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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
- 642 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/11(木) 20:40:09.43 ID:aefmmWR50
- 「魔王、か……」
かしゃん、と音を立てて皿を重ねる。
だがそれでも、その音も彼女の想いを解き放ちはしない。
果たして、あの青年は。あんなにも泣きそうな顔をしていた彼は、その呼称に相応しいのだろうか。
むしろ――。
無意識のままに更に追加の皿を頼むのは、関羽その人である。
いや、あの場で。主たる北郷一刀の宣言。劉備の檄の前に異を挟むほど空気が読めないわけではないのだが。
かしゃん。
また、音が響き皿が重ねられる。
随分と重なるその音。
ここは洛陽の中にある酒家。公孫賛に教えてもらった、安くて旨い人気店である。
ふと、思う。幽州に張り付いている彼女がどうしてこのような店を知っていたのであろうかと。
「ご相席、願いまーす」
店員のその言葉に思わず是、と応じ、どっこらせとばかりに腰をおろす男と目が合う。
「げえ、関羽!」
関羽は言葉を失う。
なんとも気まずいことに、その男とは、紀霊であった。
つい先ほどまでの思索の対象たる青年。それが目の前に現れ、さしもの関羽も冷静ではいられない。
「あー、失礼するぜ」
ぼりぼり、と気まずそうに頭を掻いて紀霊がへにゃり、と笑う。
なんとも情けないその笑みに関羽は口ごもる。反応に困る。そして、かあ、と頬に血が昇るのを感じる。
だって。うず高く重ねられた皿は紛れもなく関羽一人の戦果。
「こ、これは……」
だがそれは乙女としてはなんとも恥ずかしく。いや、そのようなことを思うのもおかしなことではあるのだが、そこまで関羽に思考能力は残されてはいない。
「ふむ。
健啖家、と言う奴だな」
しみじみと、なにか感慨深げに頷く紀霊の言に関羽は言葉を失う。
というか、全身ゆでだこのように真っ赤に、羞恥に染まっていて。
「って紅いよ?赤いよ?朱いよ?変に暴走とかせんよな?まずは時に落ち着いてくれ」
なぜか目に見えて狼狽える紀霊を見ているとなぜか笑みがこみ上げてくる。
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