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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
- 686 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/23(火) 21:17:08.43 ID:bzWH2Hg30
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呆然。茫然。その表情を浮かべる呂布に北郷一刀はかける言葉を見出すことは出来ない。
できるのはただ寄り添うことだけ。
「みんな……」
平坦な口調。それでもそこに込められた悲哀。それに気づかぬほど鈍感ではない。
「恋……」
ここはかつて呂布が屋敷としていた敷地。そこには古今東西の百獣が肩を寄せ合っていたのだが。
「みんな、どこ……」
辛うじて残っていたのは、ぴすぴすと鼻を鳴らしてぺろぺろと呂布の手を舐めるセキトのみであったのだ。
もとより、どこかしこから拾ってきた禽獣猛獣鳥獣家禽を養ってきたのは一重に呂布ただ一人の愛情であり、それが途絶えたからには。
「どこ……、みんな……」
呂布の悲嘆はどこにも届かない。嘆き、悲哀。それらの慟哭はただ虚空に吸い込まれていく。
「恋、ごめんな」
だが、傍らにある北郷一刀は詫びる。心から、詫びる。
「恋の家族、助けられなかった」
ふるふる、と呂布は首を横に振る。
「ご主人様のせいじゃ、ない……」
「それでも、救えなかった。救えたかもしれなかったのに、なにもできなかった!」
激昂する北郷一刀。その思いは呂布の心にしっかりと届いていた。
「ありがとう。あの子たちがどうなったかは恋には分からない。でも、ありがとう。
きっとあの子たちのことなんて、誰も気にしなかったんだと思う。だから、ありがとう」
そして、その激情を呂布は好ましく思う。
「恋!そんな顔をするなよ。俺のとこに来いよ、セキトと一緒にさ!」
自分が、大好きな人に必要とされるということは、こんなにも嬉しいことなのかと呂布は思う。
いや、きっとそれは感傷。自分はあんなにも大好きな人たちと一緒に歩んでいたのではないか。
「だめ。ご主人様とは一緒にいけない……」
呂布は悲しげに、それでもきっぱりと。
「なんでだよ!」
「二郎に、言われた……。恋が誰かに頼ったら、それが迷惑になるって……。
二郎は詠と一緒で、いつも正しい……。だから、ご主人様に迷惑がかかる」
北郷一刀の怒り、それを嬉しく思うこと。それとは別に、呂布は悟るのだ。自分が彼の配下になれば、とても困ったことになるだろう、と。
「だから、行けない。恋はちんきゅーと、セキトと。それで、いい」
呂布に残された家族はそれだけ、なのだと北郷一刀も悟る。
「でも、それでもさ。恋は大事な人だもの。困ったら、いつでも頼ってくれ」
「うん……」
そうして、その約束が大きな影響を持つことを、この時点では誰も知らない。
◆◆◆
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