー。

「これはしたり。と言わざるをえないな。司徒たる俺が司空たる華琳に面会を申し出る。
うむ。なにもおかしなことはないな」

むしろこれに異論とかあったら責任問題ですよ。

「その華琳様の時間を著しく拘束するだけのことをしてるって自覚があると、今分かったわ」

「さて、なんのことやら。それともなにか?
華琳は司空の職責に耐えないと。貴様(ネコミミ)はそう言うのかい?」

にひひと笑う俺である。実際楽しい。
そしてネコミミさんは今にも飛びかからんばかりに殺意を込めてにじり寄ってくる。
フシャー!という擬音がふさわしい激昂ぶり。いやあ、時に落ち着けよ。
700 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/13(火) 16:41:51.15 ID:c70hgjM00

「あんた、ねえ……。
いい加減にしなさいよ。本当に……」

まあ、ネコミミの言うことも一理あるのである。彼女の言う通り、華琳の多忙さは俺の仕業、とうか仕込みも一因だからして。
ぶっちゃけ、麗羽様に歯向いそうな官僚たちを処分したのだよ。あくまで合法的にだけどね。
麗羽様が大将軍となり、俺を筆頭として三公が組閣された。それについて面白くない勢力は当然存在するわけで。
まあ、それでも職責を果たすならばそれでよかろうと思っていたが、意図的なサボタージュやら妨害工作やらなんやらが出てきたわけで。
いや、当然予想してましたけどね?風ちゃんとか稟ちゃんさんがね。
そしてまあ、要職に在(あ)って、害なす存在を一気に処分したわけですよ。リストラってやつですね。
いやね?別に全員司徒たる俺の職権で罷免してやってもよかったんだけどね。驚くべきことに皆さま脛(すね)に傷持つ身だったようで。いや、びっくりですよ。
はい、七乃が一晩でやってくれました。いや、長いこと仕込んでたんだろうなあと思います。フフ、怖い。
怖い。

「いえいえ、これくらい美羽様のためならお安い御用ですよー」

ルンルンと鼻歌混じりに、ですよ。笑顔とは本来なんちゃら。
反袁家的な官僚やら士大夫どもの罪状のリストを手渡す七乃は控え目に言って上機嫌でありましたのですよ。

そんなこんなで、である。七乃のおかげで合法的に麗羽様の顕在的、潜在的な政敵は一掃されたのでありました。
いやあ、大仕事でした。俺以外のね。
特に清流派と名乗る士大夫たちからな!あいつら、何が清流派だか。それが恒常化されていたとはいえ、汚職やらなんやら十分濁ってるだろう……。
いや、何割かは冤罪でも驚かんけどね。それにしたって物証なりをきちんと捏造してるんだろうなあ、七乃って。
うん、ご機嫌取りにもうちょっとがんばらんといかんな。

閑話休題。

そんなわけで、だ。古今東西の政治犯が華琳とこに送られてるわけである。
更には執金吾として治安活動に――何だか知らんけど鬱憤を払うように――いそしむ星もどんどこ犯罪者、それも官憲と繋がってそうな奴を検挙しまくってるのだ。
いやあ、部下が頑張ってるって見てて楽しいですね。
任命責任、やったぜ。

うん、華琳たちが忙しいのは俺の、俺たちのせいだな。
ただでさえ、組織を掌握せんといかんのに送り込む案件。うむ。華琳とかネコミミをもってしてもオーバーワークになるのも致し方なし。けけけ。

さらに、だ。

「倉庫、足りないなら紹介するよ?」

俺のその言葉にネコミミが硬直する。

「あんた……」

影響力を持つ士大夫をどんどこしょっぴいたら、だ。何が起こるかというと、陳情工作である。まあ、袖の下とか賄賂とか時候の挨拶とか好きに言えばいいと思うけどね。
そこいらへんをさばくのも大変なんだろうなあと思う俺である。誰の賄賂を受け取って量刑を勘案してとか俺ならやってられないね。
まあ、三公。大人気の役職にはそれくらいの役得があるということである。それで私財を積み重ねまくったら司徒たる俺が普通に罷免するだけなんだけどね。いや、それが分からぬ華琳じゃあないと思うけんども。いや、華琳なら分からぬように隠蔽するか……?取り込むべき人材とそうでないカス。それの選別くらいはやってのけるだろう。
三公の一角とはいえ、俺と白蓮が麗羽様の派閥であるのは明らか。そして華琳は麗羽様の風下に立つことをよしとはせんだろう。そうなれば、だ。

「あの華琳が、だ。俺との約束をうっちゃって仕事に専念する。いや、職務に熱心なのはいいことさ。
しかし、内職をされては困るんだよね」

まあ、反袁家勢力を糾合してくれたらめっけもんなんだがね。

「それくらいにしてほしいものね、二郎」

軽やかな、鈴の音を思わせる声。
轟く雷鳴を思わせる声。つまり。

「やあ、華琳。
遅かったじゃないか……」

さて、ここからが本番だ……。
701 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/13(火) 16:43:20.94 ID:c70hgjM00
◆◆◆

「あら。二郎指定の時刻ぴったりのはずなのだけれども。まあ、二郎はそんなこと気にしないから問題ないわね」

いけしゃあしゃあとのたまう。ここいらへんの面の皮の厚さは、はは。
流石である。

「さて、大層忙しそうじゃあないか」

さてと、華琳がオーバーワークとか滅多にない。と言うか、意図的に華琳の業務を破綻させようとしてたんだが。
ちなみにこれは七乃と風の入れ知恵である。
こわやこわや……。

「ええ、忙しいわね。そして二郎を待たせてしまったのも確かなようね。ごめんなさいね。いつも約束の時間に遅れてきてたじゃない?春蘭や桂花がいつもおかんむりだったのよ?」

ええと、そんなこともあったかもしれない。割と時間にルーズだったかもしれない、なあ。

「曹家の文武の要を宥めるの、大変だったのよ?
 でも、それは過ぎたこと。結果として二郎を待たせてしまったのは事実よ。だからね」

ちゅ。

「これで、いいわね」

え。え?

「華琳様!そのような下賤な!汚らしい男にその唇を許されるなぞ!」

ネコミミの奏でる騒音。いや、役得と言っていいのかなあ、これ。背筋が寒くなるんですけど。

「さて、二郎。遅れて悪かったわね」

欠片(かけら)も悪かったと思っていない口調で華琳がそう言う。

「お、おう」

「ああ、安心なさいな。二郎が心配することは何もないのよ?そりゃあね。
各方面からの陳情やらなんやらでちょっと手間はとられたのだけれども。
それくらい捌けなくて何が司空か、よね」

「あ、はい」

なんだろう。一言ごとに追い詰められていく感じ。

「まあ、二郎が危惧するように。
 或(ある)いは期待するようにね。彼らを手駒にするというのも考えたのよ?」

「華琳様!?」

ネコミミの悲鳴じみた叫びを華琳は手を上げて制する。

「今、この時点で麗羽と敵対しようとは思わないわ。それどころでもないしね。
私と麗羽が争えば中華は焦土となるでしょう?」

「いや、俺としてはどこから突っ込めばいいか困るくらいなんだが」

つくづく自己評価の高いことだ。忌々しいのはその自己評価よりも俺は華琳を評価しているってことか。

「端的に言うわよ。私は、二郎が用意してくれた来客。その相手を春蘭に任せたわ」

なん……だと……。
702 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/13(火) 16:43:49.21 ID:c70hgjM00
はい。
復活のとき(掲示板的な意味で)
本日ここまですー感想とかくだしあー
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/13(火) 23:04:47.14 ID:RwIXM0Iyo
乙したー
速報死んでてヒヤッとしたでござる・・・

ネコミミがイキイキしててかわいいね()
704 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/14(水) 05:54:25.02 ID:01J4wgx30
どもです!
ここが死ぬのは希によくあったんですよね
最近はなかったんですがw
705 :赤ペン [sage saga]:2021/04/15(木) 14:27:02.73 ID:4yQboo920
乙でしたー。しばらくここが死んでたと思ったら今度はやる夫シェルターが?どうなってるのやら
>>700
>>華琳の多忙さは俺の仕業、とうか仕込みも一因だからして。  でも彼女ならこの逆境をばねにして一皮剥けそうな安心感がある
○華琳の多忙さは俺の仕業、というか仕込みも一因だからして。 これ【も】ってことは表でも裏でも無茶振りしてるってことかな
>>意図的なサボタージュやら妨害工作やらなんやらが出てきたわけで。 【コトバンクより】労働者の争議行為の一。労働者が団結して仕事の能率を落とし、使用者側に損害を与えて紛争の解決を迫ること。怠業。サボ。
○サボタージュやら妨害工作やらなんやらが出てきたわけで。     意味合い的に意図しないサボタージュは無いようなので…それにしても禁裏を大虐殺したと噂の奴が近くにいるのによくやるわ
>>特に清流派と名乗る士大夫たちからな! まずは清流派からキレイキレイしたってことかな?【特にこいつらからな】
○特に清流派と名乗る士大夫たちがな!  清流派の割合が多かった。とかの意味ならこうかな?【特にこいつらがな】
>>何だか知らんけど鬱憤を払うように  一応理由は分かるじゃろ…そこまでの事か?とは思うけど
○何だか知らんけど鬱憤を晴らすように 【気晴らし】とかのように鬱憤は晴らすものですね

>>なお、攻防ともに効きそうなスキルは持ってない模様。仕方ないね。 ウン、ソウダネ。うっかり華琳を殺しそうになったことが何度かあった気がするけど殺してないしね
>>うん、ご機嫌取りにもうちょっとがんばらんといかんな。 精力的に力を合わせるんですね、分かります
>>まあ、反袁家勢力を糾合してくれたらめっけもんなんだがね。 【曹操】を知ってて本人と出会ってその凄さを感じたうえでそう思えるのが凄いわ…そんなんだから華琳に目を付けられるんだぞ
まあこんな「仕事に溺れて溺死しろ」と言わんばかりの無茶振りされたら二郎が何をしようとしてるのか、あるいは何をさせようとしてるのかは察するか
そのうえで「麗羽と敵対するのはまたあとで」と宣言するとか…この子二郎をゲットするために麗羽様もゲットしようとしてない?
そして最後の爆弾投下…まさに一刀両断の闊達か。これはキャパオーバーしそうになった時に清涼な暴風ですっきりしたな?d姉がいなけりゃそれでもやり切っただろうけど濁りに足を取られただろうに
曹操は何というか清濁併せ呑む度量はあるけどそれはそれとして飲み干すのと消化するのに時間がかかりそうなイメージ、そして今回はその濁部分をd姉が肥溜めにぶち込む感
706 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/15(木) 20:22:39.18 ID:JOGJy0o10
>>705
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
結構長いこと繋がらなかったイメージですね
シェルターが落ちてるのか。なんでしょね。年度替わりかな?

> ウン、ソウダネ。うっかり華琳を殺しそうになったことが何度かあった気がするけど殺してないしね
殺そうとしても素直に死んでくれないんだよなあw
むしろサイヤ人的に超復活しそうで困りますw

> 【曹操】を知ってて本人と出会ってその凄さを感じたうえでそう思えるのが凄いわ…そんなんだから華琳に目を付けられるんだぞ
今なら、今なら勝ち確定…のはずw
だからこそ、はおーもやらんわけですがw

>まあこんな「仕事に溺れて溺死しろ」と言わんばかりの無茶振りされたら二郎が何をしようとしてるのか、あるいは何をさせようとしてるのかは察するか
「へえ、そういうこと・・・」
こわや、こわや・・・

>そのうえで「麗羽と敵対するのはまたあとで」と宣言するとか…この子二郎をゲットするために麗羽様もゲットしようとしてない?
どっちか片方ゲットしたら、もう片方も付いてくるバリューセットですねw

>そして最後の爆弾投下…まさに一刀両断の闊達か。これはキャパオーバーしそうになった時に清涼な暴風ですっきりしたな?d姉がいなけりゃそれでもやり切っただろうけど濁りに足を取られただろうに
なんだかんだで、d姉は曹家の大黒柱なんだなって

>曹操は何というか清濁併せ呑む度量はあるけどそれはそれとして飲み干すのと消化するのに時間がかかりそうなイメージ、そして今回はその濁部分をd姉が肥溜めにぶち込む感
割と理想家なところありますものね
そしてd姉のやらかし(?)はご期待くださいませませ。
707 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/15(木) 21:39:40.31 ID:JOGJy0o10
怒髪衝天。
今の夏候惇を表現するならばその一言で全てが語られるであろう。そのように夏侯淵は思う。
怒気が一秒ごとに高まり、収斂されていく。そして爆発する。実に自然なことである。

「ふざけるな!」

怒りの鉄槌を振り下ろす。頑丈な樫の木で造られていた卓が、轟音と共に一撃で真っ二つになる。
そして、その怒気の発露に当然反応する者もいる。
驚きすくむ者、そして、その者達の随伴者――護衛――に至っては。

「そこっ!」

夏侯淵が放ったのは何の変哲もない銅銭だ。ごくごくありふれているものである。それが懐に、或いは髪留めに手を伸ばした輩を撃つ。

――指弾。かつて曹家に長期逗留していた、どこぞの青年が酒の席で戯れに語ったそれを夏侯淵は見事に実戦レベルにまで会得していた。
例え質量の小さい銅銭のようなものでもまともに直撃を受ければ、骨にひびが入るくらいには、だ。
当然その直撃を受けたならば。

カラン、と複数の刀子が落ち、響く。

そしていよいよ荒ぶる魂。

「貴様ら!薄汚い取引を持ち掛けるばかりか、華琳様との会談に暗器を仕込むなぞ!言語道断!
 貴様らには死ですら生ぬるい!季衣!七星餓狼を持て!」

はい、と駆け出す少女を見送り、夏侯淵は笑みを深める。

「ああ、そこで腰を抜かしている方々。失禁しないだけ貴君らは立派さ。
何せ貴君らは中華で五指に入る武人の怒気を受けたのだからして。
 だがその報いは受けんといかん。なに、そんなに震えることはない。これで姉者は優しくてな。
つまりこうだ。猶予は与えたぞ?」

にこり、と夏侯淵は極上の笑みを浮かべる。――この状況においてはこの上なく迫力があるのであるが、さっさと立ち去れという言外の意味。蜘蛛の子を散らすようなそれ。
夏侯淵はその様子を見ながら。

「姉者、あれでよかったのか?」

眼前に誰もいなくなり、問う。
その問いには憤然と。だが、きちんと応える。

「ふざけるなよ、ということだな。あのような奴らににどうして気を遣うことがあろうものかよ」

夏侯淵は苦笑する。それでこそ我が愛する姉である、と。

「だがな、姉者。あれはあれで利用価値もあったろうに」

多くは清流派。その影響力は無視できるものではない。なんとなれば、これまで宦官や、何進率いる汚職官僚の邪知暴虐に抗ってきた(とされる)のは彼等なのだからして。

「知ったことか!
 華琳様に面会するのに暗器を仕込むなぞ言語道断よ!」

「それは、そうだが……」

夏侯淵のその言葉に夏候惇は笑う。朗らかに、曇りなく。

「秋蘭。華琳様がこの場を任せられたのは私だ。
だから何も問題はない。ないとも。
変な腹芸が必要ならばあの陰険な軍師気取りが任じられただろうからな。
 だから、これでいいのだとも」

晴れやかに笑う夏候惇。ふむ、と夏侯淵は納得する。した。
主君たる曹操が確かに夏候惇に腹芸をもってして士大夫どもを取り込むことを期待するとは思えない。
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