248:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:11:38.16 ID:XVB8s0iW0
そうしてひとたび受け入れてしまえば、
今までの迷いが嘘のように思念は澄みわたり、
不明確だった自意識は一気に再構成されていった。
249:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:12:05.86 ID:XVB8s0iW0
心機一転したスパーダは、
そのまま賢者・魔女傘下の支援兵団員となって
業務をこなすようになった。
250:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:12:34.61 ID:XVB8s0iW0
また悪魔としての力は完全に封じていたとはいえ、
膨大な経験ゆえに「弱き人間世代の魔剣士」としても
彼は図抜けた能力を発揮した。
251:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:13:10.59 ID:XVB8s0iW0
しかし一方で、スパーダは変えられない現実も常に意識していた。
それは彼が悪魔であり、侵犯者であるという事実である。
彼が人間界にとって究極の敵であることは今も変わらない。
252:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:13:45.02 ID:XVB8s0iW0
2 運命
きっかけは、支援兵団の在籍三年目に
スパーダが再び精神解析を受けたことだった。
253:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:14:26.64 ID:XVB8s0iW0
そんな日々を重ねるうちに、
スパーダの内側にて好奇心ではない別の感情が芽生えはじめた。
エヴァの仕草や、会話に垣間見える生来の優しさ、
254:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:14:58.07 ID:XVB8s0iW0
彼女はしばしば思うようになった。
自分もいつか、彼が語る「物語」に現れるのだろうか、と。
彼の純粋にして善良な語り口で自分も描かれる、
そう思うと嬉しくてたまらなかった。
255:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:15:25.94 ID:XVB8s0iW0
二人の身分や立場はともかく、
間に紡がれた関係自体は人間世界ではありふれた、
何の変哲もない恋物語だった。
256:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:15:57.84 ID:XVB8s0iW0
3 選択
現実問題として、近いうちに魔帝は必ず侵略を開始する。
以前ならば、スパーダはそれに呼応して人間界を攻撃するつもりであった。
257:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:16:25.50 ID:XVB8s0iW0
とはいえ、反対に人間側について魔帝陣営と戦う、
という選択肢にも大きな抵抗感があった。
彼は人間に惹かれ慈しむようになったが、
258:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:16:58.20 ID:XVB8s0iW0
彼が支援兵団に在籍して九年目のある日、
ヴィグリッド内が俄にざわめくこととなった。
かの長らく行方知れずだった「侵犯者スパーダ」、
313Res/336.05 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20